お好み焼きを一緒に食べた日はっきり言えば嫌いで、悪い印象しかなかった犬飼だったが最近になって嫌な奴だけではないと思い始めた影浦は少し彼に興味を惹かれるようになった。だが彼を知る手段がないことに思い至り、荒船に相談すると「飯誘えばいいだろ」と苦笑される。
「……いや、簡単に言うけど今まで露骨に避けてたのに急に飯に誘うのもおかしーだろ」
「別におかしくないぞ? 犬飼も大人なんだから察するだろ」
「それに何が嫌いで好きかもわかんねぇし」
「そういうのをこれから知っていくんじゃないか。あ、俺は教えないぞ」
そうやって手をひらひらさせながら荒船は言うだけ言って去っていく。
◇
「えっ?! 駅前に出来たお好み焼き屋さんの偵察に行くの?! おれも?!」
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