雷【龍遙】実は苦手な龍司、平気な遙
ピカッ!!! と激しく光った直後、ドゴーンという雷鳴が響き渡る。
突然の轟音にビクッと反射的に身体が跳ね、近くにいた遙の腕を掴んでいた。
「ち、近いな……」
「そうだな……それより、腕痛い」
驚きのあまりに強く掴んでしまったらしく淡々と告げられる。
「すまん」
ガッシリと掴むのはやめて、袖口のあたりを摘むように握れば、離さないのかと不思議そうに首を傾げる。
「……苦手なのか? 雷」
いい歳して恥ずかしいのだが、デカい音がどうも苦手で今もまだ心臓がバクバクとうるさいくらいに鳴っている。
「まぁ……な。デカい音はどうにも」
思わず遙に縋ってしまい、じわじわと恥ずかしさが込み上げてきた。
「そうか」
短く答えただけでそれ以上は何も言わない。けど、スルリと指を絡めて手を握られる。
「手、繋いでたら少しは和らぐだろ?」
繋がれた手から遙の体温がじんわりと俺にうつっていく。
「……そうだな。少し、このままでいさせてくれ」
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実は苦手な遙、平気な龍司
ピカッ!!! と激しく光った直後、ドゴーンという雷鳴が響き渡る。
突然の轟音にビクッと反射的に身体が跳ね、近くにいた龍司さんの胸に縋り付く。
「……なんだ? 雷苦手だったのか?」
「う……音が、その……」
まだ心臓がバクバクいっている。
いつもは光ってから鳴るかな? と心の準備をしているから平気だが、光るのとほぼ同時に鳴るとその余裕が全くなくて苦手なのだ。
お化け屋敷とかも基本怖くないし、なんなら真琴が俺の後ろで震えていることが多いから冷静になれるのだが、突然驚かされる系は苦手だ。
「近くにいきなり落ちるとビビるよな」
よしよし、となだめるように背中を撫でられる。
「……心臓に悪い」
ハァ、と溜め息をこぼす。撫でられてる背中がだんだんポカポカとあたたかく感じる。
「少し落ち着いたか?」
「ん……」
落ち着いては来たが、またいつ鳴るかと気が気じゃない。さっきほどの大きさではないものの今もまだ鳴っていて、鳴るたびに身体が強張ってしまう。
「まだダメそうだな。しばらくこうしててやるから。な?」
そっと抱きしめられてそのまま背中を撫でられる。龍司さんの体温がじんわりと伝わってきて硬くなった身体が和らいでいく。
「……お願いします」