オメガバ ぐだ♀ンド簡易設定
後天性αぐだ♀×後天性Ωンド
周りをどうにか説得して番になった翌朝の、嬉し恥ずかし甘々な2人。
手にした黒いチョーカーを、慎重にインドラ様の首元へとあてる。この日のために2人でデザインや素材を考え、ミスクレーとハベトロットに制作を頼んだ特別なもの。自身の番となってくれた最愛の神へ献上する、愛と執着の証。
「ふふ」
地肌に触れるサラサラとした髪がこそばゆく、つい笑みが溢れる。連動して揺れたチョーカーが薄雲色の肌を滑り、こちらの胸元に顔を埋めているインドラ神が身じろぐので更にくすぐったい。
「ふふふ」
「おい、何を遊んでいる。神を待たせるとは不敬の極みだぞ」
「だって、ふふ……ごめんなさい。貴方が眩しすぎるので目が眩みました」
「……フンッ、ならば仕方あるまい。人の身には過ぎたる光だ」
尊大な返事だが声音はばつが悪そうだ。触れ合った素肌から無意識に魔力を流していたことに気づいたのだろう。パチパチとした感覚が弱まる。
(こういうところ、本当に可愛い人だなぁ)
これで良いだろうと上目遣いで見てくるので前髪を撫でれば目元を僅かに染め、また胸へと伏せてしまった。腰を抱いてくる力が強まるのを感じ愉快な気持ちが心を満たす。抵抗されないのを良いことに、続けて頭頂、側頭と耳殻、後頭と掌を移動させていく。
今までヴァジュラが引っ付いてきたり頭を撫でろと甘えてきてくれることはあったが、本神は距離を取って見ているばかりだったため、こちらからアクションを取り損ねていた。
それがどうだ。今はこれほど無防備に身体を預けてくれている。まあ、彼は照れ隠しで顔を見られないようにしているだけのつもりなのだろうけれど、嬉しいものは嬉しい。
目的地である項へと触れ、番になった喜びを再認識する。なによりも、鼻をくすぐるこの香りといったら―――
(甘い)
首すじから漂う芳香にうっとりと目を細める。
花や砂糖というよりはコリアンダーなどのスパイスが近い。語彙力のない身では至高としか表現できないモノを、今は己だけしか感知できなくなったのだ。そう思えば何とも言えない心地がし、昨夜付けたばかりの跡へカリカリと爪を引っ掛け刺激してしまう。胸上の身体が僅かに震える。
(さて)
もっと戯れていたいという欲求もあるが、あまり待たせて本当に拗ねさせては可哀想だ。せっかくの甘やかな空気も台無しになってしまう。
遊んでいた手でインドラ様の項をなぞる。男の人とは思えないほど手触りの良い肌の一部が歪になっているのをもう一度だけ楽しみ、そっとチョーカーを巻き付けていく。
ようやく付けることを許された痕が隠されてしまうことに少しばかりの寂しさがある。が、憧れていた誓いの象徴を自分の手でつけさせて貰える幸福感が上回り、巻き終えたチョーカーをなぞり確かめる。