『原石に残る闇』夕陽が教室を橙色に染める中、いつものように一差が私の机に腰掛けてニヤニヤしてる。幼なじみでクラスメイトの一差は、昔からこうやって私の空間にズカズカ入ってくる。
「○○、マジでさ、お前って俺居ねぇとなんも出来ねぇのな!」
一差は私のノートを勝手に手に取って、パラパラめくりながら笑ってる。
「は!? そんなことないし! 自分でやれるもん!」
私がムキになって反論すると、一差は「ハハッ!」と声を上げて、さらに調子に乗った顔でこっちを見る。
「いやいや、今日の数学のプリント、俺が答え見せてやらなかったら絶対終わってなかったろ? 昔っから○○は俺に頼りっきりじゃん!」
確かに、ちっちゃい頃から一差には助けられてばっかりだ。迷子になった時は手を引いてくれたし、宿題忘れた時はノート貸してくれたし…。でも、こうやって一差にバカにされるのはムカつく!
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