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    usamy_jkm

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    usamy_jkm

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    pixivに投稿してる同タイトルの小説をエミリーver.に編集しました

    いわゆる和解ルート、セーフヘイブンが爆破され、ドーイが暴走形態になってからの話

    オリジナル→ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=24115899

    #PPT夢OC

    Come back,Doey!〜エミリーver.ー「どうして…どうしてこうなるの……⁉︎」
    基礎部分に爆薬を仕掛けたはずだがプロトタイプの策略で逆に利用され、ドーイたちの砦であったセーフヘイブンが爆破、そこにいた仲間たちが皆殺しに…。これによってドーイの中で攻撃的なケビンの人格が主導権を握り、恐ろしい怪物と化してしまった。エミリーはまさに今、変異したドーイに捕まるまいと坑道を息も絶え絶え走っていた。何とかして彼を無力化しないといけない。だが数々の資料やVHSから壮絶な生い立ちを知り、何より初めて出会った時は少し怖かったけど話していくうちにかわいくて仲間想いな一面を知ったため、はっきり言って倒すことに抵抗感しかない。
    一旦撒いた所で何かに役立つかもと見つけた発破用の爆薬とリモコンを拾い、進んだ先にあったのは有刺鉄線が張り巡らされた巨大な採掘所だった。
    「何ここ……、……!」
    状況確認のため辺りを見回そうとした途端、石が崩れる音がして横からドーイが咆哮をあげながら降りてきた。そのまま再びチェイスが始まったがエミリーは彼の悲痛な叫びに対して必死に呼びかけ続ける。
    「ママ、パパ……!ボクもうおうちに帰りたい!」
    「みんなを守れなかった!誰も守れなかった!」
    「オマエが憎い!彼女もだ!全部嫌いだ!」
    「誰も守れなかったなんて言わないでドーイ!こんなことになったのはプロトタイプのせいで…くっ…!」
    ダメだ、怒りと憎しみで我を失っている…
    彼と戦いたくない、どうすれば元に戻るか…そんなことを考えていたら
    「あっ……!まずい……!」
    躓いて派手に転んでしまう。そして起き上がる間も無く脚を掴まれ…
    「ドーイやめて……!キャァーーー……‼︎」
    一瞬で目の前が真っ暗になり、身動きが取れなくなってしまった。
    (もしかして…呑み込まれた……⁉︎)
    一刻も早く脱出しなければ、しかし辺りは漆黒の闇、自分が上を向いてるか下を向いてるかも分からない。呼吸しようにうまくできず、頭に霞がかかってくる。
    (このままだと…意識が……)
    もしかして自分は死んでしまうのか、絶体絶命な状況に絶望していると…
    「誰か!うちの子を助けて!」
    「さっきの言葉は嘘だったの……⁉︎ボクを騙したんだな……‼︎」
    「ポピー…早く戻ってきてよ……怖いよ……‼︎」
    (これは…『彼ら』の過去……?)
    走馬灯のように脳内に流れてきたのはジャックの事故の瞬間に遠くから聞こえたお母さんの声やケビン視点のプロジェクト・ドーイの悲惨な実験の様子、マシューの人格がみんなを守る重責に押しつぶされそうになって一人で泣いている姿など…
    (…………………ッ)
    彼らの痛みや苦しみを目の当たりにし、胸がギリギリと締めつけられる。それと同時に全身が煮えたぎるように熱くなる。
    「…ふざけんなよ、プロトタイプ」
    その原因は憤怒、限りないそれが彼女の意識を繫ぎ留める。
