【了尊?】霊媒体質?な尊の話たぶん現パロ。冒頭出会い編ですが続くかは分かりません。
その日は尊にとって、なんということのない一日として終わるはずだった。
いつも通りのバイト帰り、普段と違っていたのは近所の交差点に人だかりができていたことだ。歩道に乗り上げた車は酷くひしゃげていて、誰が見ても事故だと分かる。運転手らしき男は項垂れて路傍に座り込んでいたが、事故の相手と思しき車や人は見当たらない。少し前に救急車が走っていったのはこれのせいかもしれないと思いながら、しかしどうすることもできない上に人の不幸に対して野次馬をするような趣向も持ち合わせていない尊は、ちらりと一瞥した後足早にその場を立ち去ろうとした。その時だった。
──ひどく綺麗な男が立っていた。丁度事故を起こした男が立っている側だ。青みがかった銀色の髪に、透明感のある白い肌。長い睫毛に縁取られた瞳は蒼穹を思わせるほどに澄んでいて、その顔立ちだけでなく、雰囲気が。どこか現実離れして見えて、瞬間的に綺麗だと思うと同時に尊はぎくりと足を止めた。
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