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    ちょこ

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    エガキナ

    よその子さんお借りしました!

    ##エガキナ

    渡せたものと、渡せなかったもの 灯都は画材屋で悩んでいた。というのも、夜岸とクリスマスパーティーをすることになり、夜岸のプレゼントを選んでいたのだ。渡すなら画材の方が喜ぶだろうと考えた、夜岸は油絵も水彩画も描く、あの日初めて見た夜岸の絵は水彩画だった、だからだろうか、灯都にとっては水彩画の方がイメージが強かった。油絵ももちろん、好きなのだが。

    「……どれがいいんだろ……」
     人のために贈り物をするなどないに等しい灯都にとっては、頭を悩ませた。やはり、沢山の色が入った水彩絵の具の方がいいのだろうかと見たのだが、たくさんの色があってさらに悩んでしまう。筆だと夜岸が選んだ方がいいのでは、と感じていた。人それぞれ握りやすい筆、握りにくい筆というものがある。灯都の憶測で選んではいけない気がした。
     水彩紙はどうだろうか、とそちらを見る。夜岸がよく使っているのは灯都も把握していたため、それは難なく選べた。だが、流石にこれだけでは、と思い店を回ったが、どれもしっくり来なくてまた水彩絵の具のコーナーに戻ってしてしまった。
     夜岸にそれとなく聞いた方が良かったのだろうか、と思ったが、簡単にバレそうで頭を抱えた。ふと、その時戸棚の下に置かれていた瓶らしきものが見えて、灯都は手に取った。

    「……へぇ、こんなのあるんだ……」
     片手に収まるような瓶に入っていたのは水彩絵の具だった。黒、茶、青、赤、黄、オレンジ、緑、紫。基本的な色が入っていた。絵の具のチューブには、植物の絵が描かれていた。イメージの色だろうかと思いつつ、じっと見る。
     夜岸のよく使う色から考えると使わないような色が入っており、合わないかな、と思っていたが何故かそれが心を惹いた。隣を見ると、青系や赤系など、この瓶のように入っているのも見えた。
    「この青なら夜岸も使ってくれるかな……?」
     先程の瓶のように九色、鮮やかな色の青から、段々と色が濃くなり黒に近い青も入っていた。それらにもチューブに色の名前が書かれていた。それすらもどこか惹かれてしまう、これを使ってくれる夜岸のイメージが湧いて思わず微笑んだ。

     それらを買って画材屋を出る灯都。喜んでくれたらいいな、と思いながら寒い外を歩く。ふと、ある店に目がついた。
     その店は、小さなアクセサリーを扱っている店だった、男性用もあると書かれており、灯都はそっと覗いた。確かにデザインも女性らしい、というよりかシンプルなものが多く、男性でもつけれそうなものがあった。
     その中に、銀色のチェーンにまるで夜空のような色のした小さく、でも綺麗な宝石のようなものがついたブレスレットに目がいき、そっと手に取った。そばに書いてあった説明書きを読む灯都。
    「……ホタルガラス……?」
     初めて聞いたな、と思いつつ説明書きを読んでいく。どうやらとある所では有名なお土産品のガラス玉、と書かれていた。それを見つつ改めてブレスレットを見た。これが似合いそうな人物が灯都の頭の中で思い浮かべる。

    「……受け取ってくれるのかな……」
     相手から言われた言葉を思い出す。それを聞いたからか、不安が残った。会えるかも分からない、派閥が違うから。買わないでおこうかと戻そうとするが、灯都は元の場所に戻せなかった、そして、悩んだ末に買ってしまった。
    「……」
     店を出て小袋を見る。もし渡せなかったら自分で使おうか、なんて思いつつまた道を歩いた。

     クリスマス当日、人とパーティーをするなどしたことの無かった灯都にとっては、楽しい時間だった。
    「これ、選んだから」
     そう言ってプレゼントを渡す。夜岸は中を見て嬉しそうに灯都に笑った。
    「こんなのあるだね、凝ってるなぁ、瓶に入れるとか……あ、これ灯都に」
     そう言って渡された包を開ける、中にはミニノートが入っていた。そう言えば新しくノートを買いたい、と夜岸の前で呟いた気がした。覚えててくれたのか、と灯都は嬉しくなった。

    「え、これ……夜岸……」
    「前買おうかなって言ってたの思い出して」
    「……どうしよう、こういうの初めてだから、使えない……」
    「いや使ってね?」
     そう言ってお互い笑う。灯都は笑いつつ、自分の鞄をちらりと見た。鞄の中にはあの時買ったブレスレットの入った小袋が入っている、もしかしたら道中会えたら渡せるかもしれない、と思って持ってきたのだが、流石にそこまで運のいいことは起こらなかった。
    「……」
    「灯都?」
    「え? あ、ごめん。ぼーっとしてた」
     夜岸に心配をかけてしまう、と思い慌てて鞄から目を逸らした。いつか渡せばいい、と思いながら。
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