(身長差水麿)せのたかいぼくはちがうからこそ「僕の水心子も同じくらいの背丈だったら、同じ視界だったのかな」
演練場の柱の影、胸がぎゅうっと締まった。己の番の清麿が、他本丸の源清麿に話す声。
知らない声音だった。どこか遠くを見るような。まるでその声の通りに手の届かないところへ行ってしまいそうで、水心子は胸を押さえた。
もしどこかへ行きたいと言っても、自分には止める権利なんてない。
まるで今初めて見つけたような演技をして、二人の清麿の前に歩み出た。
「清麿、探した」
「ああ、ごめん、水心子」
お手洗いの場所を見失って案内してもらっていて、と駆け寄ってくる清麿は、いつも通りだ。見上げてくる大きな瞳が愛しいのに切なくて、ついその頬に触れてしまう。
「……水心子、なのかい? 彼も」
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