指輪を渡された翌日、綾斗は荷解きをしていて俺はギターを触っていた。パソコンが触れる環境が整ってないから、ギターを弾いてスマホでメモとか録音とかしていた。昨日のあれを忘れないうちに形にしておきたかった。
プロポーズなんてものは無縁だと思っていた。する方でも考えたことない。それなのに男同士で、しかも俺が受ける立場になるなんて想像にもしてなかった。本当に結婚できるわけでもないし。
昔、テレビで結婚を申し込まれる女の子が泣いているシーンとか見て、なんでそんなことで泣くんだろう、って思っていたのに今なら少しわかる気がする。
胸の奥がむずがゆい、その気持ちをひたすら音にして吐き出すしかなかった。
お互い一段落してまた昼飯にカップ麺を啜っていたら綾斗が口を開いた。
2079