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    百合菜

    遙かやアンジェで字書きをしています。
    ときどきスタマイ。
    キャラクター紹介ひとりめのキャラにはまりがち。

    こちらでは、完成した話のほか、書きかけの話、連載途中の話、供養の話、進捗なども掲載しております。
    少しでもお楽しみいただけると幸いです。

    ※カップリング・話ごとにタグをつけていますので、よろしければご利用ください

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    百合菜

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    2021年9月?に下天の華ワンドロ・ワンライが開催されたときの作品です。
    光秀×ほたる。

    光秀と縁日にいくほたる。
    ふたりは花火を見ることになるが……

    ##光ほた
    #光ほた
    ##下天の華
    #下天の華
    flowersInTheSky

    「羨ましいですわ、光秀さまと縁日に行かれるなんて」
    「本当。仲睦まじい兄妹ですわね」
    「まあ、妹が坂本に帰る前に一回くらいはお祭りに連れていかないとね」

    女房たちに見送られながら安土城を出たのは先程のこと。
    城下町はまるで真昼のような光の渦に包まれ、今が夜であることを忘れるくらい人々が行き交っている。

    「綺麗……」

    ありふれた言葉であるが、ほたるの口からはそれしか出てこなかった。
    夜と言えば闇に紛れ、任務をこなすことが多いからだろうか。このように灯りの下にいることには慣れない。

    「そうだね、夜の中で見る君はいつもと違う雰囲気があって綺麗だね」

    隣から聞こえてくる言葉を幻ではないかと思い、思わず光秀の顔を見つめる。
    しかし、彼は普段と表情を変えることなく自分に眼差しを向けてくる。
    本心なのか、それとも試されているのか。

    「ありがとうございます」

    どちらにもとらえられ、どちらにもとらえられない光秀の言い方。
    だけど、ここは素直に受け止めておくことにする。

    「楽しんでいるかい?」

    頭上から降り注ぐ光秀の言葉。
    いつもの含みある言い方ではなく、どこか優しさを感じる言い方。

    「ええ」

    まだ縁日に到着したばかりだが、少し歩くだけでも楽しいのは事実。

    「そう、よかった。たまには君の努力に報わなければいけないからね」

    夜だからだろうか。それとも祭の浮かれた雰囲気に流されているからだろうか。いつもの彼からは聞くことができない言葉が次々と出てくるのは気のせいだろうか。

    「ところで、もう少しで花火が始まる。とっておきの場所があるから、そこに行こう」

    そう言われて連れていかれたのは小高い丘。しかし、穴場なのか他の者を見かけることはない。
    こんなところに彼が安土の土地に詳しいことを垣間見えたような気がした。


    やがて空に大輪の花が咲き始める。

    「綺麗……」

    思わずそんな言葉を口にしてしまう。
    里にいたときは決して見ることのなかったもの。
    過去に花火を見ることがあったがそれは闇に葬るという任務があってのもの。このように闇夜に光る花を満喫するのは初めてだった。
    ふと髪に何か温かいものが触れたのを感じる。
    それが光秀のくちびるだと気づいたのはぬくもりが消えてから。
    触れていたのはほんの一瞬。
    花火が輝くよりも短い時間。
    だけど、ほたるの胸は高鳴り、そしてなかなか収まりそうになかった。
    くちびるに触れてはいけない。村の長老から言われたこと。
    そして、光秀もその掟を知っており、遵守している。
    気まぐれ? それとも、もっと別の意味が……?
    そんなほたるのどぎまぎする気持ちを知ってか知らずか空には色とりどりの華が咲き乱れる。
    肩に置かれた光秀の手が温かく、それでいながらどこかこわばっていることが気になりながら。
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    百合菜

    DOODLE地蔵の姿での任務を終えたほたるを待っていたのは、あきれ果てて自分を見つめる光秀の姿であった。
    しかし、それには意外な理由があり!?

    お糸さんや蘭丸も登場しつつ、ほたるちゃんが安土の危険から守るために奮闘するお話です。

    ※イベント直前に体調を崩したため、加筆修正の時間が取れず一部説明が欠ける箇所がございます。
    申し訳ございませんが脳内補完をお願いします🙏
    1.

    「まったく君って言う人は……」

    任務に出ていた私を待っていたのはあきれ果てた瞳で私を見つめる光秀さまの姿。
    私が手にしているのは抱えきれないほどの花に、饅頭や団子などの甘味に酒、さらにはよだれかけや頭巾の数々。

    「地蔵の姿になって山道で立つように、と命じたのは確かに私だけど、だからってここまでお供え物を持って帰るとは思わないじゃない」

    光秀さまのおっしゃることは一理ある。
    私が命じられたのは京から安土へとつながる山道を通るものの中で不審な人物がいないか見張ること。
    最近、安土では奇行に走る男女が増えてきている。
    見たものの話によれば何かを求めているようだが、言語が明瞭ではないため求めているものが何であるかわからず、また原因も特定できないとのことだった。
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    百合菜

    MAIKING遙か4・風千
    「雲居の空」第3章

    風早ED後の話。
    豊葦原で平和に暮らす千尋と風早。
    姉の一ノ姫の婚姻が近づいており、自分も似たような幸せを求めるが、二ノ姫である以上、それは難しくて……

    アシュヴィンとの顔合わせも終わり、ふたりは中つ国へ帰ることに。
    道中、ふたりは寄り道をして蛍の光を鑑賞する。
    すると、風早が衝撃的な言葉を口にする……。
    「雲居の空」第3章~蛍3.

    「蛍…… 綺麗だね」

    常世の国から帰るころには夏の夜とはいえ、すっかり暗くなっていた。帰り道はずっと言葉を交わさないでいたが、宮殿が近づいたころ、あえて千尋は風早とふたりっきりになることにした。さすがにここまで来れば安全だろう、そう思って。

    短い命を輝かせるかのように光を放つ蛍が自分たちの周りを飛び交っている。明かりが灯ったり消えたりするのを見ながら、千尋はアシュヴィンとの会話を風早に話した。

    「そんなことを言ったのですか、アシュヴィンは」

    半分は穏やかな瞳で受け止めているが、半分は苦笑しているようだ。
    苦笑いの理由がわからず、千尋は風早の顔を見つめる。

    「『昔』、あなたが嫁いだとき、全然相手にしてもらえず、あなたはアシュヴィンに文句を言ったのですけどね」
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