〜彼女のお弁当が加護マシマシで五条が怪力お化けになる話〜 「気をつけてね」
いってらっしゃい!の言葉とともに渡されたお弁当。両手にすっぽりとおさまるソレを見て五条は、わーい!と喜んだ。
「ありがとう!」
彼女のお見送りに、お弁当。
(もぉ〜、幸せすぎる〜!)
思わずほんのりと温かいお弁当に頬ずり。運転席で伊地知がドン引きしているが気にしない。
――
―――
「……食べちゃった」
移動中、あまりにも嬉しくて我慢できなかった。
(卵焼き、もっと食べたかったな……)
口の中で広がる甘さ。それはまさに彼女をいつもより激しく愛していたときのようで。もっと、と自分の欲が望んでいる。それだけではない。
「なーんか、落ち着かないなぁー」
いつもは感じない違和感。特に気持ち悪さなどはないが、なぜか落ち着かない。なんだろう、今なら呪力なしで倒せる気がする。
アハハッ〜と笑い、襲ってきた呪霊を倒そうとして、ふと思う。
筋肉だけで倒してみようと。
「……あ、いけた」
グーで呪霊を殴ったら、ギャアァァァと一撃で粉砕。もう一体現れた呪霊を今度は平手打ちする。そしたらまた、ギャンと悲鳴を上げお陀仏に。なんだよギャンって。その後の任務も同じ状況になり、なにこれおもしろ、と楽しんでいた。
「いやぁ〜、あいつにそんなチカラがあったなんてねぇ〜」
空になったお弁当を撫でる。
一級をデコピンだけで祓えたのはさすがに笑ってしまった。しかも呪力なしで。筋肉バカではないのに筋肉がすべてを解決してしまった。いや、愛のチカラか。
「明日はなに作ってもらおうかなぁ〜!」
翌日。
今度は赫の威力がカスになった。
「なんでっ!!?」
ちがう!そうじゃない!!!
おわり。