写真最初の頃は、逃げて逃げて逃げられてブレブレの写真だった。
少しずつ話して、いろんなことを知って、笑って、意外な一面も見て、ぶれていない写真が一枚。
かわいくて格好良くて、拗ねて笑って…写真が増えていく。
あ、いいな…が好きに変わるのは早かった。
そうして、触れてその目をまっすぐに見て笑い合って。
フレームに収まる距離が近づいていき、今は自撮りで画面を向けると少し小首をかしげて頬に触れる髪が時々くすぐったくなる距離。
写真を見れば優しい目元にドキドキして、その横顔を見ると視線が合い、目が細められるのに頬に熱が指す。
名前を呼ばれても、赤くなった顔を見られたくなくて背けたままでいれば、顔をすくうようにマレウスくんの片手が頬に触れるのに負けてそっちを見るとふわりと触れる唇の感触。
「ここ中庭だよ?」
「そうだな、だが誰もいないぞ」
「いないからって突然はダメでしょ」
「そうか…」
写真見たら思い出しちゃう。
ある日の瞬間。