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    @Latoheartgdo46

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    過去飛びifのワンシーン
    12世紀酒場編

    12世紀のリチャ+ぐだ♂「リツカが?戻らない?」
    再度確認のように尋ね俺は椅子から立ち上がる。これを頼まれたのだといって兵が差し出したのは、俺が以前リツカに頼んでいた市場のいくつもの香辛料の入った箱だった。
    確かに今日はリツカに大きな仕事を渡してはない。だが故にてっきり宮中にいるだろうと高をくくり、久々に夜通し唄を聴かせるつもりだったのだ。そんな俺にとって、この想定外の通達は受け入れがたかった。
    理由を詳しくは聞いてないようで、ただ兵が目にした状況を聞いた限り、俺が納得するには十分だった。リツカの独特な考え方にはもう俺も慣れている。
    「それで場所はどこだ?」
    「場所…ですか?」
    「あぁ。リツカのことだ、大方手伝いでもしに行ったのだと予想はつく。なら!見に行かないわけにはいかないだろう?」
    部下が戸惑ったように顔を合わせ、首を横に振ったのが見えたが当然無視した。
    「どこだった?」
    知らせに来た兵は通りの名だけを知っているようで、ロンドンの地すら詳しくない俺は早速現地の兵に案内をもらうことにした。

    日が暮れる前でないと町中の店は閉まると聞き、俺は早々に着替えて町へと向かう。
    既に日が傾き、空の色が青を淡くし始めた頃だった。町全体の活気は昼より減ったが所々みかける店に集っているらしく、楽し気な声が響いている。
    馬が並んで通るには厳しい道を抜け、広間の手前につくとここでも似た様子の店が目に留まった。
    あの店だと言われ、俺は意気揚々と早歩きでドアの開き切ったそこに足を踏み入れた。
    部下が前に出て顔を合わせた店の…店主だろうか、女性と話す。彼女は身なりを見た後に武器の所持を尋ねると、預かると言った。
    「何故だ?」
    「ここは酒でみんな気が緩むからね。こんなとこで剣だの決闘だとかいって喧嘩されたら、あたしの店がつぶれちまうよ!」
    要は怪我やトラブルを少しでも避ける為にも、武器を持って入ってきた客にはこうして預かるようにしているらしい。
    理にかなっているが、手元に身を守るものがないのは少し落ち着かない。…まぁ預けないことには入れないのだ、
    俺は部下にも言って武器を預けることにした。
    「こりゃまた随分と…別にあたしは獲らないよ。身の丈に合ったもんで十分だからね」
    そういうとカウンターの傍に布をかけて持って行った。
    席はどこでもいいらしく、丁度空いている所に腰かける。
    まだ日差しは入ってはいるが、たしかな陰りを見せ始めていて店に入るには丁度いいころだった。
    もしあの兵の言う通りならここにリツカがいるはずだが、店内を見回すも姿はない。違う場所だったのかと席を離れかけた時、さっきのカウンターの奥から馴染みのある声がした。
    この穏やかな声色を俺が間違えるはずがない、姿を見せたリツカは持ってきた布を店主に渡すと忙しそうに客のいる方へと出てきた。
    俺は咄嗟に店員に呼びかける。
    「注文をしたい!」
    がやついた夕時の酒場で声に振り返り、手を挙げているのが自分の主君だと気づいた時のリツカは、それはもう驚いて言葉が断片的だった。
    「はーい…ご、…ちゅうもん…」
    「君のすすめの品はあるか?」
    品を選ぶリストのようなものはなく、(仮にあったとしても)リツカを見ながら尋ねる。彼は酒場の女将へと視線を送っていたが、彼女は一瞬見た後に意図がわからないのか首をかしげていた。リツカは横に向けていた首を俺の方へ戻すと、少しだけ戸惑いを見せてから穏便に済ませることを選択したらしい。
    「人気なのは…ここのエール、お酒かな、お店自体の香りにもはや近いね」
    そう言われてスンと鼻を鳴らす間もなく、確かにハーブの香りが満ちていることに気づく。
    香りからすでに俺の知っているワインとは違い、言うなれば濃厚と強烈の違いと表すべきか。とにかく物珍しさにそれを"ともの分を含めて"4つ頼むことにした。


