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    学パロ+無限の夏ループの微文とメモ(1:9)
    なんでも大丈夫人向け。🔆💫、ファイ穹、メリバ風味だけど個人的には救い有判定なので言いきれない。

    #ファイ穹

    ファイ穹 夏終ファイノンがとある村で終わらない夏を穹くんと過ごし続ける話です。
    穹くんが村に着いた時、いつもファイノンが出迎えて「初めまして」と手を差し伸べる。そうして仲良くなって楽しい夏を共に過したあと穹くんはトンネルを通り帰るのだけど……
    その瞬間にトンネルからはまるで鏡のようにバスが出てくるのだ。
    そうして再び穹くんが村へ降り立つと、再びファイノンが「初めまして」と声をかけて仲良くなりたいと告げる。そんなループものです。

    そのプロットメモのようなもの。色々大丈夫な人向け。

    ーーー
    覚えてないだけで穹くんは”夏休みで来た”と思ってるけど、本当はそもそもこのループに入る前に友人のファイノンと一緒に来ていた.
    ここにあるのが穹くんの魂で、実はファイノンが留めており外に出さないようにしている。という真実があります。理由は、ここに訪れて都会に先に帰った時に穹くんが事故に巻き込まれてしまったから。要は都会の病院にある穹くんの肉体がボロボロで見込みが浅いこと知ったファイノンが、その村の神様にどんな方法でもいい、彼を連れて行かないで留めてくれと頼む。結果、”肉体に穹くんの魂を戻したら死が確定してしまう”から、彼は魂を留めて死の確定をあいまいにするということを行っている状態。穹くんをこの村にとどめている限り、穹くんの死は確定しないのだと。そうして繰り返して保っている感じ。

    限りなく穹くんへの延命的な行動に近いだけ。
    毎回夏を終えて帰ろうとトンネルを穹くんが抜けようとしたら発動するループ。

    穹くんが知らないはずのファイノンの核心に触れかけると多分ファイノンはめちゃくちゃ目に見えて青ざめて焦ると思う。穹くんが自分が事故に遭ったと知り、そして死にかけていることを思いだしたらファイノンとしてはゲームオーバーになってしまうから。
    因みになんだけど、このループと強引な魂引き留めを行った原因となるファイノンの代償は、”カスライナ”という本名を失うこと。なので今のファイノンを穹くんが知らないのは、彼の存在そのものがいま人質にされて存在がないことになっているせい。 このループが続こうが終わろうが、もうカスライナ という穹くんの相棒がこの世界に存在した事実は世には戻らないです。

    「この夏を終わらせることは、彼を本当に救うことになるのか?」
    穹くんはそのことを知らずに夏を楽しんでいる。だが、たった一人の代償で済むならとファイノンは、延命措置をしている。もう彼の記憶に自分のいない夏であったとしても。

    そうして気ままに普通の夏を過ごすんだよね一旦。けどなぜか知り合ったばかりのファイノンが自分の好みを知ってたりするから、気が利くやつなんだなーって。 そうして何事もなく夏を終えて…再び出ていった車がファイノンの前を通り過ぎると、そこから穹くんが現れるんだよね。
    …17回目のループの時、ファイノンは少し変わったことをした。穹くんを連れて森に入ってみたのだ。探索のつもりだったけど、そこで熊にあってしまい二人とも大怪我。自分のせいだと目の前で息絶えてく穹くんを折れた足でも何とか支えにして村に持って帰る。そうして自分も彼も助からなかったが、再びループは起きていた。
    18回目では森に入るとき、村の人についてきてもらった。熊のあとがあったと。そうして威嚇射撃もすると、前回自分たちが血だらけで倒れていた場所を今回は無傷で通り抜ける。そうして抜けた先の綺麗な泉で穹くんとの新しい夏の思い出をファイノンだけが作った。
    50回目、ファイノンはちょっと気になって穹くんを出迎えてみないことにした。そんなときでも彼は自分から声をかけてくれた、同い年くらいだろって気さくに言うからぼくはついいつも通りに彼と夏を過ごしてしまった。
    70回目、穹くんが川に落ちたらしい。なんでも先日僕と遊んでいた猫を追いかけているのを近所の人が見たといっていた。助けようとしたのだろうか、流れの強い岩の傍で穹くんの靴が見つかった時、気付けば最初の日。
    救っても救わなくてもループは続く。ただその村での行動は一切好きなことができる。という感じです。だから仮に、何回目かでファイノンが穹くんに初対面でキスしたとしてそこから険悪になるか、はたまた恋人になるかの分岐も起きたりと無限。
    もしかしたら500回目では穹くんが村の誰かと付き合ったりしてるかもしれないし、700回目の穹くんは初対面でファイノンのことが好きな可能性もある。そして701回目では殴り合いのけんかをしてる可能性もあったりするんだ。 そしてファイノンはそれら全部を思い出として楽しく過ごすんだろうな。。
    夏を終わらせたくなくて、穹くんが帰る日に無理やり引き留めようとしたりするんだろうか。。そうして村からでなかったその日はループしなかったが、結局帰ることになって彼がトンネルへ向かった時またあの夏は消えて僕たちは初対面になるんだね、、

