Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    夕月葵(または凌霄花)

    こぎさに/リンぐだ♀小説。R-18。甘々~特殊傾向まで色々。百合、獣化、触手、複数などもあるかもなので閲覧注意。Twitter及びpixiv作品まとめ。

    Twitter:@sakuramauki
    特殊性癖用:@aoinosor

    pixiv:https://www.pixiv.net/users/2372566
    特殊性癖用:https://www.pixiv.net/users/59247182

    ※当創作を元にして創作をされたいというような方がいらっしゃいましたら絵でも文でも必ずご一報ください。喜びます(事後報告も可ですが無断はご遠慮ください)。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 🐾 🐈 🍌
    POIPOI 35

    リンぐだ♀/道ぐだ♀。R-18予定のものになります。最初の部分のみ。※ストーリーはまだ途中までプレイなので色々間違いがあるかもしれません注意。

    #リンぐだ
    linenGadget
    #道ぐだ
    #ぐだ子
    stupidChild

    無題(タイトル未定) 疲れた身体を引きずり部屋に戻るなり目に入ったものの存在を認識すると、立香は無言で扉を閉めた。
    「ンンンンンン……マスタァ……マスタァ、せっかく戻られましたというのにどこに行かれるというのです」
     扉の向こうから聞こえた嫌な音にぞわぞわとするものを感じながらも立香は振り向かない。やはりというべきか、立香がそこから逃げようと足を動かす前に扉は開いてしまったのだから、ああ……と彼女は諦めて自分の顔を手のひらで覆うしかなかった。
    「いや、ちょっと用事を思い出して……」
    「何も今すぐというものではないのでしょう? ならば少しお休みになられては?」
     逃げの言葉も見抜かれているのは明白だ。それでも振り向かないまま、立香は深く溜め息を吐いた。
    「あのね道満。ここってわたしの部屋なんだけど」
    「存じておりますよ? 拙僧がこうして出入りしているのですから当然でしょう」
     いつものこととはいえ、立香の頭が痛くなる。求めている言葉はそういうものじゃない。わかっているだろうに道満はとても愉しそうだ。そう……とてもとても。
    「何をしているの。わたしは君を呼んだ覚えはないんだけど?」
    「ああ、我が主はずいぶんとつれないことを仰る。拙僧はマスターがお疲れになられているのではないかと思い、こうして貴女を癒そうと待ち構えていたまででして」
    「ああそう。キモチハウレシイヨドウマン」
    「なにやら感情がこもっていないように聞こえるのは気のせいでしょうか」
    「気のせいでしょ。ほらもういい加減に出て行ってくれないかな」
    「それは聞けぬ相談ですなァ」
     くるりと背を向けたまま立ちすくむ立香の背後にぴったりとくっついて立つ道満はその手を伸ばし、彼女の耳元へと唇を寄せた。ふっとかかる生暖かい吐息に身を震わせながら、立香はどうにかその手を払おうと試みるが、無駄なことだとすぐに悟った。
    「この手で、ご安心召されませ。この身をもってすればどのような傷であろうとたちどころに塞いでみせましょうとも!」
    「……! ひゃあ!?」
     突如とした感触に悲鳴をあげれば、道満がくつくつと笑っていた。彼の指先が触れたのは、立香の首筋だったのだ。
     同時に感じたのは、ちり……とした焼けるような痛み。ぐらりとする身体はけれど倒れるようなことはなくて、ずるりとした嫌な感触とともに支えられる。
    「ど……ま……」
    「カルデアのマスターともあろうお方が、油断しましたなァ」
    「……っ」
     道満相手に背中を見せるということ。それに対して警戒を怠っていたわけではない。今はこちら側にいるのだとしても、この蘆屋道満にはあの『彼』の記録だってある。だがしかし、だ。何やら不穏とも思える行動や発言をしながらも、やはり(かなり微妙なところではあるが)立香のサーヴァントでもあるのだ。
    「マスターがお望みならば、血の一滴すら残さず吸い尽くしてくれようかと思いますが……、ンンンンッ! まぁ、それではさすがに飽きてしまいましょうからねェ」
     馬鹿にして……と殴りかかりたい衝動を抑える。それでも振り向こうとしないのは単なる意地だが、道満に殴りかかったとしてもどうにかなるものではないということは、立香自身がよく知っていた。
     本日は別にそこまで激しい戦闘などしてきてはいないし、ただそれでも少し擦りむいたりした箇所はあった。しかし、気にするのはそんな目に見えているところではないし、別に彼は傷そのものを塞いだわけでもなければそれ自体を指摘したわけでもない。
    ――あれは流石に隠せない……か。
    「あの、さ。一応ありがとう……だけど……変なことだけはしないでね」
    「ンンン……! 拙僧はマスターに変なことなどした覚えはありませぬぞ!」
    「はいそこ! 嘘はつかないように!」
