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    mr8012zi

    みらびっとと申します。よろしくお願いします✨

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    mr8012zi

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    猫の日!にゃんにゃん記念日!ということで!
    🌱ちゃんにイマジナリーネコミミが見えるようになった🐶くんのお話です!
    書いていてとても楽しかったです!🥳🥳🥳

    #トウ壮
    toadLily

    空想キャットテール「良いですか?
    ちゃんと力を抜いてくださいね?
    それでは、
    この糸の先の水晶を見つめて…
    目を離さないで…そうです…
    そう…だんだんと…「べぇ~っくしゅん!」
    …狗丸さん?」

    「悪い!ミナ!」

    それはバレンタインが終わった、
    二月の暖かな日が続いている今日此の頃。
    収録後の楽屋でのひと時。

    世間は語呂合わせのように、
    猫の日を全面に出していた。

    猫アレルギーである俺はというと…
    その雰囲気だけで、
    なんだか鼻がムズムズする日々を過ごしている訳で…。

    「少しでも気が紛れれば…と思ったのですけどね…。
    さすがの私も、
    アレルギーの類いは専門外です。」

    「あんがとな、ミナ!
    俺のために、
    占い?の道具まで出してくれて!」

    ミナと二人でハルとトラの撮影が終わるのを待つ楽屋で、
    なおもくしゃみを繰り返す俺に、
    それを見兼ねたミナが
    本で読んだおまじないを試すというので、
    ものは試しとやってもらっていた。
    その成果は…イマイチみたいだ。

    「狗丸さん…占いとおまじないは全く違いますよ。
    まぁ、信じやすい狗丸さんにとってはあまり変わらなそうですけどね。」

    「??」

    鼻をかみながら、
    ミナの言葉にハテナを感じていると、
    楽屋のドアがノックされる。

    「はい。どちら様ですか?」

    「逢坂壮五です。
    開けてもいいかな?」

    「どうぞ。」

    ドアの向こうには、
    どうやら壮五がいるらしい。
    俺は思わず、姿勢を正す。

    「お邪魔します。」

    「壮五!どうしたん…っっ!!」

    ミナの返事を聞いて、
    ドアを開けて入ってきた壮五の姿に、
    俺は固まった。

    格好こそ普段着だが、
    その頭には…ネコミミが、
    その背後にはふわふわの尻尾が見える。

    「トウマ、棗くん、こんにちは。
    トウマがくしゃみが止まらないって聞いて、
    鼻炎に効くスパイスを持ってきたんだけど…
    どうしたんだい?トウマ?」

    その言葉に合わせて、
    なおも動くネコミミと尻尾。

    「お前こそ、どうしたんだよ…。
    ネコミミと尻尾なんか付けて…
    もしかして、撮影だったのか?」

    撮影帰りに急いで寄ってくれたのか〜
    などと嬉しく思っていると…

    「ネコミミ…?尻尾??
    何のことだい?」

    壮五は不思議そうに俺を見ながら、
    ドアノブに手を掛ける。

    「えっ?だって…」

    「?トウマ…?」

    俺は椅子から立ち上がり、
    ドアを閉じている壮五に近付き、
    その頭上のネコミミをまじまじと觀察し、
    そのリアルな感じに
    確かめるように壮五の頭を撫でると、
    たしかに壮五のふわふわなのにさらさらした心地よい髪の感触しかしない。
    言われてみれば、
    ヒゲなどのメイクもしていないし…
    手に猫の手袋をしていない気が…などと触って確かめていると…

    「ごほんっ。
    お戯れなら他所でやっていただけますか?」

    そんなミナの言葉に、我に返る。
    よくよく見ると
    至近距離には今にも湯気が出そうなくらい真っ赤な壮五の顔があった。

    「…っ!!」

    俺は握っていた壮五の手を離し、
    お互いに勢いよく離れる。

    「ごっ!わ、悪い!壮五!」

    「だ、だ、大丈夫だよ!トウマ!
    元気そうで良かったよ!」

    「げっ、元気だ!
    さっきもミナにおまじないかけてもらってたし!」

    「そうなんだね!…おまじない?」

    「そうだ!おまじない…を??」

    俺と壮五が、
    ミナのほうを振り向くと…

    「ふふふ、私…割とその類いの才能もあった、
    ということですね。」

    とミナが笑った。

    今、一番知りたくなかった情報である。



    「はい。…ということで、
    状況を整理しますと、
    狗丸さんには逢坂さんの頭とお尻に
    猫の耳と尻尾が見えると?」

    「あぁ…そうだ。」

    ミナの問い掛けに
    改めて壮五のほうを見ると、
    俺を見つめるラベンダーの瞳と、
    それに合わせて
    こちらに聞き耳を立てるネコミミと目が合う。
    正直…壮五によく似合っている。

