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    Lionsomps

    ラウヴァアアアアアアアン!
    14の二次小説とか>http://studiosxr.web.fc2.com/index.html
    おえかき練習中

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    Lionsomps

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    軽装のおかげで小判たまらないのに・・・6000いけるんかしら・・・

    (書いてる途中でイベント終わる前にこうなるとか思わんやん;;)

    幻月疑似神域時空に遡行軍による侵入ゲート反応。
    鳴り響くアラート。
    向かったのは歌仙、小夜、蜻蛉切、石切丸に和泉守と国広。
    この本丸内で練度の高い刀を揃えた先鋭部隊だったのだ。
    それがいとも簡単に崩壊し血みどろで帰ってきた時、総員戦闘態勢で大広間で待機していた皆の動揺は激しかった。
    すぐさま負傷した彼らの手当てに当たる私の代わりに、現在の近侍である加州がやって来るであろう遡行軍を食い止める為増援を向かわせるべく後続部隊への指示を出そうとした時、皆が一斉に突如どよめいた。
    出入りの為に正面の庭側の障子が開け放たれた部屋から見えたのは現実では到底見ることは無いだろうという星雲煙る空に昇る怖いほどのとても大きな白い月。
    この本丸が一瞬にして何処かへ移転したのか、時空ごと変化したのか?
    手入れ部屋から見えるその景色に現状何が起こったのか分からず狼狽えながらも治療を続ける私に歌仙は冷静に問いかけた。

    『三日月はいるかい?』

    彼は野暮用だと言い残し勝手に何処かへ行ってしまった。厠にでもと言うようないつも通りのいつもの気ままで飄々とした態度で、行き先を尋ねる事さえ出来なかった。

    『四の五の言わずに一言あれと言うべきだったか・・・』

    今何が起きているのかを恐らく彼は知っている。いや、察しているのだろう。
    「彼ら」だからこそ解る何かを。

    『状況を教えてくれ』

    治療が完了するなり、診療台からがばりと飛び起き手入れ部屋から飛び出していった。







    「全ての防衛ラインにおいて形勢が有利。オールグリーン!」

    机の上に置かれたタブレットモニターが映し出す立体映像の画面はいつもと違う初めて見る形式のUI。そこへぴょこりとこんのすけが現れそう告げる

    「大きな波は越えた様です。引き続き観察を継続。防衛ライン上の敵を撃退して下さい」

    円座になり机を取り囲んだ会議メンバー達がそれぞれ構えた姿勢を緩めたり、息を吐いたりと緊張を解く。

    「最初はどうなるかと思ったよ・・・」

    その時の記憶が蘇り私もはあ、と机におでこを突っ伏して強張った背中の力を抜いた。

    「全くだ。あの惨状を思うと拍子抜けなんてとてもじゃないけど言えないな」

    強張った眉間にさらりと零れた長い前髪を掻き揚げて苦々しいつぶやきを漏らす蜂須賀虎徹の顔色はとても悪かった。

    「とりあえず侵寇は食い止めた。でも敵さんはまだ攻めて来てるんだよね?」
    「むしろこれからが正念場じゃないのか。最終防衛ラインにまだ動きがある」
    「ほうじゃな。まだ進軍は続いちゅう。増援がいつ来るか油断は出来ん」

    アンニュイに机に頬杖をついた加州と、腕を組み渋い顔をして考え込む陸奥守。表情は読み取れないが真剣な姿勢を崩さずにいる山姥切。それぞれが眺め続ける画面のUIには続々と戦況報告が流れ続けている。

    「数値的に前衛防衛は足りてるみたいだし、歌仙を呼び戻してそっちに回ろうか。部隊編成もそれに応じて変えよう」
    「承知しました。では皆に伝えましょう」

    長谷部が机から離れ部屋横の襖を開け放つ。

    「”対大侵寇防人作戦”は現在膠着状態に入った。これ以降は戦況を見ながら各防衛線に戦力を投入する。主命があるまで総員警戒維持のまま通常業務へ戻れ」

    高らかにそう宣言する。

    隣にある大広間には総員が戦闘態勢のまま待機しており、そこにも大型のスクリーンが複数設置されていて情報は共有出来ていた。
    その言葉通りに席を立つ者もいれば、続けてモニターを囲みながらあれやこれやとこの異変について語り合う者もいる。

    「昇ったばかりのお月様ってびっくりするほど大きいですよね。その時と似ています。ちょっと怖いぐらいで」
    「しかし、見事なお月さんだねえ~月見酒とでもいくかい?」
    「いいねえ」
    「警戒維持のままと言っただろう!」
    「だが飲むっ!!」
    「ハハッ!出番があるってんならちゃんと先に言ってくれよ?ほどほどにしとくからよ!」
    「でも、ほんとに綺麗だよねー!せっかくだからさ、写真とりあいっこしないー?」
    「いいねーおk-」

    突如現れた白き月。消えた三日月宗近。
    きっと、これが何かを彼らも察しているのだろう。

    「あるじ!あつきがおやつをつくったぞ!」

    緊張が完全に解けた訳でもなく、かといってこれ以上は思いあぐねても意味は無い。
    そう思いつつ飽和した空気の中で会議メンバーも席を立つ事も無くぼんやりとモニターを見ていた机に謙信がお盆に小さなガラスの器を載せてやってきた。
    厨房組の二人はきっと戦況の進み具合を見て持ち場に戻っていたのだろう。
    第一部隊を出迎える為の用意も兼ねて。

    「わあ、ありがとう・・・あんみつかあ」
    「蜂須賀、ほら甘い物でも食べて気を取り直しな?」
    「・・・ありがとう。頂くよ」
    「わしゃあっちに混ざってくるかのう」
    「お前まで何を言ってるんだ」

    続いてやって来た今剣は手に団子を載せた三方を捧げ持っていた。
    それを会議室の前の縁側に置く。

    「なあに?本気でお月見を始めちゃうの?」
    「これは三日月のぶんです。さあおたべなさい」
    「ふふっ・・・神様みたいね」
    「にたようなものです」

    そうね、と思う
    対大侵寇プログラム・・・
    満ちては欠けてを繰り返し繰り返し、正しく廻るこの世の理
    きっと何も変わらない

    あの三日月の夜。
    『月を見て何を思う?』
    唐突に彼から問われた言葉。
    返す言葉はあったのだ。だがそれを口にするのは簡単すぎるのだろうか?
    何と答えればいいか、ずっと考えていた。
    けれど、そこまで思い悩むことは無かったのかもしれない。
    皆が賑やかに集う夜にも、遠くの友を思う静かな夜にも
    つれない人の隣で見上げた夜空にも
    あらゆる静かな水面に映る月の様に彼はここに居たのだろう
    全ての本丸を見守るように

    「・・・綺麗ね。お月様」

    これが終われば昼の月の様にこの出来事など無かったようにとぼけながら
    縁側でお茶を飲む彼がきっと帰ってくる













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