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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    エガキナ
    公認イベント
    伽藍堂の×丁目
    琥珀と創ログイン
    よその子さんお借りしてます

    すれ違いと喧嘩(前編) 事の発端は、八重からの一言であった。
    「創くんさ、琥珀くんの事どう思ってます?」
    「え?」
    創は突然八重からそう言われて腕を組んで考えた、琥珀は今席を外しており、ここに居るのは八重と創だけだ。創は考える、琥珀の事をどう思っているか。
    創にとって琥珀は大事な親友だ。大事な親友だからこそ、守ってやりたい。死んで欲しくないのだ、三年前のあの日みたいに、危なかった琥珀を守れたのだ。これからも守ってやりたい存在だ、と八重に説明した。すると八重がどこか怪訝な顔をしたかと思うと、口を開いた。
    「それって、琥珀くんを対等に見てないだけじゃないかな」
    「え?」
    八重の言っていることが分からずに創は眉を顰める、何もおかしいことを言ったつもりは無いのだが、と思いつつ創は反論した。
    「いや大事なヤツは守りたいじゃん、おかしいこと言った?」
    「その気持ちはわかりますよ? けど、創くんが思ってる以上に琥珀くんは弱くもないし、お姫様みたいに守られる存在じゃないってこと」
    「……」
    創は八重の言葉に何も言い返せなかった、それほどまでに創にとっては衝撃でもあったし、確かに三年前と比べて琥珀が成長しているのは分かった。
    一緒に没討伐する時でも、今までだったら自分の動きに合わせていた琥珀が、今じゃ自分から積極的に戦っていた。以前と違う討伐に困惑していたのは創の方だった、三年前と違う、なんとなく抱えていた胸のモヤつきがまとわりついていたが、気付かないふりをしていたのだ、まさか八重から指摘されるなんて思わずに。
    「琥珀くん、僕の特訓に弱音吐かずにやってのけたんですよ。どんなに倒れかけても、鼻血出しちゃっても、血を吐いても。……僕はそれを知ってるからね。……あぁ、ほら、琥珀くん戻ってきた。僕は仕事に戻るので」
    そういうと八重は立ち上がると、こちらに向かってきていた琥珀になにか話すと、そのまま立ち去った。そしてその後に琥珀がすぐに創に駆け寄った。その後ろをついこの前顕現した琥珀のニジゲンであるフレイが着いてきていた。
    「ごめん、待った?」
    「……いや、別に」
    どこか元気の無い創に心配そうな琥珀を横目に、創は先に歩いていってしまう。ぐるぐると、八重の言葉が反復するように回る。対等に見れていないのでは、という言葉がいやに離れてくれないのだ。
    そんなつもりで琥珀と接していたわけではないのに、と創は黙ったまま歩く。先程から自分に声をかける琥珀に気づかずに。
    「創! どうしたんださっきから黙って……八重さんと何かあったのか?」
    「……」
    「創?」
    創は黙ったまま琥珀の顔を見る、三年前とあまり変わらないように見える琥珀。服装だけは三年前と比べると大人っぽくなったが、八重の言った通りなのだろうな、と納得しようとしたが、やはりモヤモヤは消えてくれなかった。だからだろう、どうしようもない気持ちが、言葉として出てしまった。
    「……ずっと思ってたけどさ、お前さ、あの八重さんに鍛えられたからってさー……そりゃ三年前と比べたら強くなったかもしれないけどさ、だからなんなわけ?」
    「……っ」
    創は言ったことをすぐに後悔した、その理由はすぐに分かる。琥珀は何も言い返さなかった、なのだが、とても傷ついた顔をして創を見ていたからだ。そして、琥珀の隣にいたフレイが、創に対して鋭い睨みをきせていたことも。
    「あ、琥珀……ちがっ……。……!」
    創はすぐに謝らないと、と思って口を開いたが、フレイが殴り掛かるすんでで手を止めたので何も言えなかった。フレイは相変わらず創を睨みながら呟いた。
