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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
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    ちょこ

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    アイドラ小説
    くまくんとの話

    とあるライブで自分が超えたいと思っている人物──久間田初雪と共演する事になった。企画内容もきちんとしてあり、いわゆる弾き語りと言うやつだった。世良がギターを弾いてメインで歌う初雪に時々ハモリを入れる、という形だ。練習場所に行くと既に初雪がいた。もしかして遅刻したか?と慌てて初雪に話しかける
    「あ、すみません遅れました」
    「いや、俺も今来たところだから。君は遅れてないよ。……それ、ギターかい?」
    「え?あぁ、俺のです。今回弾き語りですし。プロの人と比べるとそんな上手くないですけどね……」
    よいしょ、と一言いってギターケースを開ける世良。きちんと手入れされたギターを手に取る。調節をしつつ初雪に言う。
    「えーと……すみません、少しまだ不安なところがあるので個別の練習くれませんか?」
    「あぁ、まず一時間後練習をしてそのあと合わせてみようか」
    まだ少し不安なところがあり、初雪にそういうと快くそう言ってもらい楽譜を見ながら弾く。初雪の事は超えたいと思っている、まさか共演するとは思わなかったが、世良にとってはまたとないチャンスと思っていた。今回のでなにかしら成長をしたいと決めていたからだ。チラリと練習している初雪をみると、ギターを持つ手に力が少しだけ入った。

    一時間後、時計を見てそろそろかと世良は初雪に話しかける。
    「あの、そろそろ少し合わせますか」
    「あぁそうだな」
    「……じゃあいきますよ」
    椅子に座り直しタイミングを見計らって世良が弾く、初雪もその後に歌い始める。
    ──やっぱり凄いな。
    間近で聞くと本当に初雪は凄い、と思った。感情を揺さぶられる、あの時初めてライブを見た時の感覚を思い出していた。あの時の感覚のようにビリビリとしてきたとき、ふと何か違和感を覚えた。特に初雪も音を外したわけでもなく、もちろん世良も外していない。ハモリは完璧だった、ギターも引き間違えていない。けれど、なにか違和感があったような気がしたのだ。
    「……初めて合わせたけれど上手くいったね。やっぱり君はすごいと思う」
    「……」
    「……どうかしたかい?」
    「……え、あー……」
    この違和感を話していいのかと世良は迷ってしまった。特に失敗したわけではないのだから。けれど、この違和感は初雪から感じたのだ。黙ってしまった世良をじっと見る初雪。世良が何か言うのを待っているのだろう、どのくらい考えただろうか、もしかしたらそんなに時間は経っていないかもしれない。なんとなくだが、この違和感の正体がわかった気がした。世良は初雪に向き合うと、質問するように問いかけた。
    「……先輩。曲歌ってる時、自分の心の中で笑ったりとか泣いたりとかしてます?今歌った曲は比較的穏やかな曲ですけど、心の中ではどう思ってました?」
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