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    のじま

    @nojima_007

    20↑腐。降風(左右相手完全固定)。

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    のじま

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    付き合ってる降風の、初めての夜の話。いかがわしくない。

    #降風
    (fallOf)Wind

    こうふく このひとが幸せであればいいと思った。自分といることで幸せを感じてくれるというなら、その気持ちに応えたいと思った。

     最初は、すべてあなたのためだった。あなたの希いを叶えられるのなら、それでよかった。
     それなのに、いつからだろう。あなたといることが、自分の幸福になっていた。
     心底たのしそうに笑う顔。うれしそうに此方を見つめる瞳。気の抜けた横顔。すこし甘えた物言い。
     ぼくへと向けられる、ひたむきな信頼と愛情が、どうしようもなくうれしい。あいしている、と声に出さずとも伝わってくる、態度が、仕草が、どうしようもなくいとおしい。
     いつでも手を離してあげられるよう覚悟をしていたはずのぼくは、気付けばあなたとの生活がいつまでも続けばいいと希うようになっていた。
     ぜんぶ、あなたのせいだ。あなたが、ぼくのことが大切だって、いつだって示してくるから。すべて、あなたの蒔いた種だ。ぼくのことを甘やかして、あなたがいないとさみしいなんて、思うように仕向けるから。

    「もう、離してあげられませんよ」
     ふたりで上がり込んだひとり用の狭いベッドで、背景に天井を背負ったあなたに告げる。
     静かな夜だった。クーラーの稼働音だけが響く部屋に、ぼくのなさけない声が溶ける。
    「さいしょから、離す気なんてなかったよ」
     この季節にはいささか熱いぬくもりが、ぼくをぎゅっと抱きしめる。やっと、ここまできてくれたな。そう呟いたあなたの声は、うっとりとしあわせそうに、すこしだけ震えていて。
     どれだけぼくのこと好きなんだ、このひと。こんなの、降伏に決まっている。
    「責任、とってくれますか」
     広い背中に手を伸ばして、いとおしいあなたを抱きしめ返す。
    「そんなもの、いくらでも。喜んでとるよ」
     ぼくの軽口に、おおまじめな顔で間髪入れずに返すあなたに、思わず笑ってしまう。
     ああ、ほんとうに、あなたは。
    「言質、とりましたからね。……やさしく、してくださいね」
     ほんのすこしのいたずらごころを込めて、こんなところまで端正な耳へ、吐息と一緒に声を吹き込む。途端、崩れ落ちて、えっちすぎる、だなんて呻くあなたの、底抜けにかわいいこと。
     ぐりぐりと肩口に押し付けられるまあるい頭とやわらかい髪が、くすぐったくていとしくて、おそろしいほどに幸福だった。
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    くこ。

    DONE九尾狐降+猫又景×人間風/プリクラ②
    右風開催おめでとうございます。
    なだちさんのイラストにおつけいたします小説(諸伏編)
    降風&景風なのですが、普段景風を書いている身のため。
    景風要素高めです。
    2022/12/16
    愛すべし可愛い人を「っ諸伏。……このこと、降谷さんには言わないでくれ」
     恥ずかし気に目元を淡く染め風見さんがオレに頼みこむ。眼鏡の奥、風見さんの瞳に写るオレが口角を上げる。

    『往生際が悪いぞ、風見』
    『無理です。勘弁してください……!』
     先日の風見さんの休日。たまには三人で出かけよう、と決めていたその日。
     三人で共に暮らすその家の日用品を買うだとか、ヒトの波を見るだとか、そういったことを楽しんだ後まるで今通りがかった偶然なのだとばかりにゼロが『あれがプリクラか』と声を上げ、『せっかくだから、三人で撮ろう』と提案した。それに反対したのは風見さんだった。
     最初は『男だけの団体でこういう店は入れないんですよ』と常識や則で説こうとしたがゼロは神格高い霊獣、九尾の狐だ。『僕が君たちと行きたいんだ。行けないわけがないだろう』ときょとんと小首を傾げ入っていき、それはゼロの力で人の則が一時的に歪んでいるのだけれど。ゼロにとってそれは呼吸に等しく故に、できるのが当然だ。こともなげに進んでいくゼロに顔を青ざめた風見さん、そんな風見さんをあやすようにオレが苦笑しつつ進んだ。……余談ながら、ゼロほど簡単ではないけどオレにもできるだろうとは思いつつ、とはいえ撮られたくない風見さんに強いてまで行きたいわけでもないよなとは考えていた。そもそもオレ自身、人の社会で普通に会社勤めをしているヒトの風見さんを専業主夫状態のゼロとは違う方向からサポート、と言えばいいだろうか。ちょっとした妖たる力で風見さんの会社に雇われてもいないのに『風見さんに懐く後輩社員』だと認識されるようにし『働いて』いるわけで、やりようでできるかとは思うのだ。
    1947