    「逢坂さんだけですか?
    不本意ですが、
    私の頭上には何も見えてないご様子ですが?」

    「ミナは普段のミナのままだな。」

    あまり見つめてるのもアレだと、
    ミナのほうに視線を逸らす。

    どうしてこうなったのか考えているが、
    視界の端々に映る壮五が気になって仕方がない。

    「僕だけが…なんでだろう?」

    壮五。
    頼むから俺を覗き込まないでくれ。
    そして、
    真剣に首を傾げないでくれ。

    俺は思わず、
    視線を首ごと上の方に逸らす。

    「ふふっ…まぁ、逢坂さんだけとなると、
    話は早いです。
    逢坂さん、
    少しご協力していただいても?」

    「トウマが良くなるのなら、
    僕が出来ることなら何でもするよ!」

    横目に見える
    その決意に満ちた表情とともに、
    ぴょこぴょこと動くネコミミ。

    俺は…もうダメかもしれない。

    「それでは逢坂さん。
    まず、両手を拳にして頬の横にくっつけてください。」

    「両手を拳に…頬にくっつける…」

    「はい。それでは、その拳を私の合図ともに
    狗丸さんの前で
    手首を曲げるようにして
    少し前に突き出してください。
    いきますよ?せーの…」

    「にゃーん」

    猫耳に加えて、
    そのポーズである。
    俺は不意打ちの衝撃を正面に浴びて、
    その可愛さに思わず膝を着いた。

    「トウマ!?」

    頭の上から僅かにミナが笑っている気配を感じるが、
    今はそれどころではない。

    「棗くん…?」

    「ふふふ、すみません逢坂さん。
    ちょっとした悪ふざけです。
    今度は、ちゃんとやります。」

    「トウマ…?大丈夫かい…?」

    心配そうに俺を覗き込む壮五。
    その表情に合わせて、
    しゅんとなるネコミミと尻尾。

    心配して貰ってて悪ぃな…壮五。
    ちょっとそのままで良い気がしてきた俺をぶん殴ってくれ。

    「はい。それでは、ちゃっちゃと終わらせますよ。
    狗丸さん立ってください。
    立てないですか?では、そのままで。
    私の手をよく見て?
    アブラカタブラ」

    パチンッ!と、
    近付いてきたミナが俺の目の前で両手を鳴らした拍子に目を瞑る。

    「どうですか?狗丸さん。」

    「トウマ…?」

    両目をパチパチとまばたきをして、
    壮五のほうを見ると…
    そこにはもう猫と呼べる要素は残ってなかった。

    安堵と、
    ちょっとの名残り惜しさ。

    でも、やっぱりいつもの壮五が一番だとも思う。

    「トウマ?まだおまじないが解けていないのかい?」

    「あぁ、大丈夫だよ!壮五!
    心配してくれてあんがとな!
    やっぱ、いつもの壮五が一番好きだな!」

    壮五の顔を見ていたら、
    安堵のほうが勝ってきて
    そんな言葉が口を滑った。

    「トウマ!?!?」

    その言葉の意味を俺が理解するより先に
    壮五の顔は再び真っ赤になり、

    「あらあら、
    惚気なら他を当たってくださいませんか?」

    ミナの呆れた声が
    俺達にトドメを刺す。

    とりあえず、俺は立ち上がり
    ひと息つくと…
    壮五の手を取り、
    一緒に楽屋を逃げ出した。

    その触れ合っている手の温もりが、

    人気のない所で抱き寄せた身体が、

    今までの成り行き任せの
    どの触れ合いよりも、
    俺をドキドキさせて…

    壮五から伝わってくる鼓動も、
    同じだったら良いな、って思った。


    この白昼夢みたいな混乱は、
    数分後の一世一代の問い掛けによる静寂を経て、
    少し関係性が変化した日常に
    その姿を変えるだろう。

    そんな日常のふとした瞬間に、
    招かれた幾つもの幸運の日々の中で、
    この笑い話に、いつか二人で
    花でも咲かせようじゃないか。






    「あれ?ドアが開いてる…
    巳波〜トウマ達は〜?」

    「ふふふ、
    春を…招いちゃいましたかね?
    にゃーん…なんてね?」

    二人が出て行った扉を
    不思議そうに眺めながら戻ってきた亥清さんに
    私は、そう笑って呟いた。
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