    --
    「サリーさん!ドリンク4つ!」
    女将さんは慣れた動きで棚から木製のジョッキをドンと取り出した。
    「頼んだぞ。さて、楽しみだな!エール…聞き慣れないが周りを見るに、イングランドのワインに近いものか」
    そわそわと慌てふためいている部下をよそに俺の隣でこの王様はワクワクと目を輝かせていた。
    「…王、その、必ず毒見をしてから」
    「王とか言うな!今の俺はただの…ジョンだ!今決めたがまあ気軽にそう呼んでくれ」
    「「(よ、よびづれぇー)」」
    「(この人すぐ弟の名前を勝手に使うな…)」
    しかも変わらず王族でもあるのだから、普通に呼びづらさ自体はたいして変わらないのである。
    俺は向けられるリチャードからの場に見合わないほどに輝かしい視線を、気づかないふりで乗り切ろうと思った。
    「リツカー!4つ!」
    「はーい!」
    抱えるようにして持った4つをリチャードと2人の部下のいるテーブルに置く。
    そして部下の視線に頷いて、リチャードの前に置いたジョッキを抱えるとゴクリと半口飲み込んだ。
    俺には強い味だけど、ハーブの香りのせいかさっぱりとした味わいもあった。リチャードの前に置きなおして告げる。
    「問題ないです」
    「リツカが俺に毒を盛るはずがないだろう」
    「それはそうですが、作ったのはリツカではないので…」
    「そうなのか?」
    「うん、ここのお店の女将さんの手作りらしくて、町にいくつもお店はあるけどそれぞれの造り手で調合が違うから、味が違うらしいんだ。」
    昼に助けた女性から少し教えてもらったのだ、その人もあの女将さんのエールがここらじゃ一番好きらしい。
    リチャードはへえ、とそう聞くと"まずは思いっきり"飲んだ。
    当然慌てるのは部下の方だが、リチャードは実を言うとそれなりにアルコールに慣れている。
    ワインと共に育ったのだから、アルコールには強いはずだ。
    すぐに半分ほど減ったジョッキと新しいものに満足げな表情を見せたリチャードに大丈夫そうだと確信して、俺は別のテーブルへ向かった。
    そうしていくつかまた受け付けて席を通りかかった時のことだ。

