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    影犬のちゅー、セフレの時のほうがめちゃくちゃ好き勝手に相手の意思とか関係なくしたい時にしたいまましてたのに、いざ付き合ってからはお互いの出方を窺ってまったくちゅーできなくなるの可愛いなぁと思った妄想の発露です

    #影犬
    shadowDog



    「……ねぇ」
    「なんだよ」
    「…………べつに」
     チリッ、と唇に走る熱。
     やりたきゃいつもみたいに影浦の気持ちなどまるで無視してすればいい。
     なにも、はじめてというわけではないのだし、お利口に我慢するような間柄でもない。形を変えたはずの関係ならば、なおさら。
    「じゃあまたね」
     ふい、と逸らされる視線。
     今日もまた、見え見えの欲を抱えたそのまま、犬飼は影浦のもとを去るつもりらしい。
     常々何を考えてるか分からない男だが、最近はさらに分からない。そのくせ、筒抜けでもある。
     これで何回目だ、と考えて。指が5本たたんで5本ひらいてしまうことに気がついてしまったら、もうだめだった。
     くそ、と胸の奥でモヤモヤと鎮座するわだかまりを吐き出すように、苦々しく舌打ちをしてから影浦は犬飼の頭へ手を回した。
    「……っ、なに」
    「うぜーんだよ、ずっと」
     視線が絡み合ったまま、ゆっくりと顔を近付ければ碧色の奥が期待に弾ける。
     うれしい、とあまりに無防備な気持ちを渡されて、触れるまであとほんのわずか、というところで思わず止まってしまった。
     まじまじと犬飼を見れば、「なんでだよ」という顔で恨みがましく眉をひそめている。
     ふ、と笑った瞬間に小さく触れたくちびる。
     バチバチッと音を立てるように影浦の全身を何かが駆け巡る。なにか、というのは犬飼の歓喜だけれど。
     ちゅ、とひとつ鳴らして離れようとすれば、信じられないとばかりに追いかけてきた唇がぢゅうっと吸いついて。視線が絡まる。
    「……くち、あけてよ」
    「ハッ、待てのできねーやつ」
    「うるさいな」
     一度触れれば、あとはもういつものように好き勝手口内を暴れまわる舌。
     くちゅ、くちゅ、とわざとらしく煽るように唾液を交換する。
     べつのイキモノが自分のなかであちこち器用に動くから、どうしたって背筋がぞわぞわとする。
     さりり、と歯列をなぞって。
     引っ込めた舌を誘い出すようにねっとり繋がれて。
     すりすりと満遍なく触れ合えば触れ合うほど、足りなくなる。
    「ん、ん……」
     いつの間にか閉じてしまった瞳の奥で影浦を堪能するように甘えた声で鳴く犬飼に、どうしようもなくかき乱される。
    「……おい」
    「ん……?」
    「目ぇあけろ」
     とろりとあふれそうな瞳がひたひたの欲を孕んで影浦を映す。
     ぐわ、と込み上げる何かに突き動かされるように、ちゅうっと一度強く吸い付いて離れた。
    「……え……」
     もうちょっと、と袖を引くようなさみしさが影浦の周りを控えめに包む。実によけいな後押しだ。
    「おまえ、今日は帰んなきゃいけねーのかよ」
     そんなふうに誘ったことなどない。今まで、ただの、一度もない。
     関係を変えるまでは、お互いに「ヤりたい」「ヤらせろ」で、あとは都合が良いか悪いか、ただそれだけだった。
    「……え? ぜ、ぜんぜん、だいじょうぶ」
     かぁっと染まった頬。なんとなく絡む指先。

     なにも、はじめてというわけではないだなんて、誰が言ったんだ。
     ――はじめてだろ。
     付き合ってからする、こんなくそ甘ったるいキスも、これからの時間も。

    (影犬、ちゅーしてほしい)
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    DOODLE影犬のちゅー、セフレの時のほうがめちゃくちゃ好き勝手に相手の意思とか関係なくしたい時にしたいまましてたのに、いざ付き合ってからはお互いの出方を窺ってまったくちゅーできなくなるの可愛いなぁと思った妄想の発露です

    「……ねぇ」
    「なんだよ」
    「…………べつに」
     チリッ、と唇に走る熱。
     やりたきゃいつもみたいに影浦の気持ちなどまるで無視してすればいい。
     なにも、はじめてというわけではないのだし、お利口に我慢するような間柄でもない。形を変えたはずの関係ならば、なおさら。
    「じゃあまたね」
     ふい、と逸らされる視線。
     今日もまた、見え見えの欲を抱えたそのまま、犬飼は影浦のもとを去るつもりらしい。
     常々何を考えてるか分からない男だが、最近はさらに分からない。そのくせ、筒抜けでもある。
     これで何回目だ、と考えて。指が5本たたんで5本ひらいてしまうことに気がついてしまったら、もうだめだった。
     くそ、と胸の奥でモヤモヤと鎮座するわだかまりを吐き出すように、苦々しく舌打ちをしてから影浦は犬飼の頭へ手を回した。
    「……っ、なに」
    「うぜーんだよ、ずっと」
     視線が絡み合ったまま、ゆっくりと顔を近付ければ碧色の奥が期待に弾ける。
     うれしい、とあまりに無防備な気持ちを渡されて、触れるまであとほんのわずか、というところで思わず止まってしまった。
     まじまじと犬飼を見 1361

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    「……ねぇ」
    「なんだよ」
    「…………べつに」
     チリッ、と唇に走る熱。
     やりたきゃいつもみたいに影浦の気持ちなどまるで無視してすればいい。
     なにも、はじめてというわけではないのだし、お利口に我慢するような間柄でもない。形を変えたはずの関係ならば、なおさら。
    「じゃあまたね」
     ふい、と逸らされる視線。
     今日もまた、見え見えの欲を抱えたそのまま、犬飼は影浦のもとを去るつもりらしい。
     常々何を考えてるか分からない男だが、最近はさらに分からない。そのくせ、筒抜けでもある。
     これで何回目だ、と考えて。指が5本たたんで5本ひらいてしまうことに気がついてしまったら、もうだめだった。
     くそ、と胸の奥でモヤモヤと鎮座するわだかまりを吐き出すように、苦々しく舌打ちをしてから影浦は犬飼の頭へ手を回した。
    「……っ、なに」
    「うぜーんだよ、ずっと」
     視線が絡み合ったまま、ゆっくりと顔を近付ければ碧色の奥が期待に弾ける。
     うれしい、とあまりに無防備な気持ちを渡されて、触れるまであとほんのわずか、というところで思わず止まってしまった。
     まじまじと犬飼を見 1361