紅葉の季節は君の季節風に乗って、ひらりひらりと舞い落ちる紅葉。
黄色と赤で埋め尽くされる視界に宇髄は、隣に佇み紅葉を見上げている男を見やる。周りと同じ様な黄色と赤の髪を持つ男。まるで秋そのものだと、くつりと笑えば男─槇寿郎が顔を向けた。
「何か面白いものでもあったか?」
「いやぁね、アンタってほんと秋の男だよな、って思ってさ」
手に持っていた黄色と赤が混ざった葉を差し出せば、槇寿郎をそれを手に取った。
「秋になると俺を思い出す、とは昔からよく言われていたな。俺と言うより煉獄の者は皆言われていた事だろう」
さもありなん。それだけ連想しやすい色合いを持っているのだから、当然のことだろうと宇髄は頷く。
「俺も、任務先でこう言った景色を見ると家族のことをよく思い出していた。妻もこの季節は俺の色で溢れかえるから少しだけ寂しさが紛れると言っていたなぁ」
1849