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    mr8012zi

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    mr8012zi

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    まだ友達同士のトウ壮がプラネタリウムに行くお話です!
    🌱ちゃん目線のちょっと切ない雰囲気のお話を目指しました!

    #トウ壮
    toadLily

    最終プラネタリウム冬も近付く、
    ある秋の日の夜。

    遊びに来たついでだからと、
    友達の君を誘ったのは、
    都心から少し離れた所にある
    プラネタリウムの最終の回。

    現地に着く頃には、
    もうだいぶ日が落ちていて
    辺りは暗くなっていた。

    人も疎らなカウンターで
    チケットを二枚買って、
    僕たちは施設内に入る。

    「なぁ、壮五。
    なんで俺を、
    プラネタリウムに誘ってくれたんだ?」

    「…君と星を見る、約束をしていたから。」

    不思議そうな君に、
    半分は本当、
    半分はこじつけの理由を
    僕は何でもない顔で呟く。

    「…?そうだったっけ?
    でも、プラネタリウムなんて
    ガキの頃の夏休み以来だよ!
    楽しみだな〜」

    「そうだね。」

    君を誘った理由は、
    本当はもっと別にある。

    君に悟られないように
    僕は笑顔を貼り付けて、
    君に笑いかける。

    売店でみんなへのお土産を買って、
    施設内の展示を見て回って、

    二人並んで座ったら、
    程なくして
    上映が始まった。


    辺りが暗くなっていく中、
    僕はそっと、
    隣に置かれた君の手に
    自分の手を重ねる。

    うす暗闇の中で、
    君が戸惑いを見せるのが
    僅かに感じ取れた。

    「…壮五?」

    君が僕の名前を小さく呟く。

    僕はその呟きを聞いても、
    君の手を握るのを止めなかった。


    これは…
    君の手を一人占めするための口実。
    神様にお願いした、
    君と僕の
    四十五分間の逃避行。

    星は巡り、
    月は隠れ、
    夜明けの明かりに照らされて、
    四十五分後の明日が
    君をきっと迎えに来る。

    それまで君は、
    僕の隣に居てくれるから。

    気まぐれな流れ星に願った、
    僕のわがまま。

    「何でもないよ、トウマ。」

    始まりもなく、
    終わりもなく、
    ただ、この星のように
    過ぎゆく想いならば…

    君に告げずにいよう。

    そう決めた、
    君と紡ぐ
    たったひとつの友情を壊したくない、
    臆病者の僕への
    最初で最後の抵抗。

    後戻りができなくなる前に、
    愛される君を独占したかった
    無鉄砲な僕の立てた、
    大胆な計画。

    それは、
    本当はとてもシンプルで、
    言葉にすれば、
    いとも容易い話。

    ただ…君とデートがしたかったんだ。

    今もまだ、
    手を振り払わないで居てくれる
    みんなに甘い君につけ込んだ、
    僕の悪巧み。

    数々の星が生まれて、
    その輝きが人知れず消えるように、
    きっとこの想いも
    誰にも知られず消えるものだから。

    今はただ…
    その流れ去る星のように、
    見逃して欲しい…。

    ふと耳を澄ますと、

    これで満足したかい?
    そう、問い掛けてくる
    臆病者の僕が居た気がした…。

    緩やかに時は流れ、
    上映は終盤に差し掛かり、
    夜空を足早に駆け巡っていた
    星や月が姿を隠し、
    太陽が上り始める。

    見える景色は変わっていないはずなのに、
    何故こんなにも…
    空が遠く感じるのだろうか。

    それはきっと……
    気が付き始める自分に蓋をして、

    さようなら。
    君に恋した僕。

    ごめんね…。
    大切にしてあげられなくて…。

    明るさを取り戻す空間に、
    その想いごと、
    そっと…手を離した。



    「プラネタリウム、
    とても楽しかったね。
    今も見たばかりなのに、
    星空が綺麗だ。」

    施設を出て、
    清々しい気持ちと
    心の半分を占める強がりを感じながら、
    夜空を見上げる。

    星が本当に綺麗で、
    その瞬きが
    僕の足を前へと進ませる。

    もう…大丈夫だ。
    そう、自分に言い聞かせた時…

    「あのさ!壮五!
    実は…話したいことがあんだけど…!」

    その声に、
    指先に触れる温かなぬくもりに、
    君のほうを振り返る。

    その真剣な瞳には、
    君に恋する僕が、
    まだ…映っていて、

    星が流れる夜空を背に、
    君のその唇が次の言葉を紡ぐ。



    こんばんわ、臆病者の僕。
    僕はね、
    五十五分後の星降る夜空が
    君達に起こす奇跡を、

    信じてるよ。


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