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    はずみ

    供養
    勝デク、出勝、同軸リバ、女体化、女攻め、ブロマンスなどが好き
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    好みが合えばうれしいです

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    勝デ、勝デ♀、勝♀出♂
    出勝、出勝♀、出♀勝♂
    ブロマンス(勝+出)
    リバ(勝出勝)

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    はずみ

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    再掲+手直し。
    幼稚園時代、個性発現前の幼なじみがお絵描きをする話。
    フィーリングです。

    #ブロマンス(勝+出)

    わたしのえ 真っ白い画用紙に、みっちりとたくさんの人が並ぶ。
     だが、出久はまだまだ人を描き足して行くつもりらしい。脇目も振らず、せっせとクレヨンを走らせている。
     勝己は心底ゲンナリした。クレヨンを強く握っているせいで包装紙がよれてしまい、出久の爪先には色取り取りの顔料がこびりついている。これではキラキラの『キレイにおかたづけできた』シールは貰えない。
     諦めて、もう一度描かれた絵を見る。頭にお団子をつけているのは出久の母──おばさんで、隣にある電話の子機は、きっと海外出張中の父──おじさんだ。
     勝己だってもうほとんど覚えていないけれど、父親なのだから、せめて人の姿で描いてやれと思った。
     哀れなおじさんの隣には、ウニのような頭の子供が並ぶ。おそらく自分だ。ウニ頭の背後にはメガネをかけたシャツ姿の男と、少し毛足の長いウニ頭が、スカートを履いて並んでいた。順当にいけば、こちらは勝己の両親だろう。おばさんの方には、園の先生や同じ組の子供が並ぶ。その背後には、全てを守るように大きく描かれたオールマイト。彼も例の如く歯を輝かせている。
     みんな笑顔だ。
     人だけではない。
     犬や猫や、なんなら太陽や花まで満面の笑顔である。
    「太陽に顔なくね?」
     花にもないが、とりあえず聞いてみる。
    「あんなにまぶしいんだもん、きっとオールマイトみたいに笑ってるよ。ちょー遠いから見えないだけ」
     回答は憶測の形をした妄想だった。
     遠くて見えないだけならば、父親だってそれっぽく描いてやれと思いつつ──大して興味もなかったので、勝己は適当に流した。
     出久はまだクレヨンを動かしている。
     画用紙の隙間が人で埋まっていく。
     みな笑顔で、幸せそうだった。
    「出久は?」
     その問いに、しまった、という表情で出久が固まる。
     自分のことをすっかり忘れていたらしい。
     眉が下がって、じわりじわりと涙が滲む。
    「ど、どうしよう…わすれてた…」
     画用紙にはもうひとりだって描き足せるスペースはない。
     無計画に描き殴るからこうなるのだ。
     勝己は鼻を鳴らした。
    「どーすんだよ。コレ、『わたしのえ』だぞ」
    「えっと…えっと…」
     ふる、ふる。
     涙の粒が目の縁で揺れる。汚れた手で唇を触ったから、最後に塗った空色が口元にもくっついた。赤い唇はよく見るけど、青いのはなんだか見慣れない。プールに浸かりすぎた時だって、こんなに青くはならないだろう。
     出久は汚れに気付かず、唇をいじりながら、なんとか自分を描き足せないかと唸り始めた。
     塗りつぶして修正すれば早いが、きっと出久は嫌なのだ。
     仕方なく、勝己は手を挙げた。
    「センセー、セロハンテープつかっていい?」
    「いいわよ。画用紙、破れちゃった?」
    「ううん、出久のとくっつける」
     勝己は出久から画用紙を取り上げると、裏返しにして机に置いた。その隣に、自分の画用紙も裏返してくっつける。
     セロハンテープを切り取って、ずれないように、慎重に二枚を貼り付けた。
     そうして、一枚の大きな画用紙が出来上がる。左右で絵の密度が違うのでバランスは悪いが、良しとした。
     ぽかんとした顔で勝己を見つめる出久の前へ、繋げた画用紙を押し返す。勝己の描いた『わたしのえ』には自分自身しか描いていないから、まだ少しだけ余白がある。
     出久ひとりくらいなら、十分描き足せるだろう。
    「ん」
    「かっちゃん、いいの?」
    「スキマくらいならかしたる」
    「ありがと…!」
     泣いたカラスがもう笑った。
     にこにこ笑っているが、唇は汚れて青いままである。
     勝己はポケットからティッシュを取り出し、数枚抜きとった。折り畳んだティッシュで出久の唇をゴリゴリ擦ると、やっと元の色が戻ってくる。
     全く手が掛かる。
    「かっちゃんのとなり!」
    「となりじゃねーし。後ろだ後ろ。
     エンキンホーってしらねーの?
     俺よりちっちゃくかけよ」
    「えー? となりじゃだめ?
     僕かっちゃんのとなりがいい」
     突然図々しくなるのはなんなのだろう。
     言い負かしても良かったが、お絵描きの時間は残りわずかだった。
     仕方なく、勝己は出久が隣に並ぶのを許してやった。
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    はずみ

