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    konkon12165

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    DOODLE躑躅と雄炎の短い話
    私の躑躅躑躅 4月上旬 燃え上がる想い 恋の喜び


     もういいかーい。遠くから幼い弟の高く澄んだ声が聞こえる。まだ探し始めるには早いが、幼さ故に探すのを待ちきれなかったのだろう。
     紅炎はふと口元を緩め、燃えるような赤色の花をたわわに咲かせた躑躅の影に屈んで隠れながら弟に見つかるのを待っていた。紅炎を見つけたら何でもひとつ言うことを聞くと約束したので、紅覇は隠れ鬼を始める前から大興奮だった。最近は何かと忙しく構ってやれていなかったので、今日は朝から紅明共々遊びに付き合っているが、たまにはこんな穏やかな1日もよいものだ。
     春の風は満開の花々の香りを乗せてどこか甘く、晴天の青空を見ていると気分がよくなる。外で過ごすには最高の日だ。紅明は書庫から出たがらず無理矢理引きずってきたが、外に出してよかった。あれも兄になったので、弟のことを考えて書庫に帰ったりはしないだろう。炎兄、明兄どこー?という紅覇の声がまだ遠いので見つかるまで多少時間がかかりそうだ。服はもう既に汚れているのだし、いいかと思って膝を抱え直接地面に座る。赤い躑躅に埋もれるように隠れながら、誰も見ていないのをいいことに指先でひとつ花をつむと口に咥えた。花の蜜の甘い味が広がる。咥えた花を揺らしていると、唐突に近くで声が聞こえて驚きのあまり咄嗟に跳ねそうになった体を押し留める。
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    konkon12165

    DOODLE8/31の迷宮探訪お疲れ様でした。これはPixivで公開中の白雪と紅椿(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=24718275)の番外的小話です。楽しんでいただければ幸いです
    白雪と紅椿 小話 紅炎は白雄から頼まれた文を届けるお使いの帰りにてくてくと目抜き通りを歩いていた。というのも白雄から何か欲しいものを見つけなさいと課題を与えられたからだ。紅炎が毎月のように貰った給金をそっくりそのまま弟たちに渡してしまい、自分では少しも使おうとしないので、とうとう白雄は弟たちの生活は俺が守るからお前はもっと自分のことを大切にしなさいと言ったのである。そこまでしてもらうのは流石に申し訳がないと思ったが、弟たちに聞いてみれば、もう随分前から白雄の使いが食料を持ってきたり家事をしたりで面倒を見てくれていたらしい。紅炎が気にするといけないからと口止めされていたのだという。
     そういう経緯があり、紅炎はより一層白雄への忠心と敬愛を深め、言われた通り欲しいものを見つけるためにこうして目抜き通りを歩いていた。目抜き通りはこの都でも指折りの有名店が軒を連ねているだけあり、金さえあればここで手に入らぬものはないと言われているほどだ。今でこそ白雄の使いで目抜き通りの店に来ることが多いので歩き慣れているが、そうでもなければ都外れの長屋暮らしの紅炎には生涯縁のない場所だっただろう。物珍しいものから高価なものまで様々ある。
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