    (こんなところで死ぬわけにいかないし何より、何も悪いことしてないドーイがこんな目に遭うなんて理不尽すぎる。あいつの思い通りになってたまるか‼︎)
    彼らを救わなければ。そのために何でもいい、何か行動するんだ
    …そうだ!さっき手に入れた爆薬をここで爆発させたらもしかしたら脱出できるかもしれない!
    自身が木っ端微塵になる可能性もあったがここは一か八か、手探りでリモコンを探し当てるとスイッチを押した。電子音のカウントダウンが始まる、少しでも身を守るため身体を固めると…
    ドカンッ‼︎
    見事ドーイの巨躯に穴が空き、叫び声が響き渡る。爆発に吹き飛ばされたエミリーは地面に叩きつけられるが何とか起き上がる。
    「けほっ、けほっ…、…よし、生きてる……」
    熱傷に擦り傷、打撲と怪我だらけになったがそれがどうした。ドーイだって自分自身と戦っている、それに比べたら…
    とかっこいいことを言ってみたが単にアドレナリンで痛覚が麻痺してるだけである。エミリーは目を閉じ、深呼吸して…
    「ドーイ…否、少年たち!もし私の声が届くなら聞いてほしい!」
    体を修復し終えたドーイがプレイヤーをロックオンする。そして単純な掴みから地面からいくつもの手を出してきたり、棘の雨を降らせたりこれでもかと繰り出される攻撃をエミリーは一定の距離を保ちながら避け、同時に喉が潰れそうになるくらい声を張り上げる。
    「ジャック・エアーズ!あなたは楽しみにしてた工場見学中に突然事故に遭って目覚めたと思ったら人間じゃなくなっててまだ訳が分からない時に親を殺してしまって…辛かったね…!そしてもっと遊びたかったよね、うちに帰りたかったよね…!これからは寂しくないように私がそばにいる!
    ケビン・バーンズ!ピアノザウルスの時もそうだったけどあなたの身体能力のおかげでみんなを守れた!そして元従業員として、大人を代表して謝らせて!身も心も傷つけてしまってごめんなさい!
    マシュー・ハラード!セーフヘイブンの仲間たちのリーダーとして今までよく頑張ったね!逃げなかったのえらいよ!本当にありがとう!仲間が死んだのはあなたのせいじゃない!」
    「〜〜〜〜〜ッ‼︎」
    気のせいかドーイの動きが鈍ってきたような…攻撃の合間に彼の前に踊り出ると腕を大きく広げ、まっすぐ見つめた。それはまるで全てを受け止めるように。
    「長くなっちゃったけどとにかく…あなたはいらない子じゃない、壊すためだけに作られたんじゃない!そして私は絶対に嘘をつかない!」
    すると口から二本の腕が伸び、エミリーの首に食らいつく。
    「うるさいうるさいうるさい!オマエなんて嫌いだ!大嫌いだ!今度こそ殺してやる……!」
    だがその手はわずかに震えていた。…これがラストチャンスだ。
    「私のことは信じられないかもしれないけど、私はあなたのこと信じてる!だから帰ってきて、ドーイ・ザ・ドーマァァァン」
    言い終わると同時に無数の手と鋭い牙が襲いかかり、万事休す…と思われたがそれらはみんな目の前で動きを止めた。
    そしてエミリーの首から腕が離れると先程とは打って変わって泣きそうな少年の声が…
    「さっき言ってくれたこと…全部本当?」
    「本当だよ」
    「嘘じゃない?」
    「嘘じゃないよ」
    「…じゃあ、ギューってしてほしい」
    それを聞いてエミリーはやさしく笑って近付くと三人まとめて両腕いっぱいに抱きしめた。
    「大丈夫だよ。あなたはいい子、大丈夫……」
    「うっ…ううっ……‼︎」
    その偽りない温もりに涙がとめどなく溢れるドーイと少年たち、そしてエミリーも同じくらい号泣した。
    するとアドレナリンが切れたのか疲労で身体が急に重くなる。
    「…おかえり……」
    そう呟いた途端、気を失って彼らにもたれるように倒れた。

