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    エンジェライト

    愛と平和が好き。只今ブレトワ推し。二次創作の小説を書きます。

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    ドタバタコメディ。

    ブレ→一人称はおれ。トワのことを、リンク、と呼ぶ。十七才。

    トワ→一人称はオレ。ブレのことを、リンク君、と呼ぶ。十六才。性格は温和。天気病という病を患っている。

    ソラ→スカイウォードソードの主人公リンク。

    舞台はトワの方のハイラルです。

    #ブレトワ
    bretwa

    ソラさんがやってきた!2(Side.Bure)

    「いやぁ〜あれから帰って考えてたんだけど、なんか僕、ふたりにちょっかい出してブレの反応見るのが癖になりそうだなって」
    「…はい?」
    「というわけで帰って来ました!どうぞ宜しく!」
    前回と同じく突然やって来たソラさんに、おれは怪訝な顔を向けた。場所は自宅玄関、以前色々とやらかされた記憶から思わず苦い表情を浮かべたくなる。
    「とんでもねぇ理由ですね」
    「まあそう堅いこと言わず。遊びだよ遊び。人生楽しまなくちゃ」
    「楽しみ方間違ってますよ」
    二人で話していると二階からリンクがおりてやって来た。おれはソラさんを警戒して、すぐさまリンクの傍に庇うように立った。
    「リンク体調良くないなら無理して来なくていい、相手はソラさんなんだから!」
    「え?そういうわけにいかないよ。わざわざ来て下さったのに」
    「やったぁ〜来たねトワ!君に用がある!こっちおいで!」
    「だッ!!駄目だよリンク!!ソラさんに近付いちゃいけない!!」
    おれは通せんぼをするようにリンクとソラさんの間に立ち、ソラさんを妨害した。ソラさんはおれを掻い潜ってリンクの元へ行こうとするが、ソラさんが右に動けばおれも左に、左に動けばおれも右へと攻防を繰り返した。
    「……なにやってるの二人共」
    リンクがやや呆れている。ソラさんは両手をわきわきと動かしながら興奮気味に言った。
    「やばい、なんか鬼ごっこみたいで面白いね!」
    「なにまた呑気なこと言ってんすか!!」
    こっちは至極真剣だというのに全く。と、一瞬考えて隙が出来た時、
    「こっちも伊達に勇者やってないよ!隙あり!」
    「ッ!!」
    ソラさんは身を低くしておれの腕の下をくぐり、リンクの腕を取って捕まえる。捕らえられたリンクはあっさりとソラさんの腕の中に吸い込まれた。
    「ぎゃあぁっっ!!」←ブレ。
    「よっし、トワゲット!!」
    「わあぁ」
    おれは必死でリンクを取り返そうとする。
    「離せえぇっ!!」
    「そうはいかない」
    そう言ってソラさんはリンクをひょいとたやすくお姫様抱っこにして家中を駆けておれから逃げ回った。
    「リンクをおろせ!!」
    「ふふふ、ブレ面白い面白い、いやだよトワは軽くて疲れないなぁ」
    ダメだ、おれが躍起になればなる程向こうの思う壺だ。追い回していても流石に相手も勇者なだけあってすばしっこくて埒が明かない。おれは立ち止まり息を荒く吐き出した。それを見たソラさんがおれから一定の距離を置いてぴたりと止まった。
    「…おや、さてどうしようかなぁ、あ、お姫様抱っこしたら、やっぱりキスするよね」
    「はッ?!!」
    「前はほっぺにキスしたから、今日はおでこかなぁ、ほらトワ、こっち向いて」
    「えっソラさんっ…??」
    「ぎぃやぁあッやめんかッッ!!!」←ブレ。
    「うわぁすごい剣幕。ブレは表情がころころ変わって面白いなぁ!じゃいただきます」
    おれの目の前でお姫様抱っこをされたリンクがソラさんから額にキスを受ける。ちゅっというリップ音が異様に耳に残った。相手の思う壺と分かっていてもおれは怒りを止められない。
    「うぎゃあーーーッッコローーーースっっ!!!!」
    「あははっ出たブレの命のかけ引き!やぁ、トワは大人しいね。可愛いな。そうそう僕さぁ、トワの魅力にも気付き始めちゃって、ねえトワなんならこのまま僕ら付き合っちゃおうか?」
    「へ…?」
    「うぅわあぁ、やぁめぇろおぉぉーーーッッ!!!!」
    「ははっ、冗談だよっ、すごいねブレの全力」
    「冗談で言っていいことと悪いことがあるッッ!!!」
    喚き散らすおれに対しソラさんに抱かれたリンクは「尤もだ」と静かに独りごちた。
    「次どうしよっかな」
    「あの、ソラさん、リンク君が不憫なんでもうその辺に…」
    「えー、もったいない」
    「ちょっ、ソラさんッリンク今体調万全じゃないからっっ!!あんまり振り回さないで!!リンクもリンクだよ、なんでもっと抵抗しないのっ!!」
    するとリンクは一瞬きょとんとして、その後うーんと考え、言った。
    「なんていうか…ソラさんもオレ達と同じ勇者の魂の持ち主だからかな…傍にいてちょっと落ち着くっていうか…」
    おれは絶句する。そしてすぐに、
    「いやあぁぁあぁあッッ!!!!」
    と叫んだ。おれ以外の人間に落ち着くとか言わないで欲しいっ頼むから!!!
    打ちのめされたおれにソラさんがとどめを刺す。
    「あららぁ、トワに言われちゃったねぇ。じゃあトワも認めてくれたことだし、心置きなく二人で過ごせるね。行こうっ!」
    「……はっ!!ちょっと!?どこ行く気だッ!!」
    ソラさんはリンクを抱き抱えたままスルスルと二階に上がり、バルコニーへの扉を開けて外へ出ていく。おれが追いついてその扉を開けようとしたが何故か開かない。
    「じゃあ二人きりにさせてもらいます」
    「こらーッッ!!開けろーーっっ!!リンク返せーーーっッ!!!」
    「全くトワに失礼だよ?トワは物じゃないんだから」
    扉の向こうでそう言ってソラさんが更にどこかへ向かう気配がした。置き去りにされたおれは表の玄関へ回った。




