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    torinokko09

    @torinokko09
    ♯♯一燐ワンドロシリーズはお題のみお借りしている形になります。奇数月と偶数月で繋がってますので、途中から読むと分かりにくいかもです。

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    二月三週目「添い寝」 一燐ワンドロ

    ##一燐ワンドロ

    「いい天気だね」
    「そうだな」
     昼下がり。二月の少し寒さが和らいだ日の光が、部屋に入り込んでいる。ローテーブルに二つ並んだコーヒーが立てる香りが、燐音の気持ちを和やかにさせた。
    「たまにはこんな日があってもいいね、心が安らぐよ」
    「そうだな」
    「ふふっ、兄さん、さっきから同じ言葉しか返してくれないね」
    「っはは、そうだな?」
     燐音は笑いながらクッキーをつまんだ。ホットケーキミックスの味がするそれは、燐音が初めて焼いたお菓子だ。口の中でさくさくと溶けていくクッキーは、初めてにしては上出来だ、と燐音は評価した。一彩も兄に倣い、ひとつ手にとる。幸せそうにゆっくり食べる様に、燐音は笑いながら言った。
    「そんな大事に食わなくったって、また作ってやるよ」
    「本当? 楽しみにしてるね」
    「おう。お前もなんか作ってくれよ」
    「なにがいいかい?」
     そう言われ、燐音は首をひねった。会話の流れでついお願いしてしまったが、お菓子作りの難易度は分からないのだ。変に難しいのを頼むのもなんだかと考えて、
    「じゃあ小麦粉からつくったクッキーを食わせてくれ」
    「いいよ。チョコチップやココア生地をつくっても楽しいね。型はなかったはずだから、今度買いに行こう」
     燐音のリクエストに笑った一彩は、楽しげにスマートフォンをとりだした。燐音がその肩に寄りかかって画面を覗くと、様々なクッキーのレシピが並んでいる。気が早い弟だな、と思いながら、適当に指さした。
    「これニキがよく作ってた」
    「アイシングクッキーだね。僕にもできるかな」
    「お前はなんでもできる」
    「なんでもはできないよ」
    「いや、できる」
     燐音は一彩の肩を抱いて、乱暴に頭を撫でた。あはは、と聞こえる笑い声に気をよくして、そのまま寝技をかけようと足をひっかけた。さすがに気づいた一彩が、抵抗すべく引きはがしにかかる。二人どたばたとじゃれあって、ごろりとラグの上へ寝転がった。
     窓から差し込む光が、暖かに二人を照らす。その光に包まれて、燐音はふぁあとあくびを一つ漏らした。続けざまに一彩も大きな口をあけてあくびをしたから、二人目を合わせて笑う。
    「うつったな」
    「うつったね」
    「どうしてうつるんだろうな」
    「さぁ。…いい天気だね」
    「そうだなぁ、昼寝にはもってこいだ」
    「兄さん、仕事してたんじゃないの」
    「んぁ? いいのいいの。別に今日明日までとかじゃねぇし」
    「そう」
     燐音は体をずらして弟が横になるスペースを作った。一彩がごろりと横になったのを確認して、目を閉じる。すこしだけあけていた窓から入るすっきりとした風が気持ちいい。街の雑音と、カーテンが揺れる音。一彩の手が背中に回るのを感じながら、心地よい空気の中、燐音はゆっくりと眠りに落ちた。
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      狂风席卷着枯枝一股脑地朝着天城燐音砸去,他顾不上那么多只能勉强伸出手臂护着眼睛,以免被划到眼珠。再翻过一个山头他便能到达直通城市的那条公路,恍惚间他听到身后仿佛有人在叫他的名字,他转过头去看发现什么也没有,突然一点火光出现在他的瞳孔中,接下来便是令他恐惧的呼喊,那些人追上来了。燐音大人,燐音大人,他这十多年来最痛恨这个称呼,从他出生开始这个称呼便将他牢牢拴在这里。他的父亲,他的母亲,他的弟弟,这个称呼将他永远拴在他们身边。即便如此,他还是最放心不下天城一彩,毕竟那孩子还没有到能够处理许多事情的年纪,他一定会因为自己的出逃承担不小的压力吧。对不起啊一彩,天城燐音苦笑道,希望我们在城市相见吧。
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