【hrak】尾葉が花を植える 尾白くんもおいでよ、と葉隠に連れてこられた中庭の片隅には、赤茶色の煉瓦で囲った花壇が作られていた。花壇の中は黒々と湿った土で埋め尽くされ、小さいポットに入った苗が煉瓦の脇で綺麗に整列している。端の方はまだ「建設中」のようで、麗日と蛙水が楽しそうに雑談しながら煉瓦のブロックを積み上げていた。
「へえ。ここに花、植えるの?」
「うん! ここなら寮の談話スペースからも見えるし、お花が咲いてると嬉しくなるでしょ?」
葉隠は透明な手で窓越しに屋内のソファを示す。確かに、よく大勢で集まってテレビを見たり雑談をしたりする共有スペースから見えやすい位置だった。
「ねえ、もうこっちの方植えちゃっていい?」
彼女が「花壇建設隊」の二人に尋ねると、「大丈夫だよー」「あんまり苗と苗を近づけて植えると、大きくならないから気をつけてね」と返ってくる。葉隠はスコップを握り、気合を入れるかのように「よし!」とガッツポーズをした。尾白も彼女に倣って、慌ててスコップを握った。
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