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    機関獣

    さにちょもとさにいち置き場

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    機関獣

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    男審神者cp週替わりお題企画
    第8回「元恋人」
    さにちょも
    #刀とあるじ攻め

    #さにちょも

    お題:元恋人「婚約者がいる、というのは本当か」
     最後の演練が終わってから、ずっと山鳥毛が落ち着かない。
     他の刀の前で、見せつけるように識にしがみつく悪癖のある訳ありの太刀なのに、しがみつこうとしてこない。
     焦ったくなって手を出すと恐る恐る握ろうとするので、あえて恋人繋ぎで帰った。
     その晩、いつものように求めてくるかと思った矢先に、深刻そうな顔で問われた内容がこれ。

     今日の演練で遭遇した同郷の審神者の刀が余計な事を恋刀に教えたらしい。
     次、遭遇する事があれば圧をかけると識は決めた。
     識と黒獣に対する不敬罪で追放になったどこぞの五男がこちらの世界で審神者になっていたのは、まったくもって想定外。
     死罪を免れ追放で済んだ事は感謝されたが、演練会場で平伏されたのは厄介だった。
     色々聞いていたらしい男の刀にまで平伏された時は、正直黒獣と顔を見合わせて演練を中止にして帰ろうと思った。
     機会を逃したので出来なかったが。
     演練の最中に、一撃で済まさずに誰もが珍しく長く鍔迫り合いしているな、と思ったがそういうわけだったか。
     演練に出した源氏と一文字が戻ってきた時に勝ったのに不機嫌そうだったのもそれか。
     知らない刀が主の過去を口にするのは面白くない。言いたくないから言わない、とこの本丸の刀は弁えている。
    「親の決めた許嫁、で僕が望んだ相手じゃない」
     婚約者ではない、恋人ではない、そもそも識が選んだわけではない、とわかると露骨に安堵する山鳥毛に、あ、妬いてるのかと腑に落ちる。
    「そもそも、種無しの廃王と確定してからは許嫁も破棄している、婚約の契約もない」
    「そうか」
     笑顔になった山鳥毛に、こい、と手招きするといつものように膝に乗り上げてくる。
    「複数の恋人を持てるほど器用な質ではないからな、おまえだけで充分だ」
     途端に首筋の刺青が一瞬で赤くなる。
    「相手として選んだのもお前が最初で最後だ」
     首筋まで赤くして、肩口に顔を埋めてしがみついてきた恋刀が今晩も愛おしい。
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    Norskskogkatta

    PAST主こりゅ/さにこりゅ
    リクエスト企画で書いたもの
    小竜が気になり出す主とそれに気づく小竜
    夏から始まる


    燦々と輝く太陽が真上に陣取っているせいで首に巻いたタオルがすでにびっしょりと濡れている。襟足から汗がしたたる感覚にため息が出た。
    今は本丸の広い畑を今日の畑当番と一緒にいじっている。燭台切ことみっちゃんはお昼ご飯の支度があるから先に本丸にもどっていって、今はもう一振りと片付けに精を出しながらぼんやり考えていたことが口をついた。
    「小竜って畑仕事嫌がらないんだね」
    長船派のジャージに戦装束のときのように大きなマントを纏った姿に畑仕事を嫌がらない小竜に意外だなと思う。大抵の刀には自分たちの仕事じゃないと不評な畑仕事だけど小竜からは馬当番ほど文句らしき物を言われた記憶が無い。
    「いやいや、これで実は農家にあったこともあるんだよ?」
    これなんかよくできてると思うよ、と野菜を差し出される。まっかなトマトだ。つやつやして太陽の光を反射するくらい身がぱんぱんにはっている。一口囓るとじゅわっとしたたる果汁は酸味と甘さと、ちょっとの青臭さがあって我こそはトマトである!と言っていそうだ。
    「おいしい!」
    「だろうっ!」
    手の中の赤い実と同じくらい弾けた笑顔にとすっと胸に何かが刺さった気が 3868

    Norskskogkatta

    PAST主くり
    鍛刀下手な審神者が戦力増強のために二振り目の大倶利伽羅を顕現してからはじまる主をめぐる極と特の大倶利伽羅サンド
    大倶利伽羅さんどいっち?!


     どうもこんにちは!しがないいっぱしの審神者です!といっても霊力はよく言って中の下くらいで諸先輩方に追いつけるようにひたすら地道に頑張る毎日だ。こんな頼りがいのない自分だが自慢できることがひとつだけある。
     それは大倶利伽羅が恋びとだと言うこと!めっちゃ可愛い!
     最初はなれ合うつもりはないとか命令には及ばないとか言ってて何だこいつとっつきにくい!と思っていったのにいつしか目で追うようになっていた。
     観察していれば目つきは鋭い割に本丸内では穏やかな顔つきだし、内番とかは文句を言いながらもしっかり終わらせる。なにより伊達組と呼ばれる顔見知りの刀たちに構われまくっていることから根がとてもいい奴だってことはすぐわかった。第一印象が悪いだけで大分損しているんじゃないかな。
     好きだなって自覚してからはひたすら押した。押しまくって避けられるなんて失敗をしながらなんとか晴れて恋仲になれた。
    それからずいぶんたつけど日に日に可愛いという感情があふれてとまらない。
     そんな日々のなかで大倶利伽羅は修行に出てさらに強く格好良くなって帰ってきた。何より審神者であるオレに信 4684

    Norskskogkatta

    PASTさにちょも
    リクエスト企画でかいたもの
    霊力のあれやそれやで獣化してしまったちょもさんが部屋を抜け出してたのでそれを迎えに行く主
    白銀に包まれて


    共寝したはずの山鳥毛がいない。
    審神者は身体を起こして寝ぼけた頭を掻く。シーツはまだ暖かい。
    いつもなら山鳥毛が先に目を覚まし、なにが面白いのか寝顔を見つめる赤い瞳と目が合うはずなのにそれがない。
    「どこいったんだ……?」
    おはよう小鳥、とたおやかな手で撫でられるような声で心穏やかに目覚めることもなければ、背中の引っ掻き傷を見て口元を大きな手で覆って赤面する山鳥毛を見られないのも味気ない。
    「迎えに行くか」
    寝起きのまま部屋を後にする。向かう先は恋刀の身内の部屋だ。
    「おはよう南泉。山鳥毛はいるな」
    「あ、主……」
    自身の部屋の前で障子を背に正座をしている南泉がいた。寝起きなのか寝癖がついたまま、困惑といった表情で審神者を見上げでいた。
    「今は部屋に通せない、にゃ」
    「主たる俺の命でもか」
    うぐっと言葉を詰まらせる南泉にはぁとため息をついて後頭部を掻く。
    「俺が勝手に入るなら問題ないな」
    「え、あっちょ、主!」
    横をすり抜けてすぱんと障子を開け放つと部屋には白銀の翼が蹲っていた。
    「山鳥毛、迎えにきたぞ」
    「……小鳥」
    のそりと翼から顔を覗かせた山鳥毛は髪型を整えて 2059