    「……最低だな、見損なった」
    そう言ったかと思えば、フレイは先程から何も言わない琥珀の手を取り急ぐように歩いた。琥珀は連れられるまま、こちらを見らずに立ち去った。創は少し呆気に取られていたが、すぐさまあとを追いかけるように走ったが、道を曲がった時二人の姿がないことに息を乱しながらその場に立ちすくんだ。

    琥珀はフレイに連れていかれながら呆然としていた。創に言われた言葉が耳から離れなかったのた、胸の中が痛く、息が詰まりそうで、そういうつもりじゃなかった、と言いたかったが言葉が出なかった。道を曲がった時、フレイが地図を取り出して呟く。
    『……エガキナ、【地図の示す場所へ】』
    地図が光ったかと思ったら、その場から消えた二人。その後に創がやってきたことなど、知らなかった。
    地図に示された場所はどこかの公園だった、人はおらず、小さな花畑がチラホラとあり、木でできたベンチだけが置かれていた。琥珀が黙ったままの時、フレイは琥珀をベンチに座らせ、フレイ自身も隣に座った。
    「……琥珀の旦那さ、アイツに言い返せばよかったのに」
    「……創に嫌な思い、させたくなくて」
    「……旦那さ、親友だからこそ、言うべきことはあると思うけど」
    「……」
    フレイの言葉に琥珀は黙ったまま下を向く、フレイの言うことも最もだった。自分は、創と衝突するのを恐れている。せっかく帰ってきた創なのに、と考えていた。下を向いたままの琥珀に、フレイは話す。
    「……俺もさ、ここに来たのは最近だけど……旦那がそこまで強くなったの生半可な気持ちじゃなかったんだろ? ……もし俺が、リヒトにあんなこと言われたらショックだなー……。……琥珀の旦那、ここには俺と……まぁアイツも影の中にいるかもだけど。俺らしかいないから、な?」
    「……」
    ポンポン、とフレイが琥珀の頭を撫で始める。琥珀は何か糸が切れたように涙が溢れて地面を濡らしていく。泣かないように我慢しようとしたが、しようとすればするほど涙が溢れ、止まらない。
    「……創から、あんなこと言われるなんて、思わなかった……」
    「うんうん、びっくりしたよな」
    「俺、俺……。……っ、八重さんからの特訓、キツかったけど、強くなれて良かったって思えたのに……。サクリの手を取ったのも後悔してないのに……フレイとも会えたのも、もう自分は弱くないんだ、って思えた、のに……」
    「旦那は元から弱くないって! アイツもそう思ってるって! ……旦那はすごいと思うよ」
    琥珀が手を顔で覆うように泣き出してしまったのを、フレイは背中を撫でて宥めた。八重との特訓の事は琥珀と八重二人から聞いていたので、相当な特訓だった事はフレイはよく知っていた。よく弱音を吐かずに着いてこれたものだ、と感心してしまうくらいには。
    それと同時に、ふつふつと創に対しての怒りがさらに込み上げたのも言うまでもない、フレイはこれらでせっかく落ち着いていた"後遺症"でフラッシュバックしないか、と心配した。
    後遺症、前の大型没で幻覚を見たツクリテは、討伐が終わったあとでも胞子の影響でフラッシュバックするとフレイは聞いていた。琥珀も最初の頃は毎晩魘されていたが、サクリが琥珀の悪夢を追い払っており、最近は落ち着いていたのだ。
    もしこれでフラッシュバックしたら、とフレイは不安に思いつつ、最近夜に現れるという【顔なしの旅僧侶】という没が現れると言う。創務からも討伐指示が出ており、ただでさえ最近落ち着いたとはいえ寝不足気味の琥珀が休む暇もない、とフレイはため息を吐いた。
    そういえば後日、あの創とこの【顔なし旅僧侶】のため見回りをすると琥珀から聞いていた。タイミングが悪いな、と何も起こらなければいいが、とフレイはそう思いつつ、琥珀の頭を優しく撫でた。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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