     どきっぱりと言いきる道満に立香は思わず叫んでしまう。
     道満は陰陽師。その手のものをどうするかの対策はきちんとしている。立香は毒には耐性があるが、呪いというものにはまったくの耐性がない。仕方がないとはいえ、こんなものを簡単に受けるなどこの程度かと嗤いながらも、ある種の嫉妬なのか怒りなのかもよくわからない感情を向けられては困るというもの。
    「はぁ……。傷を塞ぐんじゃなかったの? なーんでえぐってくるかな……」
     首を押さえながら立香がそう言えば、道満は心底可笑しそうにくつくつとした。
    「拙僧にそのような能力は御座いませんゆえ……。ですがまァ……塞ぎはしましたよ。えぇえぇ、残らずに……ね」
    ――いや何を塞いだ?
     塞ぐという言い方自体が謎なのだが、相手はその手の専門家だ。突っ込めば更に混乱しそうな言葉が返りそうなのでとりあえずは黙る。
     しかし、ずっしりと身体を重くしていたナニカはなくなったようで、それに関しては立香も道満に一応は礼を言った。一応としたのは、今の道満自身に問題があるからでもあるし、大抵はそれだけでは終わらないからだが。
     はぁ……、と、立香は溜め息を吐く。
    「とりあえず、さ、道満。わたしにかまってほしいんだったら、ヒトの姿をしてからおいでね」
    「おやおや……おやおやァ? ンンンンンン……マスタァには拙僧が何に見えるというのです?」
    「自分が一番よくわかってるんじゃないの?」
    「はて? なんのことで?」
    「見ないよ、わたしは。君がちゃんとした姿でここに現れない限りは」
    「ほほーぅ?」
    「…………道満」
    「これは失敬」
     ゆらりゆらりとゆらめく姿。道満であるらしいコレが突然崩れ落ちたとしてもいつものことと驚きはしないが、その崩れ方には多少の……いや、かなりの問題がある。
     黙っている立花に道満が後ろから顔を近付けると唇を開いた。
    「では……ヒトの姿であれば良いということですかな?」
    「ごめん、ムリ」
    「ンンンンンンンンンンンン……!」
     即答だ。そう唸られても立香とて無理なものは無理と言いたい。
    「あー……、とりあえずさ……服着ようか」
    「仕方がありませんなァ……」
    「仕方がないじゃないよ。服を着ろ」
    「はいはい、承知致しました。マイ・マスタァ」
    「はいは一回でよろしい!」
    「はいはい」
    「――っ、道満!」
     ヒトの姿すらしてない何か……とはいうが、確かに姿形は道満だ――そもそも道満自身をヒトと呼ぶのも疑問があるのだけど。だけどアレが嫌がらせ以外の何であるというのか。道満の仕業だとわかってからは慣れ……いや、慣れはしないが、立香はあまり驚かないように努めている。努めては、いるのだが。
     道満が裸だと知っているのは、ルームに入った時にちらりと彼の姿を見てしまったからに他ならない。
     怒る立香に道満はにたりと笑うと、彼女の腕を引いて首筋をべろりと舐めた。
     頑なにこちらを向かない立香を抱き寄せ血を舐めてやれば、ヒェッとした小さな声が聞こえる。
    「どうま……」
     それは思わず、だった。道満にやめてと振りほどこうとして、立香は彼を見てしまう。――見たくはなかった。どうしてこんなことをするのかと、本当にわけがわからなくて腹が立つ。
     目が合った瞬間に、ニィッとした笑みがどこから崩壊していこうとも。最後には、身体をなぜる長い髪がくるりと立香の指先を絡めて、髪と思えば彼の大きな手がそこに引き寄せるようにと……
    「……っ」
     臓物に身体を突っ込むことはしたくない。アレがそういうものであり、また跡形もなく消滅するものであっても気分はよくない。まず悲鳴をあげるが、相手がそれを見れば悦に入るだけなので我慢だ。
     立香が身体を引こうとすれば、ずるりと崩れかけている彼の唇が再び首の辺りに触れた。
    「また後程。……立香」
     耳元に囁かれた言葉は甘く低い響きで、それがぞわりとした感情を生み出して背を走る。それは怒りではなく、嫌悪でもなく、ただぞわぞわとした何かだ。
     床でうぞうぞと蠢いているそれが消えた後になって、ようやく立香は道満に触れられていた自分の首に触れた。
     遊ばれている……いや、じゃれられてるのだろうか。文句を言えば、ちょっとしたかわいらしい悪戯ではないですかと言われたこともあるが、間違いなくかわいくはない。
     しかし目的は何だと問うても、道満は立香が感じているそのままに「単なる嫌がらせに御座います」などと、とてつもなくいい笑顔で言い放ちそうな気もする。
     それともあんなことをして気持ちが悪いと思われることが望みなのだろうか。立香にはそれもわからない。そして……
    「なんで……」
     あれで赤くなる自分が、立香には一番よくわからないのだ。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖💖🙏🙏💞💞💘💘💯❤💗🙏💴👍👏😭💴💞💯💯❤💘💞💞💞💞💞👏👏👏💯💯💯💕
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works