    ーー
    「一番きれいな夏」
    あの年は、蝉が早く鳴き止んだ。どうでもいい違いだったのかもしれない。
    でも僕には、すぐにわかった。穹くんは、例年通りやってきた。同じバスを降り、同じ顔で、同じ冗談を言いながら僕に笑いかけた。
    「空気おいしー!あれここの人か?」
    僕はもちろん笑って、いつものように答えた。
    「うん、そうだよ。君は…年も近いしよかったら君と仲良くなりたいんだけど、どうかな?」
    でも、この年の彼は……僕を、見つけた瞬間に顔を赤らめた。初対面のはずなのに。初めてじゃないような、そんな表情で。不思議だった。でも僕は何も言わずに、ただ彼の横にいた。穹くんは僕のおすすめの本を読んだ。小さなことで笑って僕の肩にもたれてうたた寝をした。君がいまここにいて僕のことを好きでいてくれるならなんでもいい。
    だから、僕は試したのだ。彼を帰らせないようにした。穹くんが「じゃあ、俺帰るな」と言った夜、僕は彼の荷物から財布とスマホを抜いた。
    「あれ?」と困ってる顔が可愛かったし、いたずらにしては柄じゃないけど今回のことでそうこう言ってられる余裕もない。君は「仕方ないな、もう一泊してくか」なんて笑ってた。
    ごめん、君の自由を奪ってる。でもそれでも、あと一日だけ。あと一晩だけ。そうして、その日はループしなかった。
    奇跡だと思った。もしかしてこのまま穹くんがここにい続けたら、死なないで済むのでは?
    もうループもしなくて、彼とこの夏をずっと生きていけるのでは?でも、穹くんは翌日、財布を見つけて、笑った顔で言った。
    「昨日、俺が落としたのかもな。バス、今日こそ乗れるし帰るよ。ファイノン、また、来年な」
    手を振って、彼はトンネルへ向かった。ない未来を口にして君は過去に戻るのに。
    蝉がまた、あの日と同じようにうるさく鳴き始めた。
    僕はひとり、村の入口に立っていた。そしてバスが停まり、またあの少年が降りてきた。
    彼は同じ顔で、同じ声で、こう言った。
    「初めまして……だよな?」
    ーー
    穹くんが村で消えてしまうか、村から出ていかない限りはループが起きないんだ。
    なんでわかったかっていうと、ファイノンは”試したから”。もし彼を出ていかないように小屋に閉じ込めたら、夏が過ぎた時どうなるのか。結論を言うと31日を過ぎても彼が小屋に留まり村から出ていかない限り9月1日、2日と日は続いた。けど、その夏の穹くんの僕を見る目は親愛などではなく何をしたって外に出さない初対面の同い年のやばい奴しかなくで、瞳には恐怖しか映さなかった。

