みつ首　その日、イデアが自寮生に呼ばれ不在の部屋で本人許可のもと訪れ、積んであった本を引っ張っていたときだ。
　間に挟まっていた紙に描かれた魔法陣。
　それが何なのかわからず、落ちそうになったのをケイトが指先が摘んだときだ。
　どんと小さな爆発音とともに溢れた魔力の塊が、白く霞んだと思った時、なにかが飛び出してきてケイトに飛びかかってきた。
　それを避けることもできず、押し倒され打ち付けた背中が痛むがそれ以上に、目の前に迫った自分の身長よりも大きいであろう三首の猟犬が、しきりに匂いを嗅ぎ、又は舌を出し頬を舐め、ぐるると唸っている。
「ひっ…ちょ、え？ケル…ベロス」
　その姿を見とめ呟きが溢れた。
　頭の一匹がしきりに鼻を鳴らしているのに対し、唸っていた頭が、ケイトのシャツの襟元を咥えると、布は悲鳴をあげて裂かれていく。
「ッ…んっやめ」
　前足がケイトの胸を圧迫するように抑え、寮服でなく部屋着でいたのがいけなかったのは、牙はケイトのスエットさえも引っ掛けそれが裂かれる。
　顕になった肌が、牙が掠ったことによりわずかに赤みを帯び、遠ざけようと伸ばされた手ではびくともせず、獣にしては甘く片腕を噛まれた。
　それにケイトは恐怖を感じ、容易く抵抗を封じられた。
「ちょっと、離せ、っ」
　一頭がふとなにかを感じ取ったのか、ケイトの腰あたりに鼻先をこすりつけ匂いを嗅ぎ取るよう動き回る。濡れた鼻先が、破れた衣服の隙間ケイトの肌をビチャリと濡らす。
　と、べろりと舐めあげられればびくりと震えが立ち上る。
　それは恐怖か、それとも熱の高ぶりか。
　半分裂かれた下着に顔を突っ込むようにされ、舐めあげられるのに身を捩って逃げ打つと、一頭に咥えられてた手が開放されたかと思えば、前足で肩の後から圧えるように踏まれると動けず、足が床を滑る。
　ハッハッと獣の吐息。
「っ…な！！」
　そのまま腰から、双丘の谷間に鼻先を押し付け一頭が事もあろうにその谷間にそって舌を這わせたのだ。
「くそっ！もう、ぁん」
　器用に裂かれた布の隙間、奥に秘められた場所を舌先がつついた。
「いやっ、っう！ダ、メっ…」
　もがいてはいるのに、抑えつけられた肩はびくともせず、一頭はケイトの首辺りを咥えてきた。
　硬質のエナメルが首に食い込む感触に、ただただ恐怖が溢れるが、嬲られる後孔にねじ込まれるように蠢く舌から溢れる唾液を纏ったそれが内壁をこすっていく。
「や、やだ…ヤッ！」
　びちゃびちゃと溢れる唾液が、恐怖と刺激にわずかに硬さを増したケイト自身を伝う生温い感触が気持ち悪い。
　逆らえば、首を食いちぎりそうな一頭と、陵辱に没頭する一頭。そして、もう一頭は時折唸りながらいたが、ウォンと一つ吠えると二頭は瞬時にその吠えに反応しケイトから離れた。
　助かったのかと思えば距離を取ろうと膝立ち震える体を叱咤し、ケイトは這うように逃げようと数歩動いたところで、背中に衝撃を感じる。
　三頭のそれぞれの、吐き出す息がケイトの頭のすぐ上に感じた、と同時に嬲られていた後孔に充てがわれた熱。
「ひぃ！！うそ…」
　目を見開く。
　それがなにかを悟ったと同時に、血の気が引いていく。
　囲う様に見える前足がケイトの顔の横にあり、一頭の顔が目の端に映る。
　無遠慮に涎と牙が光る口が開き、それはまるで獲物を嬲る捕食者の絶対的光が垣間見える。
「ぅ…ぁ、デア…くん…」
　ありえないような質量がぐっと推し入ろうとした。