    (Side.Towa)

    「ふう、ここなら邪魔されないね」
    風が冷たい。ソラさんはオレを抱えて器用に家屋の屋根を登り、頂に立ってオレをそっと屋根に下ろした。座る姿勢のオレの隣にソラさんも腰を下ろした。
    「ねえトワ、聞きたいことがある」
    「?」
    ソラさんは斜陽さす遠くの景色を一度見やって口をつぐんだ。その目がどこか寂しそうな物悲しいようなそんな影をたたえていた。オレはその彼の横顔を見つめた。
    ソラさんはこちらを見る。
    「トワは、ブレのことどんな風に大切?」
    オレは瞬く。冷たい風が頰を撫でて行き、オレは膝を両腕で抱えた。
    「リンク君は……、オレの命よりも大切で、大好きな人」
    「……命よりも……」
    「彼がオレの手を引いてくれる時の背中を見ると胸が締め付けられる。そうやっていつもオレを導いてくれて…。彼にはオレの全てを捧げたいんです。」
    ソラさんはオレの方を見て、優しい目をしてふっと微笑んだ。
    「…愛してる?」
    包み隠さないソラさんの質問にオレは少し顔を赤くして、返した。
    「はい、彼を愛しています。世界一。」
    「…そっか、なるほどねー」
    ソラさんは屋根の上に再び立ち上がると伸びをした。
    「トワはブレと違ってあっさり合格点だ。」
    そしてオレに向かって手を差し伸べる。
    「彼からトワを奪ったりなんか出来ないよ。君達はこんなに互いを愛し合っているんだからね。身体つらいのに連れ回して悪かったよ。さ、降りよう」
    頼もしい微笑みをオレに向ける彼の手を、オレが取ろうとしたその時だった。

    「見つけた!!そんなとこにリンク連れ出してなんのつもりだ!!」

    屋根の下の玄関先で、リンク君が声を張り上げてオレ達を見出していた。それを認めたソラさんは打って変わってこう言った。
    「あちゃー、もう見つかった。まだブレの面白いところ見ていたかったのになぁ」
    その後オレは再びソラさんに抱き抱えられ、彼は身軽にヒラリと屋根から降りた。




    (Side.Bure)

    「全く!!リンクの身体が冷えるじゃないですかっ!!その前にあんなとこでなにしてたんだ、変な真似してたら承知しませんよ、ほんっとに!!」
    室内に戻りおれはソラさんを滾々と説教した。それに対しソラさんはいつものように頭に片手を当てていやぁ、と緩く笑った。
    「そんなになにかしておいて欲しかった?じゃあキスでもしとけば良かったね、唇に」
    「ひぃ…っ!!!」
    おれは青ざめる。
    「そんなことしたら一生許さないッ!!!恨んでやる恨んでやる恨んでやるッッ!!!」
    「はははっ!いやぁやっぱりブレをいじるの楽しいねぇ。ホント癖になっちゃうよ」
    「悪趣味!!」
    ソラさんはリンクに向き直ってその頭をぽんぽんと撫でた。
    「今日はごめんねトワ。この後ゆっくり休むんだよ」
    リンクを気遣うセリフを吐くから、彼の頭を撫でられた怒りをなんとか収めて二人を見守った。
    ソラさんはリンクから離れ、玄関の前でおれ達を振り返った。
    「どうするブレ?またトワにキスしとく?」
    おれは目を見開く。リンクは横で「また?」と首を傾げている。あの時のことは当時眠っていたリンクはなにも知らないのだ。おれはばつが悪そうに上目でソラさんを見た。
    「…今はいいですよ、…あとでアナタが帰ったらたんとリンクのこと可愛がりますから」
    ソラさんは唸ってひゅ〜と口笛を吹いた。
    「お熱いね。いいね、けど僕としてはやっぱり見ておきたいかなぁ、ふたりの絆」
    腰に手を当てて佇むソラさん。…この人それ見ないと帰る気ないな。おれはそう悟って盛大にため息をつくと、文句を言いながらもリンクに向かい合った。
    「リンク」
    彼の冷えた身体を包むように上着をかけ直してやる。
    「余計なことされてないよね?心配したよ。身体も平気?」
    頰を撫でるとやはりひんやりとしていた。リンクは瞬いておれを見つめる。
    それを合図におれはソラさんの目も憚らず、リンクの唇にそうっとキスをした。大切で大好きなリンクの熱を唇に感じた。
    「…うん、めでたしめでたしだね。やっぱり仲の良いふたりを見てるのが一番だね。」
    キスを終えると、ソラさんは満足そうにそう言って、玄関の方を向いた。窓の外はもう真っ暗だ。
    「またふたりの絆を確認したくなったら来ることにするよ。…あとブレの面白いとこ見たくなったらね」
    「それはもう勘弁して下さいよ」
    はは、と三人で笑い合った。
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    エンジェライト