    小屋は、山の奥にあった。
    村の誰も使っていない、古びた狩猟小屋。
    鍵はかけなかった。中から開けられないように、ただ重石を置いただけだ。穹くんは怒りもしなかった。驚きも、憎しみも、なかった。
    彼の瞳には、ただの恐怖と不信だけが浮かんでいた。
    「ごめん、穹くん。……君がここにいれば、死なないかもしれないんだ。怖がらないで」
    8月31日が過ぎた。
    朝が来て、9月1日になった。それでも、何も起きなかった。季節は進み、秋風が吹いた。穹くんは、笑わなかった。
    目を合わせることもなく、言葉を交わすこともなかった。
    僕はすべてを失ったまま、ただ季節の進行を見ていた。
    10月になった。
    穹くんは、僕の顔を見ようとしなかった。
    僕の声に返事もしなかった。冬が来る前、彼はこう言った。
    「……俺、ここから逃げるから。次は、殺してでも」
    僕は黙っていた。春が来る前に、僕は重石をどけた。穹くんは、黙って出て行った。
    トンネルの前で、彼は振り返らなかった。
    そして、また“あの日”がやってきて、穹くんはまたバスから降りていうのだ。
    「よ、初めまし…て…なんかすごい泣きそうな顔してるけど大丈夫か?」
    「……うん。なんでもないよ、初めまして」
    ーーー
    明るい話も暗い話もできちゃうのがこの展開のいいところだわ、、 もしかしたら穹くんが誰かと喧嘩して大変な目に遭わせちゃったとき、ファイノンはその光景を見てて焦り慌てて動揺する穹くんの手伝いとかするのかも…これは創作の話だから推奨の意図はないのを前提に。 もし穹くんが誰かともみあいになった時その人物を突き落としてしまった、その事故を見てたファイノンは当然穹くん側の人間だから、「大丈夫だよ、僕に任せて」ってレインコートきてその突き落としちゃった人を森に置いたりする夏もあるのかも…

    穹くんは、怯えていた。
    雨の中、肩を震わせて、目を見開いて、僕を見ていた。
    「……俺、やったかも……ほんとに……」
    村の橋の上での、些細な喧嘩だった。
    ただのすれ違い、ただの言い合いだったはず。
    でも、穹くんは一歩多く踏み込んだ。
    もう一人は、足を滑らせて、川に。僕は彼の肩に手を置いた。そして、優しく笑って言った。
    「大丈夫だよ、僕に任せて」
    彼は、それ以上何も言えなかった。
    僕のレインコートの裾が、泥で濡れていた。その夜、僕は森の奥に入った。倒れていたその人を、担いで、獣道を抜けて。水辺のそばに置いて、手を合わせた。
    「……ごめん。君も、悪くはなかったんだと思う」
    次の日、穹くんは僕の言う通り何事もなかったように過ごしていた。あんなに泣きじゃくって壊れそうなくらいの声を上げていた君に、僕はずっとささやき続けた。君は怖いものを見てしまっただけ、悪い夢は忘れていい。
    今日の君はきっと、自分が何をしたかよくわかっていない。
    でも、僕は知っている。だからこそ、僕は君の世界を壊さないことを選んだ。
    「うん、今日もいい天気だ。帰りにアイスでも食べようか」
    ーーー
    穹くんがあるときは足を踏み外して歩けなくなっちゃうかもしれない。その時もファイノンはずっと付きっ切りで穹くんの脚になったから、弱っていた穹くんは自分を助けてくれるファイノンに依存しちゃうかも。ファイノンにとっては想定外の嬉しい誤算が起きた夏になるんだろうな。。

