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    竹輪葉桜帝王

    帝国の帝王

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    竹輪葉桜帝王

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    お兄様と七条咲来はなぜ融合したのか

    ただ、それだけの話。初めに感じた違和感は、兄の瞳に隠れていた憎しみだった。
    その憎しみはこちらが成長するにつれ大きく、鋭く私に突き刺さり、抜けなかった。
    何をしても満たされず、何を愛しても満たされず、幼い私は混乱し、触れるもの全てを破壊した。
    そしてその過程で気がついてしまったのだ。

    「お兄様は私を愛していない」

    水神の首を片手に、私は小さく呟いた。
    お兄様が私を愛していないから、ほかの神々にも愛されなかった。だから水の中に閉じ込められたんだと気づいた。気付かされてしまった。

    「愛してくれないなら…」

    乱暴にそれを放り投げ、向かってきた戦神の首も簡単に斬り落とす。初めからこうすれば良かったんだ。

    「あるべき姿に戻りましょう」

    観測神が悲鳴をあげる、憎悪の目を向ける。
    その目をえぐり、首を落とす。
    葉緑の神はその様子を見てただ、笑みを浮かべるだけだった。
    お兄様の部屋の襖を開け、血塗れの手でお兄様の頬に触れる。驚いたように目を見開くお兄様、あぁ、私の大好きな、最愛。

    「…咲来は気づかないと思っていました」
    「……私、お兄様の妹であり、半身だよ」
    ええ、そうでしたね。と私の頭をいつものように優しく撫でる。撫でるだけで気持ちは籠っていないことをもう私は知っている。
    「…愛して欲しいの、私は」
    「……私は全てに愛されます、だからでしょうね。私は全てを愛することを咲来に与えてしまった。」
    愚かなミスですよ。そう失笑し、お兄様は眉を下げた。こんなに表情が変わるお兄様は珍しい。
    「…もう、兄妹でいることは終わりにしましょう?」
    私は提案する、いや、もうこれしか無いんだ。
    お兄様の孤独や苦しみは私が背負うから、頬に手を添えたまま顔を近づけて、唇を重ねる。
    愛してます、誰よりも何よりも。
    この世界よりも。
    兄妹として分裂してしまった私たちは、ひとつに戻る。
    お兄様の身体を喰らう。今まで食べたどんな肉よりも美味で幸福で、頭が麻痺していく。そして同時にお兄様を強く中で感じる事が出来る。
    いつも何かを喰らい尽くして残る虚しさは無く、血溜まりに映る自分の姿が誇らしくも感じる。
    お兄様の考えが頭の中に響くこの感覚が愛おしくてたまらない、お兄様は少し眠ります、とおやすみの挨拶をして思考を停止させた。
    寂しさはあるが大丈夫、お兄様と私は共にあるから。
    残った目玉をひとつ手にとり、私の右目をえぐり出して取り替える。いつ目覚めても、お兄様の大好きな世界をお兄様自身の目で眺められるように。

    清く輝く白銀の髪の毛先をお兄様の黒に染め、私は立ち上がる。
    創造神であるお兄様と破壊神である七条咲来は消え、この世界の主神が帰ってきた。

    未来永劫、一緒に居ましょうね。
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