    PASTトワが嫉妬に似た気持ちに戸惑うお話。

    ブレ→一人称はおれ。トワのことを、リンク、と呼ぶ。十七才。

    トワ→一人称はオレ。ブレのことを、リンク君、と呼ぶ。十六才。性格は温和。天気病という病を患っている。


    天気病→湿度や気圧によって身体に影響を受ける病気。身体と同じほど、精神にも揺らぎをきたす病。

    舞台はトワの方のハイラルです。
    白い花眠っていた。夢を見ていた。
    大切で大好きな人が、見知らぬ誰かと連れ立っていく姿を見る。なんてことのない風景とばかり思っていたのに、夢の中でオレは、息が苦しくなるほど胸が痛かった。嫉妬したことはなかったのに、一体。この感情は―。


    目覚めて、目尻に涙が溜まっていることに気付く。オレは悲しかったのか。よく分からない心境のまま隣を見ると、いつも隣に眠る彼はもう任務に出掛けてそこにはいなかった。それが、夢の中の光景に重なって、無性に悲しさを煽った。

    嫉妬。いや、なんだか微妙に異なる気もする。オレはいつも、例え怒り等を感じたとして、それが通り越して悲しみに直結しやすい質だ。だから多分、あの光景を見てなにかを感じて、またそうして通り越して悲しくなって涙が出たに違いない。
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    トワ→一人称はオレ。ブレのことを、リンク君、と呼ぶ。十六才。性格は温和。天気病という病を患っている。


    天気病→湿度や気圧によって身体に影響を受ける病気。身体と同じほど、精神にも揺らぎをきたす病。


    舞台はトワの方のハイラルです。
    花かんむり麗らかな日和。小さな花が咲く樹の下で野原に群生する白い花々が風に揺れる姿を眺めた。
    おれ達が暮らす村の外にあるちょっとした野原に、ピクニックと称してリンクとふたり、やって来ていた。今は平和なこのハイラルでこうしてふたりで過ごすのはおれの夢でもあった。
    籠に入れて持ってきたサンドイッチとリンゴジュースをのんびり飲食しながらのどかな景色を心ゆくまで楽しむ。小鳥がどこかでさえすり、風が草木を撫でる音が耳を癒してゆく。
    陽光はあたたかいが風は少し肌寒く、体調が万全でないリンクは肩にショールをかけて景色を眺めていた。
    「あの花」
    静かにリンクが言った。
    「故郷の森にも咲いてた。なんだか懐かしい」
    おれは口に入れていたサンドイッチの欠片を飲み込んで、手についた屑をパンパンとはたくと、しばしその群生した白い花々を見つめた。
    1807

    エンジェライト

    PASTトワが嫉妬に似た気持ちに戸惑うお話。

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    トワ→一人称はオレ。ブレのことを、リンク君、と呼ぶ。十六才。性格は温和。天気病という病を患っている。


    天気病→湿度や気圧によって身体に影響を受ける病気。身体と同じほど、精神にも揺らぎをきたす病。

    舞台はトワの方のハイラルです。
    白い花眠っていた。夢を見ていた。
    大切で大好きな人が、見知らぬ誰かと連れ立っていく姿を見る。なんてことのない風景とばかり思っていたのに、夢の中でオレは、息が苦しくなるほど胸が痛かった。嫉妬したことはなかったのに、一体。この感情は―。


    目覚めて、目尻に涙が溜まっていることに気付く。オレは悲しかったのか。よく分からない心境のまま隣を見ると、いつも隣に眠る彼はもう任務に出掛けてそこにはいなかった。それが、夢の中の光景に重なって、無性に悲しさを煽った。

    嫉妬。いや、なんだか微妙に異なる気もする。オレはいつも、例え怒り等を感じたとして、それが通り越して悲しみに直結しやすい質だ。だから多分、あの光景を見てなにかを感じて、またそうして通り越して悲しくなって涙が出たに違いない。
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