    MOURNINGモブ(になって幼なじみを観測する)夢
    🧨が推しのモブ女子高生が🧨にダル絡みして勝手に惚気砲を食らう話です

    ※リバの幼なじみが結婚している時空
    ※出は不在です
    ※平時なら普通に会話してくれるくらい丸くなった🧨がいます
    推しと惚気と幸せの元と 推しが結婚した。
     というかしていた。
     既婚者だった。
     隠していたわけではないが、公にする理由もなかったので、なるように任せていたらしい。妙なところがドライというか、大雑把である。
    「ダイナマって全然惚気んよね」
    「ア?」
    「結婚してたんでしょ?」
     デクと。
     卒業してすぐ。
     惚気てくれていたら、もっと早く気付いていたかもしれないのに。
    「あたしすぐ惚気ちゃうから、我慢できるのすごいなって」
     パトロール中たまたま見つけた推しへダル絡みしながらドリンクを飲む。推しはぎゅっと唇を捻じ曲げ、ガードレールに尻を預けた。
    「コス汚れるよ」
    「働いたら汚れるモンなんだよ」
    「や、いまは違うっしょ」
     先ほどまでは確かにパトロールをしていたかもしれないが、今は名もない女子高生に絡まれているだけである。どう考えても勤務外、良くてファンサの一環だろう。ヒーローの働きとは違うように思えた。
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    はずみ

    MOURNING再掲+手直し。
    幼稚園時代、個性発現前の幼なじみがお絵描きをする話。
    フィーリングです。
    わたしのえ 真っ白い画用紙に、みっちりとたくさんの人が並ぶ。
     だが、出久はまだまだ人を描き足して行くつもりらしい。脇目も振らず、せっせとクレヨンを走らせている。
     勝己は心底ゲンナリした。クレヨンを強く握っているせいで包装紙がよれてしまい、出久の爪先には色取り取りの顔料がこびりついている。これではキラキラの『キレイにおかたづけできた』シールは貰えない。
     諦めて、もう一度描かれた絵を見る。頭にお団子をつけているのは出久の母──おばさんで、隣にある電話の子機は、きっと海外出張中の父──おじさんだ。
     勝己だってもうほとんど覚えていないけれど、父親なのだから、せめて人の姿で描いてやれと思った。
     哀れなおじさんの隣には、ウニのような頭の子供が並ぶ。おそらく自分だ。ウニ頭の背後にはメガネをかけたシャツ姿の男と、少し毛足の長いウニ頭が、スカートを履いて並んでいた。順当にいけば、こちらは勝己の両親だろう。おばさんの方には、園の先生や同じ組の子供が並ぶ。その背後には、全てを守るように大きく描かれたオールマイト。彼も例の如く歯を輝かせている。
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    MOURNING再掲+手直し。
    幼稚園時代、個性発現前の幼なじみがお絵描きをする話。
    フィーリングです。
    わたしのえ 真っ白い画用紙に、みっちりとたくさんの人が並ぶ。
     だが、出久はまだまだ人を描き足して行くつもりらしい。脇目も振らず、せっせとクレヨンを走らせている。
     勝己は心底ゲンナリした。クレヨンを強く握っているせいで包装紙がよれてしまい、出久の爪先には色取り取りの顔料がこびりついている。これではキラキラの『キレイにおかたづけできた』シールは貰えない。
     諦めて、もう一度描かれた絵を見る。頭にお団子をつけているのは出久の母──おばさんで、隣にある電話の子機は、きっと海外出張中の父──おじさんだ。
     勝己だってもうほとんど覚えていないけれど、父親なのだから、せめて人の姿で描いてやれと思った。
     哀れなおじさんの隣には、ウニのような頭の子供が並ぶ。おそらく自分だ。ウニ頭の背後にはメガネをかけたシャツ姿の男と、少し毛足の長いウニ頭が、スカートを履いて並んでいた。順当にいけば、こちらは勝己の両親だろう。おばさんの方には、園の先生や同じ組の子供が並ぶ。その背後には、全てを守るように大きく描かれたオールマイト。彼も例の如く歯を輝かせている。
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