おやすみ、愛しい子 メイソンが負傷したという報告を受けるのは、ルーシーを学校まで送る道中での事だった。
父娘のささやかな朝食の後、お決まりの支度を終えて、通学カバンを背負って家を飛び出す娘を見守りながら、デヴェローはほっとため息を付いた。娘と過ごせる時間は少ない。できるだけ彼女との時間を大切にしようと、良き父であろうと努めてきたつもりだが、どれだけ彼女と過ごしても、まだまだ足りないと思えた。昨日の英語の宿題の話や、次に学芸会の役の話。相槌を打ちながら、その横顔に娘の母親の面影を見ない日はない。仕事のことは忘れて、家族で時間を過ごせたらどれほどいいか。仕事を変えて、娘のそばにずっといられれば。そんな事を考えながら、車を走らせていた。
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