『赤いきらめきを君へ』放課後のチャイムが鳴り響き、教室のざわめきが少しずつ収まっていく。私はカバンを肩にかけて、そわそわしながら教室の出口で待っていた。今日は鳴子くんと一緒に帰る日。いや、正確には、デートの約束の日だ。
「○○ちゃん、お待たせ! ほな、行くで!」
教室のドアを勢いよく開けて、鳴子くんが現れた。赤い髪が夕陽に映えて、まるで炎みたいにキラキラしてる。いつもの派手な笑顔に、ドキッとしてしまう。
(あかん、○○ちゃんのそのキラキラした目、見てると心臓バクバクや…。なんでこんな可愛いんやろ、ほんま。)
彼はそんなことを内心思いながら、ちょっとだけ頬をかいて誤魔化した。
「うん、行こっ!」
私は笑顔で頷いて、鳴子くんと並んで歩き出す。学校の門を出て、いつもの商店街に向かう道。鳴子くんはいつもの調子で、ロードバイクの話や部活の話を楽しそうに話してくれて、私もそれに相槌を打ちながら、ただ一緒にいるだけで幸せな気持ちでいっぱいになる。
商店街に着くと、鳴子くんが急に立ち止まった。
「なぁ、○○ちゃん、ちょっとここ寄ってみいへん?」
彼が指差したのは、小さなアクセサリーショップ。キラキラしたガラスケースの中に、いろんな髪飾りやネックレスが並んでる。
「え、アクセサリー? 鳴子くん、こういうお店興味あったんだ?」
私はちょっと驚いて、笑いながら聞く。
「まぁ、なんや…たまにはこういうとこもええやろ!」
鳴子くんは少しそっけない口調で答えたけど、耳がほんのり赤い。
(やばい、めっちゃバレそうや…。サプライズやのに、なんでワイこんな緊張してんねん!)
彼は内心で焦りながら、さりげなくガラスケースを覗き込む。
「どれがええと思う? ○○ちゃん、こういうの好きそうやなって思ってな」
鳴子くんがそう言うから、私はケースの中をじっくり見る。キラキラしたビーズのアクセサリーや、シンプルなシルバーのピンも可愛いけど、ふと目に入ったのは赤い花の髪飾り。小さな花びらが繊細に作られていて、まるで本物の花みたい。
「これ、すごく可愛いね!」
私が指差すと、鳴子くんがニヤッと笑う。
「ほな、決まりやな! 店員さーん、これください!」
「え、うそ、鳴子くん!? 買うの!?」
私はビックリして目を丸くするけど、鳴子くんはもう店員さんと話して、ちゃっちゃと会計を済ませちゃった。
(ふっ、○○ちゃんのビックリした顔、めっちゃ可愛いやん…。これ、似合うはずや。絶対似合うはずや!)
彼は内心でガッツポーズしながら、紙袋を手に持つ。
「ほら、○○ちゃん。行くで!」
鳴子くんは私を急かすようにして店を出て、近くの公園まで歩く。夕陽がオレンジ色に空を染めてて、なんだかロマンチックな雰囲気。公園のベンチに座ると、鳴子くんが紙袋からあの赤い花の髪飾りを取り出した。
「○○ちゃん、これ…つけてみいひん?」
「え、うそ、鳴子くん、これ私に!? くれるの!?」
私は思わず声を上げてしまった。こんな可愛い髪飾りをサプライズでくれるなんて、想像もしてなかったからである。
「まぁ、なんや…似合いそうやなって思ってな。ほら、つけてみ!」
鳴子くんはちょっと照れたように目を逸らしながら、髪飾りを渡してくる。
(やばい、めっちゃ緊張する…。○○ちゃんにつけたら、絶対可愛いやろな…。)
彼の心臓はドキドキが止まらない。
私はドキドキしながら、髪飾りを手に取って、そっと髪につけてみる。赤い花が私の髪に映えて、なんだかちょっと大人っぽい気分。
「似合う? 鳴子くん」
私は少し恥ずかしそうに、でもワクワクしながら聞く。鳴子くんはチラッと私を見て、すぐに目を逸らした。
「……まぁ、似合ってるとちゃうんか?」
鳴子くんの耳は真っ赤になっていて、いつも自信満々な彼が珍しく照れている。
(あかん…! ○○ちゃん、可愛すぎて目合わせられへん…! なんやこの破壊力! 髪飾り、めっちゃ似合ってるやん、ワイのチョイス最高や!)
彼は内心で悶絶しながら、必死に平静を装ってる。
「ふふ、鳴子くん、顔赤いよ? 照れてるの?」
私がちょっと意地悪く笑うと、鳴子くんは「な、なんやて!? ワイが照れるわけないやろ!」って慌てて否定するが、ますます顔が赤くなっていく。
「ありがと、鳴子くん。すっごく嬉しい!」
私は心からそう言って、ニコッと笑う。鳴子くんは一瞬固まって、すぐに「ほ、ほな、そろそろ帰るで!」って立ち上がったけど、その手が私の手をぎゅっと握ってくる。
(○○ちゃんの笑顔、反則や…。こんなん毎日見てたら、ワイ、ほんまどうにかなるで…。)
彼はそんなことを思いながら、私の手を握って歩き出す。夕陽に照らされた商店街を、二人でゆっくり歩いていく。赤い花の髪飾りが、風に靡かれ小さく揺れてた。