棺にて眠らない 通常勤務終了の後、珍宿署からそのまま通勤用の車で東京を出てサービスエリアで休憩を挟みつつ一晩かけて関東を出る。
通い慣れていない、どころか何年も前に一度行ったきりの山奥まで車を走らせるのはキツいが、公共交通機関を使うよりもメリットの方が大きいので多少の無茶をしている。
巡との待ち合わせ場所に指定されたのは、既に田舎もド田舎の集落だった。地方らしく周辺の家は塀と庭付きの戸建てが殆どで、その中では比較的小さめな家が巡との集合場所だった。最後のサービスエリアと高速を降りた時点での連絡はしてあるがなにせ道路というものは到着時間が読みにくいものだが、既に巡の車は庭のスペースに停められていた。
小型の、しかしごついオフロード車。どの程度の時間待っていたかは分からないが、巡は家に上がることもなく後部座席を丸ごと使って寝転んでいた。
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