Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    oimo_1025

    @oimo_1025

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 37

    oimo_1025

    ☆quiet follow

    起床前に同じベッドでぬくぬくしてるやつ、大好きなので無限に書きたい。

    #了尊
    haveRespectFor

    07【ぬくもり】肌を刺す冷気を帯びた朝。どれだけ暖かな布団に包まって眠っていたとしても、ふと己の脚先が冷えた感覚に微睡みを邪魔される。
    だが、一度覚醒してしまえば了見が再び意識を手放して眠りに落ちることは難しい。布団の中で冷えたつま先を擦り合わせながら、薄目で時計を確認する。
    部屋の中が薄暗いのでそうとは分かっていたものの、見ればやはり、起床予定時間にはまだ随分と余裕がある。隣人の恋人からはすうすうと規則正しい寝息が聞こえていて、当たり前のように眠っていられる相手が少しだけ恨めしくも思えた。
    「……」
    最低限の衣擦れの音に留めたつもりだったが、静かな室内には思いのほか大きく響いた。隣人──尊は、ほんのうっすらとだが口を緩ませながら、「んん……」とむずがるような声を上げる。
    起こしてしまったかとも思ったが、どうやら杞憂だったらしい。小さな身動ぎだけを残して、尊はまた規則正しい寝息を立て始めた。
    了見はほっと息をつき、改めてその寝顔をまじまじと眺める。
    尊と同年代で言えば藤木遊作の方が童顔だとは思うが、眠っている間は頻繁に了見へ向けてくる顰めたような眉間の皺はなく、了見にとっては他者が思うよりもずっと幼い印象を受ける。
    無防備な寝顔を了見が眺めていると知ったなら、きっと尊は顔を真っ赤にして見るなと喚き立てるだろうけれど。
    了見は起こさないよう慎重な手つきで尊の頬を指の背で撫で、そのままその指で彼の唇に触れる。ふに、と柔らかな感触の肌は外気に晒されているせいかさすがにひやりとしていたが、二度三度と繰り返せば了見の体温が移ったのか、仄かに熱を帯び始めた。
    「……ん」
    尊はむず痒そうに口を動かす。そろそろ制止が飛んでくる頃合いだろうと思って指を離すと、そこで思わぬ反撃に合う。
    「……さむ…」
    ぶる、と小さな身震いをひとつ。
    尊の口がもそもそと動き、布団の中から共に伸びてきた手が了見の寝間着の裾を掴む。そのまま何十センチか開いていた隙間をゼロにするように引っ張られ、尊は了見にぺたりとくっついた。
    「ッ!」
    ぎゅう、と腕を回されて、了見の胸元──もとい、布団の口まですっぽりと頭を埋めると、尊は満足したのか、「んふふ」と小さく笑い、了見の寝間着を握り締めていた手から力が抜けていった。
    「……寝惚けているのか?」
    当然のように返事はなく、代わりにまた規則正しい寝息が聞こえ始める。尊よりも体温の低い了見では暖など取れないようにも思えたが、尊の体温がじわじわと移って、やがて了見の冷えた身体にも熱が宿り始める。
    きっと目が覚めたら、了見が何かしたのだと騒ぎ立てるに違いない。それを思うならこのぬくもりを突っ撥ねて、早々にに布団から出てしまうのが正解なのだろうが。
    (まあ、たまにはいいだろう)
    了見は尊の身体をそっと抱き寄せる。そのぬくもりを手放すには、少しばかり、惜しい気がしたのだ。
    伝染するぬくもりは、徐々に醒めてしまった了見の微睡みを呼び戻す。了見は尊のつむじにそっと唇を落とした後、あとほんの少しだけ距離を積めるようにして、彼の背中に回した腕の力をほんの少しだけ強くした。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤🙏💘💞💞💞💴💞💞💞💞💓💓💓💓💓🌞🌞🌞🌞👏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works