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    桜&水無月

    @minazuki_hare

    桜(太右)と水無月(一次創作)の混合垢。偶に⚔️🧳も混ざるかも

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    桜&水無月

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    ドルパロちゅだ二月十四日、其れは男ならば殆どの者が気分が上がり、貯古齢糖を心待ちにする日である。アイドルなんてやっていれば、そんな行事とは無縁では居られない。勿論、俺と太宰も例外では無いのだが、事務所の計らいも有り、共演者や愛好家達からは貯古齢糖を貰わない様にしている。復帰したばかりで沢山の人に愛想を振り撒きながら菓子を貰うなんて、太宰に負担が掛かるのは簡単に分かる事であった。贈呈品も例外では無い。贈り物に何が入っているか分からないので手紙以外は受け取って居ないのだ。届いた手紙も検閲が入り、其れから俺達の元へと届く。芸能界に身を置く以上、向けられるのが純粋な愛だけでは無いのだ。芸能人だろうが、俺達の事が好きな一般人だろうが、必ずしも純粋な感情を向けているとは限らない。悪意で有っても、純粋とは言い難い愛情で有っても太宰の目に触れては、復帰前の状態に逆戻りになる事も有り得る。成る可く太宰の負担は少ない方が良い。だが、此の行事を無視する訳にも行かないと、計画されたのが生配信である。簡単に説明すれば、太宰が貯古齢糖を作ると云うだけの配信だ。因みに俺はマネージャーと仕事の日程の打ち合わせをしなくてはならないので、画面越しに見守る事になっている。まぁ、同じ家の中には居るのだが。復帰してからと云うもの、太宰が無理して居ないかを確認しながら日程を組んでいる。何れだけ近くに居るマネージャーでも気付かない事は有るので、俺と打ち合わせをしながら日程を組む事としたのだ。配信の準備は二人でやり、後は太宰が好きな時に始めるだけなのだが、矢張り始めるまで一緒に居た方が良かっただろうか。マネージャーに顔に不安なのが出ていると指摘されたが、復帰してから太宰一人の仕事は出来る限り減らしていたり、抑々太宰は普段から料理をしている訳では無いとか不安になる要素が有るので仕方ない。過保護だとか言われそうだが、其れ程までに休止する切っ掛けとなったあの時の太宰は酷く弱っていたのだ。扉の向こうに居る太宰を心配していたら、配信が開始された。
    『えーっと、之で良いのかな?大丈夫?写ってる?』
    前掛けをして邪魔になる前髪を髪留めで止めた太宰が画面を確認する様に首を傾げる。配信前に見せた不安そうな顔は、分からない様に笑顔で隠されているものの、俺には未だ不安なのが分かった。早く打ち合わせを終わらせて、台所に向かいたい。
    『写ってる?良かった。えっと、今日は貯古齢糖を作るよ。工程とか作る物は事前に中也と確認したから大丈夫だと思う』
    復帰してからは減ってしまい珍しくなった太宰単独だからか、其れとも料理配信だからかコメント欄の流れは早く、SNSも賑やかである。配信を始める前に道具の使い方等、念入りに二人で確認したのだが、太宰に心配しすぎだと笑われた。太宰の綺麗な肌に怪我でもしてしまったら、傷痕が残ってしまったらと考えてしまったので仕方ないだろう。
    『先ずは…細かく刻むんだよね?』
    普段しないだけで出来ない訳でも無ければ不器用でも無いのだから覚えれば上手く出来るのは分かっているのだが、貯古齢糖を刻む姿に少し不安を覚える。成る可く簡単な物を選んで楽出来る所は楽をしたので、其処まで時間が掛からず、危なげなく終わると信じたい。
    『之、結構硬くて大変...』
    余程心配そうに見えたのか、予定よりも早く打ち合わせが終わり、机の物を片付けてから台所に居る太宰の元へと向かう。台所を覗くと丁度太宰が貯古齢糖を刻み終わった所だった。俺が来た事に気が付いた太宰が此方を見ると其の顔に笑みが浮かぶ。
    「中也!打ち合わせ終わったの?お疲れ様」
    「おう、先刻終わってな。順調か?」
    太宰の反応で俺が来た事に気が付いた視聴者達がざわつくが、気にせずに太宰へと近付く。まな板の上の貯古齢糖は確りと細かく刻まれており、太宰の手を見ると、怪我も無く安心する。
    「中也も一緒にやる?」
    「否、俺は太宰がやってるのを見とくわ」
    如何しても駄目な時は勿論手伝うが、之は太宰の貯古齢糖作り配信である。俺は手伝いに過ぎないのだ。次の工程に必要な生クリームを取り出して置く。
    「えっと、生クリームを鍋に入れ、中火にかけ沸騰直前まで温める。」
    台所に立つ太宰が配信の画面を写す端末の横に置いてある工程が書いてある頁を写し出す端末に書いてある文字を読みながら工程を確認する。書いてある通りに生クリームを鍋に入れ、火を付けると中火にし、沸騰するまで二人で鍋の様子を眺めながら待つ。鍋が沸騰してくると火を止め、太宰は刻んだ貯古齢糖を入れて置いたボウルに温めた生クリームを一気に入れた。湯気が出なくなるまで待つと、泡立て器で混ぜ始める。
    「中也、私疲れちゃったからやって?」
    上目遣いで見詰めてくる太宰にあっさりと折れてしまった俺は太宰と代わって混ぜる事にした。滑らかになるまで混ぜたら別の容器に流し入れ、表面を平らにし、冷蔵庫に入れる。
    「之で後は待つだけ?」
    「まァ、難しい工程は残ってねェな」
    入れておいた暖かい珈琲を飲みながら、視聴者の反応を見て待つ。待っている間、皆からの質問を返そうかと事前に考えてはいたが、思っていたよりも見ている人が多い。
    「えっと...全部は見れないかも知れないけれど、今から皆の質問に答えていくから質問ある人は送ってね」
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    桜&水無月

