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    早朝、海辺を散歩する雄炎の現パロ話

    #雄炎

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     もういいかーい。遠くから幼い弟の高く澄んだ声が聞こえる。まだ探し始めるには早いが、幼さ故に探すのを待ちきれなかったのだろう。
     紅炎はふと口元を緩め、燃えるような赤色の花をたわわに咲かせた躑躅の影に屈んで隠れながら弟に見つかるのを待っていた。紅炎を見つけたら何でもひとつ言うことを聞くと約束したので、紅覇は隠れ鬼を始める前から大興奮だった。最近は何かと忙しく構ってやれていなかったので、今日は朝から紅明共々遊びに付き合っているが、たまにはこんな穏やかな1日もよいものだ。
     春の風は満開の花々の香りを乗せてどこか甘く、晴天の青空を見ていると気分がよくなる。外で過ごすには最高の日だ。紅明は書庫から出たがらず無理矢理引きずってきたが、外に出してよかった。あれも兄になったので、弟のことを考えて書庫に帰ったりはしないだろう。炎兄、明兄どこー?という紅覇の声がまだ遠いので見つかるまで多少時間がかかりそうだ。服はもう既に汚れているのだし、いいかと思って膝を抱え直接地面に座る。赤い躑躅に埋もれるように隠れながら、誰も見ていないのをいいことに指先でひとつ花をつむと口に咥えた。花の蜜の甘い味が広がる。咥えた花を揺らしていると、唐突に近くで声が聞こえて驚きのあまり咄嗟に跳ねそうになった体を押し留める。
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