    穹くんが崖沿いの遊歩道で足を滑らせたのは、午後3時すぎだった。
    笑いながら、冗談を言いながら、
    「おい、見てくれこのヤバい石。ペンギンの横顔みたいじゃね?」
    なんて、ふざけてた直後だった。
    その石に足を取られて、穹くんは崖際に落ちかけて、僕が掴んだ。肋骨が軋んだけど、間に合った。
    穹くんの足首が、完全に折れていた。その日から、僕は彼の脚になった。歩けない穹くんの背を、何度も背負った。
    脇を支えて、床に落ちたものを拾ってやった。
    彼が何も言わなくても、僕は全部わかって動いた。
    穹くんは変わっていった。最初は悔しそうだったのに、ある日こう言った。
    「……なあファイノン、俺って今、わがまま言っていい立場?」
    「もちろん。君は僕の宝物だから」
    穹くんは、僕の膝に頭をのせた。涙も、笑いも、照れくささもなく。ただ、甘えるように。
    「じゃあ、夏が終わるまで、ここにいさせて。帰るの、面倒くさい」
    僕は息が止まったような感覚だった。だって、それはずっと願っていた言葉だったから。
    8月31日が過ぎても、穹くんは村を出ようとしなかった。
    僕の布団の隣で眠る彼の寝息が、9月1日にも、2日にも、そこにあった。
    季節が進んでも、彼は僕のそばにいた。でも僕は、知っていた。
    これは”延命”じゃない。ただの後回しだ。彼が治って、歩けるようになったら、
    また彼は帰ろうとする。またあのトンネルに向かって。その時、また夏は終わる。
    僕たちはまた「初対面」になる。だから、僕は祈った。どうか、彼の足が治らないままであってくれますようにと。

    回復した穹くん、自分はあのとき、ファイノンに依存してただけ。けど結局それがきっかけで「自立した自分で会いたいから、一度村を出る」と言う。
    もちろんその時ファイノンは止めるけど、やはり穹くんは出ていくそして、また初対面の穹くんが村に来る
    ーーー
    ファイノンの異変はありそう。というか既に彼は穹くんの起こしたことの隠蔽も、彼を怖がらせて小屋に閉じ込めて日付の経過観察もしてるし間違いなく繰り返しているうちに何かこう”躊躇い”がなくなってると思う。
    村人との会話で、その”仮に思いついたとしても人道性に欠けるから言わないはず”なことも言っちゃうファイノンを見て、穹くんが心配になったりとか「お前…大丈夫か?つかれてるんじゃないか?」って。それにはッとしてファイノンが「あ、あぁー…いや最悪のパターンだけどね今話したのは、はは、は、、…」ていうんだ。
    ーー
    5000回を超えたあたりで、ファイノンがだんだん冷たい表情もするようになる。その鱗片を見た穹くんがちょっと怖さを感じ始めたり、今までなかったはずなのにファイノン的にはいつもと変わらないはずなのになぜか今回は穹くんとの距離が遠いってなってるといいな。なぜ?
    ファイノン自身はそうして繰り返し続けたことでできてしまった冷酷な自分の側面に気づけてないんだ。
    ーーー
    彼の目には“冷たい自分”が映っていない。むしろ「どうして君が僕を避けるんだ?」と混乱
    穹くんがファイノンを「ちょっと怖い」と明確に言葉にしてしまう。

    穹くん視点多め。いつも通り、夏休みの間だけ田舎にやってきた。

    ファイノンは最初から妙に親しげで、距離が近い。けれどそれは「愛想がいい人」程度の印象だった。そしてある日のこと。穹くんは散歩の途中で迷い込んでしまい、軽く足をくじいた。スマホも圏外。藪の中で膝を抱えていた時、草を踏む音がして、ファイノンが現れる。
    「よかった……間に合った……」
    「ファイノン?なんでここに……」
    「君がこっちに行きそうな気がして。……いや、なんでもない。さ、肩貸すよ」
    穹くんは肩を借りて立ち上がるけど、心のどこかに違和感が残る。

    近所の男の子とトラブルを起こしてしまい、その子が山に一人で入ってしまった。心配になって村人たちが捜索している中、穹くんが聞いてしまった。ファイノンが村の年配の人に向かって言った、冷たい一言。自分はまだ彼と日が浅いが、それは彼らしくないと、なんとなく穹くんは思ってしまった。
    「山に入ったなら、もう戻らないかもしれませんね。捜索で他に二次被害が出ないとは限らないし、速めに切り上げた方が後が楽なんじゃないかと」
    その言葉に、村人が凍りつく。ファイノン自身はそれが最悪のケースと合理的として口にしたつもりだった。
    「……え?」
    ファイノンはハッとしてから気まずそうに笑う。
    「…確かに良くなかった、ごめん。ちょっと今日は疲れてるのかもしれない、忘れてくれ」
    次の日、ふたりで川辺を歩いていたとき、ぽつりと漏らす。
    「……ファイノンって、ちょっと怖いときあるな」
    それを聞いたファイノンは、何も言えずに止まる。ほんの一瞬だけ、彼の表情が崩れかける。でも次の瞬間には、またいつもの微笑みに戻って、ただ頷いた。
    「……うん。そうかもしれないね」


