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    ももいろ

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    POIPOI 31

    ももいろ

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    https://poipiku.com/12073945/12026527.html
    これの焼肉でおじを拒否ってから抱かれなかった世界線の数年後の綾リツ、読まなくても話はわかると思います
    本当はこっちが先に完成してました
    せっかくかいたので

    「うわぁ、どうしよっかなあ」
    思わず口に出すと、隣にいた綾斗が不思議そうに顔を向けてきた。
    「何かあったのか?」
    「いやさあ、作曲の依頼あったんだけど、このプロデューサー苦手なんだよなあ〜ケツとか触ってきたことあるし」
    気楽な口調で言ったつもりだったのに、綾斗の表情が一気に強ばったのがわかった。
    「……そんなやつの仕事、断れよ」
    「いや、でもさ。ギャラがめっちゃいいんだよな~。生活ギリだし、背に腹は代えられないっていうか。」
    笑いながらのんきに答えたら、綾斗がぐっと眉を寄せた。ちょっと、いや、かなりこわい。
    「金こまってんの?」
    「んまあ…この前も無駄に高い時計買っちゃったし…」
    「時計つけないだろ、売れよ。」
    あまりにも真顔で正論を突きつけられて、一瞬言葉が出なかった。
    確かに俺は時計をつけない。買って満足して、引き出しにしまい込んで、どこに置いたか分からなくなるやつ。
    でも、高いもんってさ、持ってるだけで自分の価値も上がった気になるじゃん。……まあ、実際は自己満なんだけど。
    「時計って基本そんなに値崩れしないし、もしかしたら上がってるやつとかもあるかもな」
    「え〜〜〜〜でもさあ…」
    思わず甘えた声が出てしまう。
    そうしたら、綾斗が少しだけ眉を寄せて、真っ直ぐ俺を見て言った。
    「じゃあ、俺が持ってるハイブラ全部売って金渡す」
    「……は?」
    言葉の意味が一瞬わからなかった。綾斗は本気の顔で、まったく揺れずに続ける。
    「リツキに、そんな嫌な思いしてほしくない。おっさんに触られるのも無理。そんなやつのために、曲書く必要ないだろ。」
    俺はちょっと笑ってごまかそうとした。
    「いや、でもさ、ホテルはちゃんと断ったし、最近は飯すら断ってるし、めちゃくちゃ距離とるようにしてるんだよ。それでも依頼くれるってことは一応、曲は評価してくれてるんだと思うし…」
    「……ホテ……ル……?」
    その瞬間、空気が変わった。言ってから、しまった、と思った。
    綾斗の顔から表情が抜け落ちた。怒るとか、呆れるとか、そういう感情の影がどこにもない。ただ、眉間の皺がすっと消えて、目がまっすぐに、異様なくらい大きく開いて――無言のまま俺を見ている。
    めっちゃくちゃ、こわい。何も言えずに黙ってると綾斗が口を開く
    「………誰?」
    低く、静かな声だった。空気が重くなる。
    「え?」
    聞き返すと、綾斗は目を逸らさずに繰り返した。
    「なんてやつ?俺も知ってる?」
    躊躇いながら、名前を出す。
    「…〇〇さんっていうんだけど、知ってる?」
    「……聞いたことあるな」
    綾斗はそこで口をつぐんだ。
    目線を落とし、何も言わずにスマホを取り出して、画面を見始める。
    スクロールする指の動きはやけに静かで、妙に正確だった。
    俺はなんとなく居心地が悪くなって、曖昧に笑いながら話題を変えた。
    でも綾斗はあいづちすら打たなかった。まばたきすら減ってるような気がして、内心ちょっとビビっていた。

    数日後、ニュースサイトの見出しにその男の名前が出ていた。
    未成年のタレントに対する強制わいせつ、過去のセクハラの常習性、裏での金銭トラブル……いろんなものが一気に暴かれて、あっという間にSNSが燃えた。
    あまりのスピード感に、まさか…と思って綾斗の方をちらっと見たけど、
    ソファに寝転びながら、イヤホンで音楽を聴いていた。視線はスマホの画面じゃなく、天井。

    (ま、そんなわけないか)

    そう思ってニュースサイトの別の記事を開いた。
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