「分かってほしくない」「分かってほしくない」
まさかこんなに拗れるとは思わなかった。風見は心が広い。僕のすることを大抵は許してくれる。今回のことだって、風見は許してくれようとしていたはずだ。
僕が余計な一言さえ言わなければ。
風見は僕の優秀な部下だ。右腕とは慣用区的な表現だが、彼は本当に降谷の手の届かない範囲のことをカバーしてくれてる、字義通りの右腕だった。能力はもとより、生真面目で素朴で、妙に可愛げがあるところも、とても好ましく思っている。
僕に休日はあってないようなものだが、たとえば草野球の助っ人とか美味しいカレーを食べさせたいとか、仕事とは呼べないような用事にも、つい風見を呼び出してしまう。ころころ表情を変える風見をみるのが楽しいのだ。
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