    このほころびのような、繰り返し続けたことでおきたファイノンの変化。そしてそれを今回指摘されたことで、自分でも微かに危うさが沸いて、ちゃんと”人らしく振舞う”ということを意識し始めてしまうファイノンがいるってことですかね…それが穹くんにはどこか妙に映ってしまって、、
    それを本当にちょっとからかい感覚で軽く言ってみたら、ファイノンは焦りと動揺などふくめ過剰に反応。穹くんに詰め寄ってしまい「…どこが駄目だった、どうしてそう思うんだ?」って表情のない顔で唐突にそう問われて。穹くん的には相当怖かったろうな… あんなに明るい爽やかなファイノンが、唐突に無表情になって低い声で迫るように聞いてくるから…

    ある日の昼下がり、穹くんとファイノンはかき氷を食べながら、縁側でぼーっとしている。穹くんはご機嫌で、青い舌を見せながら言う。
    「なあファイノン、お前ってなんか最近ちょっと機械っぽいな。んーいやクールキャラとか目指してたりするの、…か…」
    軽口のつもりだった。いつもみたいに「なんだそれ〜」って笑って返してくると思ってた。でもそう告げ始めた途中から不意に空気が冷えたような感覚が走る。アイスのせいだと一瞬思ったけど、それは違うのだと見上げたファイノンの瞳を見て確信した。
    「……どのあたりだ?」
    ファイノンは笑っていない。目も、声も、何もかもが冷たい。
    「どこが駄目だった。どうしてそう思うんだ?」
    ぞわっと背中が冷たくなる。さっきまで隣にいた“ファイノン”はどこにもいない。ただ何か言ってはならないことを言ってしまったということだけはわかっていた。
    「いや、別に悪い意味じゃなくて、ただの冗談っていうか…」
    取り繕おうとした、アイスが垂れていることも忘れて俺は視線を地面に落として顔を見ないようにする。
    しかしファイノンはずいと詰め寄って聞くことを辞めなかった。
    「何か不自然だったか? 僕が“自然に”笑っていなかったと君は思った。そうなんだね」
    その言い方にどれほど違和感を感じたとしても、俺は指摘しないことを選んだ。途端に目の前のファイノンが本当にファイノンなのかすらわからなくなっていく。
    「ぁ……え、…っと」
    べちゃりと、残っていたアイスが全て落ちる。ファイノンの手にあったそれも同じタイミングでべっとりと手へ侵食するように伝い、熱で雫が落ちていった。
    数秒の間、この間にも
    「…ごめんね、ちょっと考え事してた。驚かせたね、最近読んだ本に似たようなセリフがあったから真似しただけだよ。ちょっとは涼しくなったかな?」
    そういうとファイノンは朗らかにほほえんだ。まるでさっきの表情の方が作りものだったように。持っていたタオルに水をかけて俺と自分の手を拭うのを他人事のようにみているしかない。
    「溶けちゃったけど、どうせもう一本あるし食べ直そうか。ほら、僕たち二人とも”当たり”みたいだ。」
    穹くんはそこで初めて、自分の手に持っているアイスの溶けてしまった自分のアイス棒が当たりであり、ファイノンのもあたりであることに気づいた。二つとも持ってきたのは彼だ。すごい偶然だねと笑って言うファイノンに沸いた違和感が拭われることはなかった。
    ーーー
    それでね、この後結局5024回目になるんだけど、そこでもまた似たようなこと言われちゃって…
    穹くんに指摘された5024回目の村では、そう言われた数日後にファイノンは穹くんと山奥の滝まで行くんだよね。いい景色だからって誘いだして。穹くんも写真撮りたいってカメラ持って行くんだけどさ。この時のファイノンはまだやってないことがあって、それをすることにしたらしい。
    滝の先、上に上ったその崖の傍でファイノンは穹くんへ不意にハグすると、そのまま一緒に落下。焦り目の端に涙を浮かべる穹くん、そんな穹くんの表情を間近に見つめて、君と終わる夏は初めてだなってちょっと微笑んでるファイノン。そうして5025回目で目を覚ました時、先ほどまで恐怖の表情だった穹くんはまた目の前で明るく初めまして!と笑っているんだ…


