白と黒 月が消えた闇夜。
見習い天使たちは眠りにつき、幼い天使たちを導く大天使である司は、眠っている見習い天使たちを見回って確認し、天使寮の端にある自室へ戻る前に、軽く散歩に出かけた。
ザァっと強い風が吹く。
ふと隣接する森へと誘われる司。
コツと石畳の道を白いブーツで踏みしめながら歩く。
今日はなぜか月が隠れている。
その異変に司は何やら嫌な予感をしながら、コツコツと森へと近付いていくと、ふと何か気配を感じた。
「……純、さん?」
知る気配、その持ち主の名前を小さく呟く。
するとザアアっと強い風が司の数メートル前で渦を作り、小さな竜巻のように巻き上がる。
そしてその竜巻が消えた場所に一人の男が立っていた。
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