リベリオンのアジトは地上の反抗組織、という物騒な肩書に反して存外、からりとした活気に満ちている。それはリーダーであるリーベルの思想やカリスマ性によるものが強いとロイエは見ているが、それと別にもう一つ。半年前新たなメンバーがそれなりの数入ったことも活気に一役買っているだろう。乾いた空気は好ましいがそれが火薬を呼び爆発しないよう見張らねば、板についた中間管理職の思考回路に自嘲して目当ての扉の前に立った。談話室や廊下の騒がしさから切り離されたように静かなのは、周囲は中で眠る人物の人柄を示していると言えなくもない。ノックを三回、やや乱暴に。返事はない。ため息を吐いて寝室に入る。分厚いノートとペンが置かれただけのシンプルな机とベッドのみの簡素な部屋で、固く狭い布団に潜り込んで寝ている人の目の下には隈が刻まれている。昨夜も、遅くまで眠れなかったのだろう。
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