    儚くしっとりしているのにその根底から侵食していくような狂気、しかしそのどれもがファイノンの本来の祈りである彼を留めたいという純粋な願い、愛情から来てるのが私的にはエモポイントだと思ってますの、、、
    この後どうしよっかな… どんどん穹くんの求める”ファイノン”の像に自分が回数を積んで行くごとに寄せていってしまいそうで。。。 苦しいけど、かつての”カスライナ”をわすれかけてきたその穹くんからの積み重なった言葉を元に出来た”完璧なファイノン”を穹くんが「本当か?」と見透かしたような目で問うてくるのとかみたいですね… それはきっとこれまでの”完璧なファイノン”への初めての疑念になったせいで、問われた回のファイノンは精神がぼろぼろになっちゃいそう。
    「完璧なファイノン…? それってお前が“自分じゃない”ってことだろ…?」
    ファイノンは、ぐらりと体を揺らす。風鈴の音が空白の時間を繋ぐように僕の心を急いていた
    「…ファイノン…?」
    そう呼んだ穹くんを前に、僕はどんな顔をしていいかわからなくなった。

    この後、 多分あの時”初めて一緒に終わった夏”というの以来、穹くんがこのファイノンの5000回にも及ぶ記憶が微かに入り混じり始めるんだよね。だからファイノンは知っていて当然だけど、今の彼が何で知っている…?となるようなシーンを穹くんが会話の中で「だよなーだって”前にもファイノンは猫に引っかかれてたしな”!」と告げ、ファイノンもそうだったねと笑って言うが数秒後に違和感を感じる。…まってくれ、なんで君がそれを”覚えている”?となり、穹くんも「…ん?あれ、俺達…会ったばっかで…」と頭を抱えている。ファイノンはかつてない焦燥を感じた。
     ”思い出させてはいけない”
    思い出して君が自覚したら、この空間は崩壊する。 君はまだ自分が死んだことを覚えていないだけの魂だから。入り混じった記憶にもし”戻った自分が助からない状態”というのがあったらそれはファイノンにとって、そして現状にとっての”詰み”となる。 ”死が確定してしまう”のだから。
    この時ファイノンは全身の体温が抜け落ちた様になり、顔色を悪くした。穹くんはテキトー言ったかも―と流していたが、目の前の明らかに様子のおかしいファイノンに焦る。 そうして心配する声も、ファイノンにとっては遠ざかったように聞こえるほどに今のファイノンは追い詰められていた。
    どうしようどうしたらいい、だめだ気づかせるな、どうして知ってる。
    ぐるぐると動く思考の端で、彼は簡素な結論を一つ浮かべる。
    彼に考える余地を与えるな。
    その言葉通りにファイノンは少し前まで朗らかな会話をしていたはずの”友人”に…

    とまあ…でもここからこのループに初めて亀裂が走るんですわ。それはどんどんまして増えていき、、ファイノンは焦燥の中タイムリミットの存在を実感し始める。永遠だと思っていたのに、この自己(カスライナ)を犠牲にしたループはいずれ彼にばれてしまうかもと。