    「なんだい!兄ちゃんさっきのはぁ~俺んときはなかったリップサービスか!ガハハハッ」
    「違うって!あと飲みすぎだからもう席空けてってサリーさんが言ってるよー」
    「んだよ全く…サリー!前の子は」
    「今日は来ないよ!あんたが嫌になったんじゃないのかい?」
    「そりゃねぇ!俺は良い”木”(金蔓)だぜ?!で?兄ちゃんはいくらなんだい」
    「へ?あー…エールは一本…」
    「違う違う!んなもん首が取れても覚えてらぁ、兄ちゃんがだよ」
    「あーもーその子はダメだよ!エラの手伝いで来てくれたやっさしーーーい子なんだからね!」
    女将さんが声を張るが、酔いの回った酒場ではその声すらガヤに呑まれてしまう。
    「へぇ!じゃあ今日限りだ!」
    「そういわれっと一気に興味が沸いちまうぞ」
    「沸いてんのはアンタの■■■■だよ!」
    聞いたことない恐らくスラングが飛んできて俺は身構えた。意味は知らない、…当然だが、宮中でも聞いたことはない。
    ただちらっと見た時、部下の騎士2人が咳込んではいたしきっと結構なものだったのだろう。
    如何せん、宮中と違って夕暮れの酒場には女将のいるキッチンの火以外に灯はない。さっきまでは見えていたリチャードの顔も、テーブルを挟んだこの距離では殆ど見えなくなっていた。
    「そりゃあ残念だなぁ、兄ちゃん身なりも見目も悪かねぇしジョッキ10杯分で買おうと思ったが…」
    「しつこいねぇ!今日アンタに貸す二階はないよ諦めな!」
    二階と言った女将さんの言葉で漸く俺は理解した、なるほど。俺は苦めに笑うしかなくなって一旦その客のジョッキを引っぺがすようにしてキッチンへ持って行った。
    「悪いねぇ、びっくりしただろう。ここの奴等いっつもこんなだからあんま気にしなさんな」
    「寧ろ助かりました、なんて返したらいいかわからなくて…」
    女将さんは肩をポンポンと叩いて「はぁー全く、絶対いいとこの子だね。リツカは」と言った。
    そうして一件落着のように思い、そういえばと時間が経つごとに暗くなっていく酒場でリチャードのいる席を見やった。
    部下の二人は変わらずそこにいた、どうやらここのエールを気に入ったらしく場の雰囲気も相まって楽し気に会話をしている。ちょっと待て、隣の金髪はいつ消えたんだ。
    俺はもう一度見回して薄暗い中でひときわ目立つ色を探した。
    騒がしいはずなのに、聞き慣れた彼の声はやはり耳には届きやすくて声の後に目で見つけることになる。トラブルがないように席に戻ってほしいと耳打ちしに行こうとした時だった。
    「だから宮殿5つ、領地諸侯8人分をお前に用意できるのかと聞いている」
    「な、なにいってんだ…」
    さっきの席の人に詰め寄っている獅子心王(国王)がそこにいた。
    「最低限それくらいは用意してからだ、あと兵を…」
    俺は上げかけた悲鳴が結論として出なかったことにほっとした。そして半ば反射的に、男の胸ぐらをつかみかけたリチャードに飛びつくと冷や汗の中で頭を回転させまくる。
    「待って待ってあーー!!酔ったんですねーーー!!喧嘩は酒場じゃご法度なので!!!」
    「リツカ!!止めるな!俺はフェーデ(決闘)をこの」
    「止めるけど!?!本当に何しようとしてるの!?」
    部下に視線を送る、ああそうだった、あの二人は今楽しく談笑中なのだった。
    本来の酒場のあるべき姿であるはずなのに、俺はその光景がどうしようもなく悔しくなってしまった。
    「兄ちゃんも酒にやられたのか」
    「酔ってなどない!この程度アキテーヌの4月に開けたワインと比べて」「比べなくていい!!いいから!酔ってる!!ほんとに酔ってるだけなんです!!」
    どうしてさっきまで大騒ぎしていた人の方が落ち着いているのか。
    いや比較した対象(リチャード)がきっと悪かった。
    俺はリチャードが今にでも手を出さないかと焦りつつ、せめて片手を抑え込もうと右腕の上からひっつく。
    折角戴冠式が評判良く終わったのに、こんなところで何か起きたらアリエノールさんの苦労が水の泡になりかねない。
    「彼は俺の右腕だ!!それをそうも易々と!」
    今その右腕が右腕を抑え込んでいるんだよと内心で思いつつ、俺はリチャードに促してなんとか店外へと出ることに成功した。
    熱気の籠る酒場から出ると冷たい空気がリチャードを冷静にさせたらしい、見えたその表情は思っていたより穏やかで一息ついたと言わんばかりに軽く息を吸い込んだ。
    「…少し酔った。」
    「…本当に?まぁ、落ち着いたならいいけど…というかどうしてここに…」
    とてもじゃないがいかに夕時とは言え、距離次第では顔なんてわかる。あの戴冠式をここの人たちがどれほど見れたかは分からないけど、国王がいるなんて知られたら宮殿もここも大騒ぎだ。場合によっては刺客にも襲われかねないのだから、気が気じゃない。
    「リツカが今日は戻らないと聞いてな、聞いたら酒場で働いてると知って、来ないわけにはいかなかった!」
    俺は口止め料を渡すべきだったと反省する。
    ともあれ俺を見るという目的も果たしたのだから、皆を心配させないためにも早めに戻ってもらうべきだろう。
    「とりあえず前とはもう違うんだし、御供二人でここには来ない方がいいのだけは確かだよ。」
    「やはりこっそり俺だけで来るべきだったか…」
    俺はもう一度本当に口止め料を渡していなかったことを悔いた。少しでも聞いた以上、リチャードは気になったら絶対に行動を起こす。そんなの前から知っていたつもりだったけど、国王になったし…と気が緩んだのかもしれない。
    「リツカ?」
    リチャードは沈みゆく太陽を背に俺の顔をのぞき込んでいた。
    「…まだ外はそこまで暗くないよ」
    少し距離をとるように1歩下がるが、リチャードは同時に踏み出して穏やかに笑った。
    「元より邪魔をするつもりはなかったんだ。ただ君にささやかな差し入れがしたくなってな、リツカはちゃんとあのエールをのんだのか?俺からすれば喉も少し乾いているように聞こえる。」
    俺は思い出したように自分の喉を擦った。そういえば、ずっと声を出していたし忙しくてそんな暇もなかったかもしれない。
    「あー、あー…ほんとだ。」
    俺はちょっと笑って肩の力が抜けた。
    あんなに騒がしかったのに耳がいい、流石楽器に多彩なだけあると納得する。
    今のリチャードはやけに静かで、本当にただ俺の反応を見ているだけのようだった。
    「それで4つ頼んでたんだ」
    「あぁ、実を言うとリツカと隣に座って飲み交わしたかったが…俺の想像よりも君は忙しそうだ。」
    そう言うと緩やかに振り返る、俺たちの視線の先で女将さんが手を軽く振っていた。
    「…帰りの、馬を寄越しておくか?」
    「いいよ気にしなくて。明日の朝には宮廷に戻るから、女将さんが今日は泊めてくれるんだって。」
    「…そうか」
    ほんの少しだけ寂しそうに言うと、リチャードは俺の手をとって酒場の方へ歩いていく。
    「ならやはり、君と席で飲み交わしておきたい。もう一杯ずつ頼むとしよう。」
    「結局かーはーい。毒味付きでね」
    そう言って俺はほんの少し、休憩と言って奢りの一杯を友人の"ジョン"と楽しんだ。


