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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    エガキナ
    よその子さんお借りしてます

    月夜の会話 午前零時、琥珀は息が出来なくて起き上がった。なにか夢を見た気がするのだが思い出せない。頭の中は混乱と戸惑いで頭痛がしていた。額に流れる汗で相当苦しんで寝ていたのを察する。
    ここまで苦しむような夢の内容は大体は母親の夢か、自分が助けれなかった、一人にさせてしまった親友の夢かのどちらかだろう。だが大体嫌という程覚えているのに何故今日は覚えてないのかは琥珀にも分からなかった。
    母親はともかく、親友の夢を見ることに関しては夢に出てくるまで自分を責めてるのだろうか、と思わずそんな気持ちにさせてしまう。
    親友の性格を考えるとそうさせるのは考えづらかったが、琥珀はその考えを消すように一呼吸おくと、もう一度寝直そうかと思ったが汗が気持ち悪い。それに寝るという気分にはならなかった。
    外を見ると珍しく月が出ているのだろう、少し明るかった、外の空気でも吸うかとゆっくり起き上がりベランダへと行く。
    ベランダへと行く窓を開けると少し温い風が琥珀を優しく撫でるように拭く。空は相変わらず都会特有の真っ暗さだったが月だけが綺麗に光っていた。その月明かりに照らされて琥珀の影が伸びる。琥珀はふと考えた、もしかして夢を覚えていないのは──。
    「なぁ、いるんだろ? サクリ」
    琥珀はしゃがんで影に向かって話す。もしかしたら彼がなにかしてくれたのだろうかと、すると琥珀の影からゆっくりとサクリが出てきたが表情は不機嫌だった。
    「うるさかったからな」
    「……ふーん」
    目の前の彼がなにかしら夢を消してくれたのだろう、優しいなとか思っているとまた表情を不機嫌そうにさせる。なにか気に食わないのだろうかと思いつつ宙をぼんやりと眺める、するとサクリがぽつりと聞いてきた。
    「いつも見るのかよ」
    「なにが」
    「あの胸糞悪い夢」
    「……たまにだ、最近は減った」
    琥珀の言っていることは本当だった、昔の方が酷かったから。特に、親友がいなくなってしまった三年前の方がほぼ毎日と言っていいほど夢を見ていたから。
    そのせいで薬を飲むようになったのだが、最近は薬を飲む量も減っていった、これはいい事なのだろうと思いつつサクリを見た。
    「なぁ、俺の事地獄に連れていくんだろ?」
    「まぁな、でも楽なもんじゃないけどな。地獄行きは」
    「なら連れていくの、やめるか?」
    琥珀は思わず口角を上げて話した。いつの日かサクリと組む時に相手から言ってきたような気がするのだ。琥珀の最期の時は自分ごと地獄に堕とすと、その時の表情は無表情で冗談を言ってるようには思えなかった。本気なのだろう、と琥珀は嫌がる素振りも見せずに了承したのだ。
    そもそも、敵同士であるサクリと組むのだ、それなら陽の当たる場所にはもう行けれないのだろう、と。琥珀はそう思っていた。
    するとサクリは琥珀の言葉に笑うと琥珀の顔を見る。その時、丁度月明かりがサクリを照らした。黒と白のツートンの髪が怪しく照らされ、青目は綺麗に、そして頭の飾りに隠された金目が光ったような気がした。
    「いいや? 辞めるわけねぇだろ、お前は俺と一緒に地獄行きだ。今更嫌だとか聞かねぇけど」
    「……俺が嫌そうに見えるか?」
    「……お前、そういう所ほんとムカつく」
    サクリは琥珀の表情をみて途端に不機嫌そうな顔をする、琥珀は自分がどんな顔でサクリを見ているかは分からなかったが、おそらく笑ったのだろう。琥珀はサクリの表情を見つつ琥珀は空を見る、そして思った。
    自分は元から天国には行けないのだろう、と。天国だとか地獄だとか、本当にあるかはわからないのだが、天国に行けれるのは、自分ではなく親友のような人の事をさすのだろうと。自分はこのまま一人で死ぬと思っていたのだ、最期に手を伸ばす相手が居るのなら、と琥珀は笑う。
    「……おいもう寝ろ」
    サクリが琥珀の考えてた事を中断するかのように声をかけてきた。先程までの不快感は消えていたため、琥珀はサクリの言う通り寝ることにした。
    「起こして悪かった」
    琥珀はサクリにそう謝ると琥珀はベッドに入りそのまま目を閉じた。なんとなくだが、このまま朝まで寝れそうな気がした。
    一方、サクリは寝てしまった琥珀の首に骨の手で掴むような素振りを見せる。先程の琥珀の心の内を読んだからか顔は不機嫌そうに琥珀を見た、琥珀は起きる様子がない。
    「……ふざけたこと思いやがって」
    ここで力を入れれば琥珀の細い首などすぐに折れる。手を伸ばす相手が自分だと? お人好しも大概だ、普通思うような感情ではないだろう。そっと琥珀の首に触れた、骨の手では温度を感じる事は出来なかったが、柔らかい皮膚の感覚だけは骨の手から伝わった。
    「……ちっ」
    サクリは興ざめ、と言わんばかりに舌打ちをして手を離した。そしてそのまま琥珀の影の中に入ってどこかへと行く。サクリが居なくなってしばらく経ったあと、琥珀はそっと目を開け首元を触った。
    「……」
    実は少し前から起きていた、寝たふりだったのは相手にはとっくにバレてたかもしれない。そして抵抗しなかったのかもサクリは察してしまったのだろう、琥珀は何も言わずに寝直すために目を閉じた。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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