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    kizunya7

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    ワンライであげた年齢差明主の逆のバージョンです。

    気がついて。返事をください「何で今頃なんだよ······」
    目が覚めて、瞼を上げた明智が真っ先にしたのはある人物への悪態をつくことだった。その人物は幼馴染の雨宮蓮という明智より年上の男だ。
    会うのが楽しみではあるが、明智の悪態は昨日、母親からのチャットで『雨宮くん覚えてる?高校卒業祝いしたいから明日、貴方の家に行くってたから住所教えておいたわよ』というメッセージが原因だった。母親に、ではなく今頃になって会おうとする蓮に。
    自分にとって幼い頃から兄のような存在だった蓮にいつの間にか恋をしていたのだ。幼さ故の初恋。しかしそんな彼は人柄の良さに加えて、妙なカリスマ性があったので蓮はよく人に好かれていた。勿論、女性にも。
    しかし蓮はあくまでも好意を持った相手にあくまでも友人として付き合うので誰かと付き合うとかは無かった。そこには悲しいことに自分も含まれている。自分の場合は友人よりも弟だろうが。
    幼い頃はよく二人で遊んだものだが、蓮が大きくなるに連れて遊べなくなり、更に明智が中学に上がり、勉強に追われるようになってからは直接会うことも減り、遂に蓮が大学へ行ってからは一人暮らしを始めてしまいとうとう連絡も年に2、3回としてるだけマシなまでになっていたので、直接会うのは何年ぶりかも覚えてさえいない。
    だが、それは明智にとってはチャンスでも会った。会えない間に幼い頃からの初恋を消してしまおうという魂胆でいたが、元々女性への興味が無い明智には到底無理なことであり、結局初恋は消えないまま高校を卒業した時になってその蓮と会うことになった。
    何もかもが悪い。主にタイミングとか。
    おかげで明智の胸は蓮に会えることにドキドキしっぱなしで、女子か!!なんて自分で自分にツッコミさえ入れてしまう。
    そんな風に無為に時間を過ごしていりと、いい加減にベッドから起き上がらないといけない時間だったので、上半身を起き上がらせ、酷く億劫な身体を動かしてベッドから降りた。

       *

    「よっ、久しぶり!」
    「久しぶり、雨宮さん」
    変わらないこちらへの態度に微かな苛立ちを覚えながら蓮を迎える。そんな明智の内心は露知らず、蓮は「昔は蓮お兄さんなんて読んでくれてたのにな」と残念そうな声で言うのだ。
    「······そんなの昔の話でしょ」
    「だって明智に名前で呼ばれないのは違和感があって」
    そんな風に笑いながら言う蓮に「そっちこそ、名前で呼ばなくなった癖に」
    と内心で悪態をついた。昔は蓮もこちらを名前で呼んでいたのだから、お互い様だ。 
    リビング案内すれば殺風景だなと笑いながらお昼ご飯として買ってきた有名なイタリアンのお店のピザと、瓶に入った飲み物。
    「お酒?」
    「残念、炭酸ジュース。お酒はお前が飲めるようになったら俺も飲むって決めてるんだ」
    その言葉に心臓がドキリ、と音を立てた。自分と一緒に飲む為に蓮はお酒を飲まずにいてくれたのか。そんな些細なことにさえ何かを期待しそうになって明智は誤魔化すように台所へ食器を取りに向かった。

    「やっぱりお祝いごとにはピザとサイダーだな」
    「なにそれ」
    お昼に食べたピザは有名店のだけあって美味しかったし、サイダーは普通にスーパーで売られているやつだったので可もなく不可もなくといったところだった。でもこういうちょっとしたパーティーみたいなものは初めてだったので楽しかった。不健康の類に入る食事だとしても、偶にはこんな食事もいいだろうと思える程に。
    「次はどこかに行くか?」
    「流石に休ませてよ」
    昔と変わらず行動力に溢れた蓮に苦笑しつつ、返事をすると───蓮の雰囲気が変わった。明るい表情のままだが、何かが違う。それに明智が警戒を微かに抱いた中で蓮が口を開いた。
    「なぁ、彼女いるのか?」
    「は?」 
    予想外の言葉に素っ頓狂な声が出る。この男は何を言っているのだろう。自分に彼女?
    「明智って昔からモテモテだからさ、高校を卒業したとなるといるのかなって」
    「······いないよ」
    明智の心の中に再び苛立ちがやってきたが、顔に出さないように努める。当然、そんなことを知らない蓮は呑気に「そっか、明智でもいないのかー」なんて呑気に言っていた。
    「雨宮さんには、いるの?」 
    「いないよ。俺は案外モテなくて」
    「······そう」
    「告白とかされたいな」
    その一言で明智の中の何かが切れた。
    ───それなら今すぐ叶えてやる。
    そんな黒い気持ちが湧いて、明智は蓮の腕を掴むと、そのままソファーに放り投げ、素早く上に覆いかぶさった。
    「うわっ!?」
    悲鳴が上がった口を塞ぐようにキスをする。やがて苦しさからか、胸を叩かれたので素直に離した。
    蓮の顔は息苦しさか、それとも別のことでなのか、顔は赤く染まり、呆然とこちらを見ていた。
    「好きだよ、蓮」
    「な······」
    「ずっと小さな頃から、大好き」
    唖然としてる隙を狙ってまた唇を重ねる。今度は先程の荒々しいものではなく、優しく触れるだけのものだ。
    それでも蓮はさっきよりも大きく動揺していた。
    「なんで、いきなり、こんな」
    「言っただろ。小さな頃から好きだって。それだけだよ」
    「俺······お前のことを弟みたいに思ってる」
    「知ってる」
    「だから、お前をそういう風に見れるかは分からない」
    「それでいいよ。······僕もただ気持ちを伝えたかっただけなんだ」
    そう言って明智は蓮から離れる。
    それでも蓮は動かずに明智を見つめていた。
    「蓮?」 
    「······さっきのキス、驚いたけど······一番は嫌じゃなかったことに驚いてる」
    「······本当?」
    「ああ。正直言うと、明智のことはよく分からなかったんだ。小さい頃はあんなに懐いてくれて可愛かったのに、いつの間にか俺より背が高くなって格好良くなってたから」
    「なんだよそれ」
    「でも、こうしてると昔に戻ったみたいで懐かしくて、安心するんだ」
    蓮の言葉に明智は泣きそうになった。
    「蓮、好き」
    「うん」
    「本当に、好きなんだ」
    「······ありがとう。返事は必ずするから。······いつになるか分からないけど、待ってて」
    「うん······!」
    それから暫く二人で家で過ごした。
    蓮は涙ぐむ顔明智の背中を撫でてあやしたり、頭を撫でたりと、まるで子供をあやすかのような行為をしていたが、明智にとってはそれが嬉しくて堪らなかった。
    昔とは違う感情が蓮の中にもあるのだと、それを知れたからだ
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