    「そういえば泊まりとは言ってたが…」
    「うん?」
    「…2階か?」
    「え、多分?」
    「…その、泊まりというのは」
    俺はせっかくの奢りを吹き出さないように耐える。
    「普通に1人で寝るから!普通に!それに今日は疲れてるしぐっすりだよ!」
    と言うと、リチャードはだよな!と突如顔を明るくした。嬉しそうに元気よく言うものだから、無性にムッとしてしまう。
    ただ続いた言葉には耐えられなくなり、結局俺は噎せる羽目になった。
    「リツカに見合う相手は、俺が国中を探して必ず見つけてみせるからな。絶ッ対に俺を通してからにしてくれ、あと俺が納得出来る人を」
    「ホンッットにいいってそういうの!」

    さっきの客には銀貨を送り俺の束の間のお忍びは終わりを迎える、リツカから武器を受け取り俺たちは他より少し早めに店を出ることにした。
    見送りにきたリツカに少し手を振り返してすっかり藍色を占めた空に顔を上げた。
    少し歩きもう一度振り返ると、リツカはまだ見ていたようで手を振り直してくれた。それだけで俺の気は晴れやかになる。
    また明日。唄は別の時に聴いてもらうとしよう。
    俺は次は振り返ることなく、自らの新しい城へと戻ったのだった。

    ...
    「それで今日はリツカがいなかったんですね」
    月が登りきった窓から俺は何をする訳でもなく、城から街の方を眺めていた。足を投げ出し、王の象徴のマントすら今この場ではただの布として腰掛けにかかっている。
    今日訪れた場所がどこかは分からないがリツカはきっともう眠っている頃だろう。
    街中に灯はなく静まり返って、近くの森からは時折動物の鳴き声が届いていた。
    「いつものようにてっきり引き摺ってまで連れて帰るとばかり」
    「目的は果たせたからな、それにリツカが今日は帰らないと言ったんだ。偶にはああいうのも気晴らしになるかもしれない」
    ヒューは手を緩めることなく積み上がった書類へサインをしている。確かに話半分でいいとは言ったが、こうも慣れられると少しあれだな。
    持ってきたはいいものの弾く気にはなれず、自分の影に隠れたリュートを手に取る。いっそヒューに弾かせてみるか?
    「言っておきますが、ここの書類は突如城を離れた王の分ですからね」
    「…任せたぞ!」
    俺は咄嗟に立ち上がり、蝋燭をヒューの元へ寄せるとそそくさと部屋を離れ1人の寝室で眠りについた。




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    DOODLEコパスパロ、執行リチャ+監視ぐだ♂のネタメモやんわりプロット的な。ブロマンスくらいのつもりですが、リの心理描写をほぼ無くしてるので彼の行動理由などをご想像にお任せします。恐らくcpでもブロマンスにもどっちにも見えるようになる。
    厳密すぎず雰囲気でお願いします、設定緩め。
    執行官リチャード+新人監視官ぐだ♂執行官リチャードと監視官ぐだくん

    リチャード・・・数年前から執行官。潜在犯ともいえるがそこに悪意や邪心はなく行ったことに対しての反省はあったりなかったり。性格に難アリで既に扱いづらいが、制圧力や洞察考察思考などが激的に特化しており能力の高さという面からも上は扱いあぐねている。
    リチャードがぐだくんに従うのは、「君になら俺への判断を任せてもいいな」と信頼して託してしまっているから。だからそんな自分の手綱を持たせるためにも守っているという心情。絶対に手放してくれるなよ!という信頼からの抑止力であり、手放したらどうなるかわからないぞと言うある種の脅しにも見える。
    ぐだくんの善性とやさしさと立ち向かう力、自分のような人間にも寄り添おうとするその様に惹かれている。命がけで守るし、彼にならいつ対象にされてもいい。だが、それはそれとしてこのよく分からない上のシステムに判断されることは気に食わない模様。
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