スグリと魔法の宝箱魔法学校、ブルーベリー学園。ここには様々な地方から魔法を学ぶ為、多くの生徒達が集まっている。
私、アオイはオレンジアカデミーのクラベル校長の推薦と、魔法という響きに釣られて、つい先日パルデア地方からはるばるブルーベリー学園の門を叩いたばかりなんだ。オレンジアカデミーではポケモン主体の物理バトルが主流だけど、ブルーベリー学園ではトレーナーがポケモンに魔力を与えて戦う魔法バトルが中心となっているみたい。
ただ、様々な地方から人が来るとは言え、学校があるイッシュ地方の生徒が大勢在籍している為、私ってなんだか浮いているなと思っていたら。
「残念だけど、よそ者はこの学校にいれてあげないの。」
ゼイユと名乗る勝気な女性生徒と、その影に隠れておどおどしているゼイユの弟、男子生徒、スグリと出会ったよ。
来たばかりで魔法に関してもこの学校についても知らない事ばかりがだけど、自分で言うのもなんだけど真っすぐな私の性格を気に入ったであろうゼイユと打ち解ける事が出来たんだ。
スグリとは偶然同じクラスになり、最初こそどぎまぎしていたスグリだったが、徐々に警戒心が薄れ、次第に笑顔になってくれた。
それからというもの、二人で魔法の練習したり、ポケモンと一緒にピクニックしたりと楽しい時間をす過ごしたよ。スグリは相棒のカジッチュと共に日々魔法の勉強をしながら、スグリの出身地のキタカミの里に伝わる伝説のポケモンについて調べているみたい。
私の相棒ポケモンのニャオハは日向ぼっこが好きなようで、ピクニック中に大地に寝そべってゆっくりとした時間を過ごす事が多かった。
ブルーベリー学園に来てから数週間が経ったある日、授業中に“テラスタル”という魔法の話を聞いたんだ。“テラスタル”とは光る魔法で、ヘザーが発見したとされている最初の魔法みたい。普段の魔法バトルで魔力をポケモンに与えるのとちょっとだけ違い、テラスタルオーブを介してポケモンに魔力を注ぐ事でテラスタルが出来るんだって。ようするにテラスタルオーブを持っていれば誰でも使えるって事。テラスタルオーブは学園に在学の生徒は支給されてるから使っててもいいはずなのに、テラスタルを使っている生徒はを見た事がないような?妙にその事が気がかりで、自分でテラスタルを試そうと授業が終わってすぐにテラリウムドームに向かってみた。
さっそくニャオハに魔力を与えてみるけど何も変化がない。テラスタルオーブを確認しても別に壊れているわけではない。そりゃ使っている生徒を見ないわけだよ。使いたくても使えないし原因がわからない。もしかしてテラスタル自体の表面上の知識だけじゃダメで、もっと深く知る必要があるとか…?色々と思考を巡らせていると、ふいに物陰から何かが落ちる音がした。音のした方にかけよってみると、そこには宝石のようにキラキラした物が転がってた。手に持って観察していると、ふとブルーベリー学園のシアノ校長が言っていた言葉を思い出した。
「あれこそテラリウムドームを見守るテラリウムコア。あのなかにはパルデアで採れたとある物質が溶け込んだ液体が入っているんだよー。」
今いる場所がドーム内という事を思い出し、その技術のすごさに改めて驚いた。パルデア中を駆け巡った時のような空気感、体を撫でる風や踏みしめる大地の感触は、自然そのものと言っても過言じゃないよ。唯一ドーム内にいるとわかるのが、空中に形作られたテラリウムコア。テラリウムコアは眩い光を放ってドーム内を照らし、私も照らしてくれていた。
改めて落ちていた物体を見ると、テラリウムコアと同じ輝きを放っている事に気付く。液体が入っていると言っていたので、この物体はテラリウムコアの外郭の部分かも。テラリウムコアを管理しているのは確かブライア先生だったはず。ヘザーの子孫だと言っていたから、この物体について尋ねるついでにテラスタルについて詳しく聞いてみよう。
ブライア先生に拾ってきた物を見せると、テラリウムコアの欠片で間違っていないと言っきた。テラリウムコアは世界中のあらゆる知識、技術を結集したもので、それゆえにとても繊細なんだって。ポケモンがぶつかったのか、劣化が原因か…。ブライア先生は欠片を見ながらずっとブツブツ言っていた。何やらとても長くなりそうなので退散しようとしたら、ブライア先生が急に腕を掴んできた。
「君がこの欠片を持ってきた事には意味があると思う。そこで、だ。私と一緒にキタカミの里に行ってはくれないか?」
キタカミの里にはてらす池という場所があって、そこにはパルデアの大穴と同じくテラスタルの結晶みたいな塊が池の底に沈んでて、それが原因かはわからないけど亡くなった人に会えるという謎めいた噂があるんだって。ブライア先生はその噂を信じるわけではないが、あわよくばヘザーにあってテラスタルを発見した経緯を知りたいみたい。私が池について知りたいから一緒に同行するという形で里に入れば警戒されないのではと目を輝かせる先生。…なんだか利用されている感満載だけど。キタカミの里出身のスグリとゼイユも一緒に来るなら行ってもいいかなと提案したら心よくOKしてもらった。ゼイユにこの事を説明しに行ったら、ちょうど祭の時期だから帰省したかったのよねとルンルンしてた。