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    かずら

    @10bana_k

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    かずら

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    雨をテーマで書いた楽攸。楽進視点の短い話

    #無双
    wuShuang
    ##楽攸

    朝雨ようやく訪れた、束の間の逢瀬。
    戦や軍務に追われ、お互い思うように会えぬ日々が続いてましたが、昨夜、荀攸殿の屋敷を訪ね、一晩を共に過ごすことが叶いました。

    翌朝。
    そろそろ発つ刻限となるのに、どうにも身体が動きません。

    (まだ、荀攸殿の側にいたい)

    このまま屋敷を出てしまえば、また次に会えるのがいつになるのか…
    そう思うと、とても名残惜しいです。

    身支度に手を伸ばそうとしたその時、
    ぽつり、ぽつりと屋根を打つ音が…
    それはすぐに、本降りの雨へと変わりました。

    「……雨が」

    思わず漏らした私の言葉に、荀攸殿がそっと手を添えられました。
    その手は、まるで昨晩と同じように、指を絡めて離さないように、穏やかで、優しくて……
    …心臓が……その、興奮しかけました。


    「楽進殿、この雨が止むまで…ここに居てはどうでしょう」

    「そ、そうしたいですが、この後軍議が…」

    「この雨ならば、軍議の遅刻の言い訳になるでしょう」

    小さく微笑まれたその顔を見つめながら、私はただ、頷きました。

    外では、雨が勢いを増しながら降り続いている。
    白く霞む庭先。軒からぽつぽつと滴る雫。
    鳥が一羽、枝で羽をすぼめたまま、じっと雨をやり過ごしているのが見えました。

    おそらく、すぐには止まない。

    「……この雨が、少しだけ恨めしく、そしてありがたいと思うのは、不思議ですね」

    荀攸殿がぽつりと呟き、私は荀攸殿と同じ考えで嬉しくなりました。


    雨音が響く中、私はそっと荀攸殿の肩に身を預けた。
    互いの鼓動が静かに重なって、呼吸も重なり、とても心地が良い…

    (雨に、感謝しなくては……)

    お陰で、荀攸殿のそばに少しでも長く居られる。
    楽進は急な雨に感謝を心の中で呟き、荀攸の手を握り返した。



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