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    ドルパロちゅだ二月十四日、其れは男ならば殆どの者が気分が上がり、貯古齢糖を心待ちにする日である。アイドルなんてやっていれば、そんな行事とは無縁では居られない。勿論、俺と太宰も例外では無いのだが、事務所の計らいも有り、共演者や愛好家達からは貯古齢糖を貰わない様にしている。復帰したばかりで沢山の人に愛想を振り撒きながら菓子を貰うなんて、太宰に負担が掛かるのは簡単に分かる事であった。贈呈品も例外では無い。贈り物に何が入っているか分からないので手紙以外は受け取って居ないのだ。届いた手紙も検閲が入り、其れから俺達の元へと届く。芸能界に身を置く以上、向けられるのが純粋な愛だけでは無いのだ。芸能人だろうが、俺達の事が好きな一般人だろうが、必ずしも純粋な感情を向けているとは限らない。悪意で有っても、純粋とは言い難い愛情で有っても太宰の目に触れては、復帰前の状態に逆戻りになる事も有り得る。成る可く太宰の負担は少ない方が良い。だが、此の行事を無視する訳にも行かないと、計画されたのが生配信である。簡単に説明すれば、太宰が貯古齢糖を作ると云うだけの配信だ。因みに俺はマネージャーと仕事の日程の打ち合わせをしなくてはならないので、画面越しに見守る事になっている。まぁ、同じ家の中には居るのだが。復帰してからと云うもの、太宰が無理して居ないかを確認しながら日程を組んでいる。何れだけ近くに居るマネージャーでも気付かない事は有るので、俺と打ち合わせをしながら日程を組む事としたのだ。配信の準備は二人でやり、後は太宰が好きな時に始めるだけなのだが、矢張り始めるまで一緒に居た方が良かっただろうか。マネージャーに顔に不安なのが出ていると指摘されたが、復帰してから太宰一人の仕事は出来る限り減らしていたり、抑々太宰は普段から料理をしている訳では無いとか不安になる要素が有るので仕方ない。過保護だとか言われそうだが、其れ程までに休止する切っ掛けとなったあの時の太宰は酷く弱っていたのだ。扉の向こうに居る太宰を心配していたら、配信が開始された。
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