    「だよなー。前にもファイノン、猫にやられてたしな!」
    「あはは!前にも、ね……」
    そんな話で盛り上がっていた時だった。”前”?
    数秒の静寂。風鈴の音が遠くで鳴り、僕の思考は数百回前の日のことを遡っていた。
    「……まってくれ、それは“いつ”のことだ?」
    驚くほど淡々とした声が自分から出た、そして続いたのは彼の声色。しかしそれは次第に小さくなっていき、自信を無くしていくかのようで。
    「え?えっと、前……?……あれ? 俺たち、いつ会ったんだっけ?」
    混乱した様子で俯き、額に手を当てていた。表情は困惑と疑念を示している。
    「夏休みで、来て…お前と……猫追いかけて……あれ? 前も…?」
    僕は凍り付いたような感覚だった。
    こんなこと、これまで一度もなかった。
    “思い出させてはいけない”
    “君はまだ、自分が死にかけていることを知らない。魂の状態を留めているだけの存在。”
    “戻った先に『死』の記憶があったら、それで終わってしまう。”
    「……穹、少し、休もう。部屋に戻ろう。君、日射病かもしれないから」
    僕はまるで彼が熱でもあるかのように穹くんの額に手を置いた。そして熱いからと促して傍にあったクッションを寄せて寝かせる。
    「そんなに…体調悪くないけど…」
    「…気づかないうちになるものだからね、何も考えないで寝るといいさ。保冷剤とか持ってくるよ」
    ただ微笑みながら彼に言うと、緩やかにその瞳が閉じるの見届け矢野だった。
    “考える時間を与えるな。”
    “このまま、何も知らないまま、夏を続けてほしい。頼む。お願いだから…”

    ーーー
    穹くんは既視感を告げるようになり始める。そのたびにファイノンはループの崩壊を思い知り始めてどんどん余裕がなくなっていく。 そうして崩れ始めていくのに対策はない、どれほどデジャヴを起こさせないようにしてもこの短期間の5000回を超える錯誤で行ってないことの方が少ないまである。 そうしてかろうじて繰り返していたある日、更なる変化がファイノンを叩き落す。
    穹くんが”初めて村についた時”言ったのだ。
    「あれー!?なんだよファイノン先についてんじゃん!」と。
    おかしい初対面だ、初対面であるべきで、初対面であるはずで…
    ファイノンを最初から、あの最初の日と同じように”友人として”接し始める知らないループが始まってしまったのだった。
    これが続いてしまいファイノンがループの終わりを感じ始めて、これを願った神にどうして!?!なんで…まだ、、終わってくれるな…って縋るんだけど。無意味で。 その回の最後の別れで穹くんが、ファイノンが一度もそしてこのループの間長いこと告げたことのないはずの自分の名前”カスライナ”を「それじゃあ帰ろう。カ、スラ……イナ…?……あ?俺…、なんでお前のことカスライナって呼んで…」と。戻ってきてしまっているのだった。
    ファイノンは絶望する。この、ただの自己満足の世界が終わりを迎えることを悟ってしまったからだ。

    そうして始まった最後のループ。
    ファイノンは気づけばあの日と全く同じように、バスの中で隣に眠る穹くんを肩に寄りかからせて外の景色を見ていた。ああ、…僕の夏の終わりが始まるのだと。

    最期の終わりの日に多分ファイノンは彼を送り出したがらないでしょうね。けどそれは叶わない、ループの始まる前。既に決まっているあの日になぞるように、全く同じように自分は動く様になっていた。変更も修正も効かない、ただ決められたあの日を何も変わらずに行っただけ。このあと夏を終えた穹くんは先に村を出て、帰宅途中に瀕死になる。そのまま、逃れられない”死”を確定し僕の時間稼ぎは無に帰すのだろう。 手を放したくない、そうしてここまでしたのに君を失うのを見届けろというんだ。どこかも知らない場所で、君の危篤の連絡だけを僕はこの村で耳にするんだ。そんなことならば、いっそ。
    ファイノンは自分の決められた動きにあらがおうと、最後に割れそうな身をもって動こうとした。
    壁に埋められたように動かない全身を無理やり動かす。痛みも何もかもこの輪廻が無に帰すのに比べたらどこまでも生ぬるい。
    僕が唯一できたのは、別れの時に彼の手を離さないことだけだった。
    けど穹くんはいつまでも手を離さない僕を見ていったのだ。
    「…そんなに離れるの嫌かよ、なら一緒に帰るか?」
    終焉のための帰路、君を一人にしたことだけが本当の悔いだった僕にとって、それは間違いなく
    救いだった。
    ーーーーー
    2人とも助かることはない。でも輪廻の内で、神の気まぐれでもあったのかもしれない。彼は唯一無二の壊滅と破滅として、ファイノンにその穹くんとの終わりの機会を許し認めたのですわ。
    ーーー
    「これが僕にとっての終わりで、僕に許された唯一の夏だった」

