独白金属と花。
どちらか選べと言われたらかなりの時間迷ってしまうだろう。
私はどちらもとても好んでいた。

金属の上ではバートがリラックスをしながら楽しげに私に声をかける。
抱き上げられて私の瞳に彼が大きく視界いっぱいにうつる。
彼がいない時は私の友人であるアールワンが情報を与えてくれる。
人を愛する方法。自分の気持ちを伝える方法。
どうやら私は記憶が時折抜け落ちるらしい。
アールワンは同じことを繰り返し伝えてから私の意見を聞く。
肯定と否定の動きで私とアールワンは会話をしていく。
いつか バートにも私の全てを伝えてみたかった。

バートは私を喜ばせることがとても上手だった。
私も彼と同じことをしたくてたまらなかった。
そう想いをつのらせていると
彼が私に贈り物をくれた。
それはなんと音が出る金属だった。

金属はそのままそこにある。
土と花は私によって消えてしまうが金属は私が触れると音を出すのだ。
これだと思った。
これこそが 私がバートに全てを伝えることの出来る方法だと感じた。
どの程度パターンがあるのか調べる必要がある。
繰り返し繰り返し音を出させて研究してみよう！

だが
彼が眠っている時に音は出すべきではなかったようだ。
確かに私も心地よい眠りをオリジナルの怒鳴り声で阻害されるととても気分が優れなかった。
オリジナルのようになりたくなかった。
あんな寂しい生き物にはなりたくない。
どうせ手に入れるのならば
あの尖ったような声ではなくバートのような柔らかい声が欲しい。
私は繰り返し機械を操作する。
そして 遂に自分の好む音を繋げたメッセージを作り上げたのだ。

これこそ私がバートに伝えたいメッセージである。
最初に長く音を出してからA点を触ってからC点を触る。次にB点を触れてから短くA点に触れるのだ。
すると 私の心は高鳴る。あまりの素晴らしい連続した音の繋がりにこれこそが私の声だと感じるのだ。

きっとバートは私を褒めるだろう。
私のことをもっと好きになりもう離さないとさえ言うかもしれない。
そうしたら私はまた音のメッセージを送るのだ。
これこそが会話である。



彼との会話は上手くいった。
私は非常に満ち足りた気持ちで
アールワンを誘い出す。
よかった。
土と花の惑星だ。
私は花摘み吸収する。
とても気持ちがいい。バートにはこれを贈ろう。
彼はまた私のことを褒めるだろう。
ありがとうと言ってから私に頬を寄せるのだ。
私も同じことをする。そうすれば私がどんなにバートを好きかが伝わる。
金属と花。
私はやはりどちらも好きである。
私が過ごす居場所であり気持ちであり会話であるからだ。