Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    OtohaFrappe

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 1

    OtohaFrappe

    ☆quiet follow

    刀だから眠らないけど、じっちゃんと一緒に眠ってみたい獅子王。
    ※獅子王とじっちゃんしか出てきません。
    ※刀剣男士として顕現するより前の話。じっちゃんには獅子王が見えています。
    こんな感じの、眠りがキーワードの一つになる獅子王とじっちゃん(と送り主=帝)の短編集か何かをつくりたいな~とぼんやり考えていくつかネタだししていたうちの一つです。

    #刀剣乱舞
    Touken Ranbu
    #とうらぶ
    TouRabu
    #獅子王
    lionKing

    眠らぬ獅子が眠るとき「なあ、じっちゃん。眠るってどんな感じなんだ?」

    邸に帰ってきた頼政を出迎えた獅子王が、二人で居室に入るなり投げかけた問いに、頼政は少し間を置いて静かに返した。
    「眠り、か。心身を休める為には必要不可欠なことだ。身体だけでなく心を休め、しばし浮世の些事から離れる」
    「夢ってのをみることもあるんだよな?」
    「ああ。眠りについた後は意識はなくなるが、夢をみることもある」
    ふうん、とだけ呟いてしばらく難しい顔をしている少年に、老将が何かあったのかと問うてみると、考え考えといった様子で少しずつ言葉が返ってきた。

    「寝るときの人間ってどんなこと考えてんのかなって、気になってさ」
    金の髪を持つ少年は、自らの傍らに佇んでいた相棒の背を撫でながら、ゆっくりと言葉を選ぶ。
    「鵺の鳴き声で、眠れなくなったんだろ」
    「怖いと眠れなくなるってことは、人間が眠るのは安心してるとき……なんだよな、きっと」
    「俺は寝たことないからよくわかんねーけど……」

    ううん、と首を捻っていた子どもは、そうだ、と不意に何かを思いついたようにぱっと顔を上げると、きらきらとその瞳を輝かせて
    「俺もじっちゃんと一緒に寝てみたい!」
    と、名案が浮かんだといった様子で勢いづいてしゃべり始めた。
    「人間って一緒に眠ることもあるんだろ?」
    「それに、一人で横になるよりは人間の気持ちが分かる気がするんだ。だって、一人でいるよりじっちゃんといた方が安心するし」
    「うたにもあるよな」
    よし、決まり! 今夜は初めてじっちゃんと寝るんだ、とはしゃいで鵺を抱きかかえる少年を、頼政は目を細めて見つめていた。



    夜は深まり、雲の合間から顔を覗かせる満月の柔らかな光が室内を照らす中、獅子王は傍らで眠る老将の寝顔を見つめていた。
    規則正しい静かな寝息と、僅かに上下する胸。
    穏やかな寝顔だった。
    今、夢というのをみているのだろうか。獅子王には夢というのがどんなものかよく分からなかったが、恐ろしいものも、愉快なものもあるらしいということは知っていた。
    (じっちゃん、一人のときより安心して眠れてるのかな)
    (そうだといいな)
    (楽しい夢を見てますように)
    衾の中の掌にそっと触れてみると、いつもよりも少し温かかった。それがなんだか獅子王には嬉しくて、掌をそっと撫でてみてから、自分も目を瞑ってみたのだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    OtohaFrappe

    REHABILI刀だから眠らないけど、じっちゃんと一緒に眠ってみたい獅子王。
    ※獅子王とじっちゃんしか出てきません。
    ※刀剣男士として顕現するより前の話。じっちゃんには獅子王が見えています。
    こんな感じの、眠りがキーワードの一つになる獅子王とじっちゃん(と送り主=帝)の短編集か何かをつくりたいな~とぼんやり考えていくつかネタだししていたうちの一つです。
    眠らぬ獅子が眠るとき「なあ、じっちゃん。眠るってどんな感じなんだ?」

    邸に帰ってきた頼政を出迎えた獅子王が、二人で居室に入るなり投げかけた問いに、頼政は少し間を置いて静かに返した。
    「眠り、か。心身を休める為には必要不可欠なことだ。身体だけでなく心を休め、しばし浮世の些事から離れる」
    「夢ってのをみることもあるんだよな?」
    「ああ。眠りについた後は意識はなくなるが、夢をみることもある」
    ふうん、とだけ呟いてしばらく難しい顔をしている少年に、老将が何かあったのかと問うてみると、考え考えといった様子で少しずつ言葉が返ってきた。

    「寝るときの人間ってどんなこと考えてんのかなって、気になってさ」
    金の髪を持つ少年は、自らの傍らに佇んでいた相棒の背を撫でながら、ゆっくりと言葉を選ぶ。
    983

    related works

    recommended works