B転生ちゅだ昼間の太陽に照らされた街を歩く。首領だった太宰が死んでから数年。混乱の中、何とか組織の秩序を取り戻したが、上に立つと云う事には未だ慣れていない。俺は首領と云う立場に自分が相応しいとは思えないが、俺以外に出来る奴が居ないのも分かっていた。偶には息抜きでもして来いと言われ、外に出されてもやる事が無い。愛車を乗り回す程の余裕は流石に無いしな…。ふと、一人の少年が目に入った。
「おい」
少年が振り返る。見間違える筈が無い。長年隣で顔を見てきたのだ。少年は太宰の面影を残していた。
「…思ったより見つけるのが早かったね、中也」
俺に何時か見付かるのが分かっていたと云う様子に思う所は有れど、此の機会を逃す訳にはいかない。
「手前、両親は?」
「嗚呼、居ないよ。連れ去った所で探しに来る人なんて居ないから、好きにし給え」
此奴、今世でも家族関係に恵まれて無ェのかとか、ンな年で一人歩いてたら何されても文句は言えないのに何してンだとか思う事は多々有れど、此の侭此処で話す訳にもいかないから、危なかっしくて直ぐに転び掛ける太宰を抱えて場所を移動する事にした。