リチャード1世に道満が(本人曰く善意で)ちょっかいかけた最近カルデアに召喚されたリチャード1世。カルデアのマスターと順調に親交を深めていたのだが、ある日事件が起きた。
突然マイルームにやってきた蘆屋道満がリチャード1世とマスターを真っ暗闇の異空間に閉じ込め、リチャード1世に妙な術をかけた。
「リチャード!」
マスターは苦しむ彼に手を伸ばしたが、
「駄目だマスター!俺に近づくな!」
と突き飛ばされてしまう。
「道満!何をするつもりだ!」
「ンンンンンッ!斯様な手段をとるのは些か心が痛みまするが、これも全てはマスターのため!さぁさぁ御照覧あれ我が主よ!かの者の心に巣食う三頭の獅子を!その魂の在り方を!」
「ーッ!!!!」
次の瞬間、リチャード1世がマスターに襲いかかった。マスターは間一髪のところで攻撃を避けたが、次の一撃は避けられないだろう。無表情だが、その目にギラつくような怒りを滲ませた彼が剣を振り上げる。マスターがリチャード1世に呼びかけるが、彼は答えない。令呪を使おうとしたが間に合わない。あわやーといったところだったが、
『破戒すべき全ての符!』
突然彼らを閉じ込めていた空間が粉々に砕け散り、そこはいつものマイルームに戻っていた。
「ンンンッ!?結界が一瞬で破壊されただと!?」
続いて、目にも止まらぬスピードで飛び込んできたシャルルマーニュがリチャード1世の手から剣を弾き飛ばし、彼を床に押さえつける。
「離せ!離せシャルルマーニュ!!!」
「メディア!今だ!」
次に現れたメディアの魔術により、リチャード1世にかけられた術は解かれ、同時に彼は意識を失った。
「ありがとう」
「お安い御用よ。マスター、怪我はないかしら?」
「う...うん、大丈夫」
「ンンーこれはこれは、メディア殿にシャルルマーニュ殿。お早い到着で」
「偶然近くを通ったのよ。そうしたら、マスターの部屋から妖しい術の気配がしたから、シャルルマーニュと一緒に突撃したの」
シャルルがマスター達の前に立ち、聖剣を構える。
「蘆屋道満。マスターとリチャード1世に何をした。申し開きがあるのなら聞こう」
「簡単なことにございまする。此度の一件、全てマスターの御身を慮ってのことなれば」
道満曰く、リチャード1世は何かの拍子にマスターを切り捨てる危険性を孕んだサーヴァントである。だというのにマスターは無防備にも彼と親交を深めているではないか。これは一度身をもって理解してもらわなくては、と考え、事を起こした。2人を結界の中に閉じ込め、リチャード1世の中にある激情を術で刺激し、「リチャード1世が激昂してマスターに襲いかかった」という状況を作り上げた。本当にまずい時は彼を止める手段も用意していたーという。
「とのことだ。どうする、マスター。あんたが望むのなら、奴を座に叩き返すが」
「大丈夫。...道満」
「はい」
「君が俺/わたしを思って行動してくれたのはわかった。でも、こんなやり方は間違ってる。俺/わたしも、リチャード1世も傷つくだけだよ」
「ええ、ええ、慈悲深き貴方ならばそう仰るだろうと思っていましたとも。しかし!拙僧はかの者の憤怒をほんのちょっぴり刺激しただけのこと。決して、決して、彼を操り貴方にけしかけたのではありませぬ。その意味を、わかっておいでで?」
「わかってる。その上で...リチャード1世は、これからも俺/わたしのサーヴァントだ」
「...左様で」
「...それはそれとして。道満、君はしばらく壺の中で反省してね」
「ー何ですと?」
「メディアさん、お願いします」
「いつぞやの夏の再現ね?任せなさいな。とっておきの壺に詰め込んであげる。さぁ、私の工房に行くわよ、蘆屋道満」
「手伝うぜ、メディア」
「助かるわ」
「ンンンンンソソソソソソッ!!!お止めなされお止めなされ!拙僧海より深く反省しております故ー!」
素っ頓狂な悲鳴と共に連行されていく蘆屋道満であった。
「...」
実は途中から意識を取り戻していたリチャード1世は、ぎり、と自身の拳を握りしめるのだった。
力尽きました。おそらくこの後リチャード1世は1臨姿で正座して謝罪したりしていい感じにマスターと和解すると思われます。