    なつのおわり
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭💖💕💖
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    らと💪

    DOODLE学パロ+無限の夏ループの微文とメモ(1:9)
    なんでも大丈夫人向け。🔆💫、ファイ穹、メリバ風味だけど個人的には救い有判定なので言いきれない。
    ファイ穹 夏終ファイノンがとある村で終わらない夏を穹くんと過ごし続ける話です。
    穹くんが村に着いた時、いつもファイノンが出迎えて「初めまして」と手を差し伸べる。そうして仲良くなって楽しい夏を共に過したあと穹くんはトンネルを通り帰るのだけど……
    その瞬間にトンネルからはまるで鏡のようにバスが出てくるのだ。
    そうして再び穹くんが村へ降り立つと、再びファイノンが「初めまして」と声をかけて仲良くなりたいと告げる。そんなループものです。

    そのプロットメモのようなもの。色々大丈夫な人向け。

    ーーー
    覚えてないだけで穹くんは”夏休みで来た”と思ってるけど、本当はそもそもこのループに入る前に友人のファイノンと一緒に来ていた.
    ここにあるのが穹くんの魂で、実はファイノンが留めており外に出さないようにしている。という真実があります。理由は、ここに訪れて都会に先に帰った時に穹くんが事故に巻き込まれてしまったから。要は都会の病院にある穹くんの肉体がボロボロで見込みが浅いこと知ったファイノンが、その村の神様にどんな方法でもいい、彼を連れて行かないで留めてくれと頼む。結果、”肉体に穹くんの魂を戻したら死が確定してしまう”から、彼は魂を留めて死の確定をあいまいにするということを行っている状態。穹くんをこの村にとどめている限り、穹くんの死は確定しないのだと。そうして繰り返して保っている感じ。
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    らと💪

    DOODLE学パロ🔆、ゲーム内の推しである‬💫が現実に出てきちゃうファイ穹の話メモです。
    思いつきなのと、途中で終わってる
    ファイ穹【マイブーム】
    学生のファイノンには最近ずっとやってるゲームがあった。それは育成ゲーム、部類的には乙女ゲーに近いのだが自分としてはあくまで育成ゲームとして進めているつもりだった。正直に言おう、僕は今このゲームに登場するあるキャラにゾッコンだった。別に恋愛だとかそういう方向では無っ…いとも言い切れないのかもしれないけれど、根本としてはなんとなく。ただ、なんとなく、自分にとって彼のその無垢な優しさに憧れと尊敬と、ちょっとだけ心酔っぽいのをいだいてしまっていた。結構癖が強いって言われてるけど、そこがまたすごく面白くて愛くるしいと思うんだ。
    葦毛色の少しだけ耳にかかる髪と、スッと落ち着いた金色の瞳。立ち絵のようにじっとしているとクールそうにも見えるのに、彼との会話のシーンになった瞬間、乙女ゲームという本来を忘れてしまう程にパッションに満ちたワードが飛び始める。…想像がつきにくいよね。例を挙げるならデートに誘ったら最も好感度の上がる選択肢に、”ゴミ箱との会話”というのがでてくる。そんな感じだ。
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    葦毛色の少しだけ耳にかかる髪と、スッと落ち着いた金色の瞳。立ち絵のようにじっとしているとクールそうにも見えるのに、彼との会話のシーンになった瞬間、乙女ゲームという本来を忘れてしまう程にパッションに満ちたワードが飛び始める。…想像がつきにくいよね。例を挙げるならデートに誘ったら最も好感度の上がる選択肢に、”ゴミ箱との会話”というのがでてくる。そんな感じだ。
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