俺は一体。 一生分のビッグイベントがいっぺんに訪れたような、そんな数日間だった。
デク。そう名乗った少年は、俺の夢を、諦めないという強い気持ちを思い出させてくれた。個性を笑わないで、素敵な個性だって言ってくれた。
デクは、俺のヒーローだ。でもそれだけじゃない。俺は、デクが好きだ。恋愛的な意味で。デクもとっくに気付いてはいるんだろう。
俺の個性は嘘がつけない。ピノはデクを見つけるとすぐに飛んでいって、デクの頭に座り込む。たまにデクの頬にキスするもんだから、好きなことなんてきっとバレてる。
日に日に大きくなるこの気持ちなんて。
「また、来るよ。」
デクが抱きついてきて、そう言った。
「俺は来ないでほしいけどな。デクと居るとろくな目に合わねぇ。」
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