    ーーーーー…

    「…ん…あれ……?」
    確か自分はドーイをハグしてて、それから…
    上体を起こそうとすると帽子が似合う見慣れた顔が視界に入った。どうやら元の姿に戻ったみたいだ。
    「気がついたんだね……‼︎あっ…できるだけ安静に、なぜ生きてるのか不思議なくらいの状態なんだ」
    「?…これは……」
    ゆっくり立ち上がって全身を見回すと怪我をした箇所にドーイのカラフルな生地が包帯のようについていた。
    「少しでも血を止めたくて…でもこれくらいしかできなくて……」
    「むしろ十分だよ。ありがとう」
    「『どーい』たしまして…なんて、そもそもこうなったのはボクのせいなのに……」
    さっきまでの笑顔が急に曇り、ばつが悪そうに目を逸らすドーイ。気丈に振る舞っていたのはジャック、そして今はマシューの人格だろう。だがエミリーは微笑みながら首を横に振った。
    「この話はもうおしまい。結果オーライということで」
    「でも……」
    「やっぱドーイには笑っててほしいから、気にしないで」
    「相棒…!」
    本当に強い人というのはこういう人のことをいうんだろうな
    …そういえば
    「えっと、大事なことを…言い忘れてた」
    「?」
    「…『ただいま』」
    その口には赤い牙が、ケビンの人格だ。
    エミリーが気絶する前に言ったことへの返事だろう。やれやれ、やっぱ根は悪い奴じゃないんだな。
    彼女は自身に喝を入れると…
    「ドーイ、生存者を探しに行こう。もしかしたら近くにいるかもしれない」
    「そうだね、ポピーやキシーが心配だ」
    「あっ、あっちに通れそうな道があるよ。一緒に行こう!」
    そう言ってエミリーは彼の手を取り、先導するように歩き始めた。
    「………‼︎」
    今までは自分がみんなを引っ張ってたけど…この人はボクの手を引いてくれる。
    初めての感覚に胸がいっぱいになり、それがなみだとなって零れる。それに気付いたエミリーが振り返り、困ったように笑う。
    「も〜、ドーイったら泣かないの」
    「だって〜……!」
    これからどんな困難が待ち受けてるか分からない。
    でも仲間がいれば乗り越えることができる気がする。こうして私たちは茨道に足を踏み入れた。

    〜・〜・〜・〜・〜

    ドーイサイド

    これはエミリーが気絶してからの話
    冷静さを取り戻したドーイは元の姿に戻ったが、中では少年たちがあれこれ話し合っていた。
    「このままじゃ相棒が死んじゃう!どうすればいいのマシュー⁉︎」
    「落ち着いてジャック、ボクたちの生地で傷口を保護しよう。これで出血を抑えられるはずだ」
    改めて彼女を見ると血や汗、そして自分たちの涙でぐちゃぐちゃだった。いつものポニーテールはほどけ、キレイな髪の毛の所々が焦げている。どうしてここまで体を張ってまで…
    応急処置を終えると今まで喋らなかったケビンが口を開く。
    「…本当に変なヤツ」
    「それは…どういう意味?」
    「採掘場の所々に液体窒素のボンベがあっただろ?あれでボクたちを凍らせて大きなノコギリを使えば倒せたはずなのに…それを一切しなかった」
    「!…確かに……」
    「それに、最後トドメを刺そうとした時…普通だったら怖くて目をつぶるはずなのにコイツは一切目を逸らさなかった…。あれほど真剣にボクに向き合ってくれた人、初めてだ……」
    「ケビン……」
    思えばエミリーとボクたちは出会って数時間しか経ってない関係だ。だけど胸に手を当てると数々の思い出が蘇る。博士の罠で凍ってしまった時は…
    「大変…!ガスを止めるには…これだ!ドーイ、大丈夫⁉︎」
    発電機を直す時も…
    「任せて!ドーイも気をつけてね!」
    こうしていつも名前を呼んでくれていた。そしてさっきはドーイではなく、全員の名前を…
    「…ボクたちの名前を呼んでくれて、信じるって言ってくれてありがとう」
    年齢も性格も違う彼らだが、この時は皆同じ気持ちだった。
    ちなみに最初にエミリーを捕まえた時、ケビンは本来咬み殺す手筈だったが…
    (マシューも腕を伸ばして口を閉じる前に引き込んだから命拾いしたんだな)
    それをしたのも彼女が爆薬を使って脱出することを見越して…。と
    「二人とも!相棒が……!」
    「あっ……!」
    「よかった……!」
    そしてエミリーが目覚めた、という話に至るのであった。
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